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講 義■ Lec 013 (その4) 記録:過去を調べる
掲示板■ 知的集積・朝型生活


 第13講「記録:過去を調べる」の最後です。前回は、過去の年代を調べる方法をみてきました。最後は、地層から過去の時間を整理していく方法を紹介します。


▼ 講義ファイル
・Lec013_4の講義ファイル(講義時間 14:05)
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講 義■ Lec 013 (その4) 記録:過去を調べる

▼ 地層:時間と束ねる
1 地層の基本的単位
  地層は、たくさんの土砂が積み重なってできています。しかし、基本となる地層は、一枚のものです。単層(たんそう)と呼ばれています。
  単層とは、地学辞典(平凡社)によると「連続的に堆積した1枚の地層のこと」、そして「ふつう、その上面と下面は堆積の休止期を示す層理面によって限られる」となっています。
  また、湊正雄著の「地層学(第2版)」(1973)では、「単層とは、上下の相隣れる二つの地層面(層面)で境された地層の部分である」と定義されています。しかし、その境界である地層面の定義は、湊先生を困らせました。最終的に「1枚1枚の単層が固化するときの上表面または下面である」と、湊先生は定義しています。
  単層の中にも、堆積するときの状態によってよってさまざま(堆積)構造ができます。その構造から、地層ができたときのさまざまな様子を探ることができます。
  単層とは、一連、あるいは一つ事件による堆積作用でたまったもので、その内部に、地質学的に大きな不連続がないものをいいます。次の地層ができる堆積事件までには、時間があります。そして、たまった時には、地層の上下関係が生まれます。これが、単層の基本的な性質といえます。

2 不連続な連続:整合
  単層と単層の間には、物質がたまらない時間の間隙があるのですが、その間隙に地質学的に重大事件がないとき、「整合」とよんでいます。整合という関係には、本当は単層と単層の間に、時間的、物質的不連続があるのですが、それを「地質学的に重大事件がない」という立場で、無視しています。それは、単層間の事件をいちいち取り上げていては、きりがないほどたくさんの単層があるからです。
  地質学的に重大事件ないとは、
・大きな環境の変化
・大規模は大地の変動(造構運動といいます)
がない状態をいいます。

3 地層累重の法則
  地層には、時間的前後関係があります。下の地層は、上の地層より先にたまったのです。いいかえると、下の地層のほうが古いという順番、あるいは相対的な時間の関係があります。まとめると、次の表のようになります。

表 地層累重の法則
---------------------------
       順番  時代
---------------------------
上の地層  後   新しい
下の地層  先   古い
---------------------------

 これは、表にするまでもなく、当たり前にみえる規則なのですが、かつては地層をこのように見る考え方はありませんでした。このような規則を「地層累重の法則」といいます。これは、ステノ(Nicolaus Steno, 1638〜1986)によって発見されたものです。この地層累重の法則によって、地層が時間の経過にともなって形成されていくことがわかるようになりました。

5 地層の階層
  似た単層をまとめてグループをつくることができます。そのグループをさらにまとめることができます。このように基準をより大きなものへと階層化していくと、地層区分をわかりやすいものにすることができます。地層の区分として、小さいものから大きなものへに向かって
・部層
・累層
・層群
・累層群
という区分になってきます。それぞれの地質学的な意味を、以下の表にまとめておきます。

表 地質区分
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地層区分 特徴
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単層   一回の地質現象で形成された。数cm〜数m。
部層   成因の同じ堆積物が繰り返す地層。地層の類似性や規則性がある。
      数10〜数1000枚の単層からなる。厚さ、数10〜数100mになる。
累層   堆積相に類似性があり、成因も関係のある堆積物。
      数10〜数100m、時には数1000mの厚さになる。
層群   上下を不整合で挟まれた地層群。
      一回の堆積輪廻(海水準の上昇から下降まで)を示す地層群。
      数100〜数1000mの厚さ。
累層群  中・古生代の地層で、大きな堆積盆の発生から消滅まで。
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 上で述べたような階層化を世界中の地層でおこなっていくと、地質時代ごとの特徴がわかるようになります。それをまとめたものを、地質年代表といいます。


掲示板■ 知的集積・朝型生活  

・知的集積・
過去を科学的に読み取る方法を紹介しました。
前回の講義の化石の話とも通じるところがありますが、
過去を探るには、いろいろな努力がなされてきました。
そして、発想の転換ともいうべき発見もありました。
世界中のいろいろな地域で、詳細な地質調査がなされ、
そのような知識の集積が地質年代表なのです。
現在も地質調査は続けられています。
そんな知的資産の積み上げの上に、
地質年代表の改定は行われています。
このような改定作業は、なにも地質年代表だけでなく、
すべての知的な営みについていえることなのです。

・朝型生活・
今日は秋分の日です。
夜と昼の長さが同じになる日です。
北国では、9月になると日の出が遅れ、
日の入りの早さを感じるようになりました。
それも、私が朝型の生活をしているためでしょうか。
私は、早朝に家を出て、夕方定時に帰宅するため
太陽と共に行動しているような気がします。
しかし、世の中は、夜型の生活の人のほうが圧倒的に多く、
それにあわせようとすると、
私の生活パターンが乱れていきます。
でも、社会生活する上では仕方のないことなのでしょうね。


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