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講 義: Lec 004(その1) Lec 004(その1) はかる:この世の記述のしかた
掲示板■ 配信が遅れました・実際の講義との違い
 


 前回までにこの世を、自分たちなりに定義しました。今回は、この世を調べる方法を考えていきましょう。


▼ 講義ファイル
Lec004_1の講義ファイル(講義時間 36:04)
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講 義: 004(その1) はかる:この世の記述のしかた

▼ この世をつくるもの
1 この世は、何からできているか
 この世を調べるためには、この世がどのようなものからできているかを、考え、そしてこの世をつくるものを記述することになります。それを、どうすればいいか、考えていきましょう。
 では、この世は、何からできているでしょうか。この世には、いろいろなものがあります。それこそ、森羅万象、ありとあらゆるものが、この世にはあります。この世は多様です、という答えでは、この世が何からできているかという、疑問に対して、答えは出せません。なぜなら、この世にあるすべてものをひとつひとは記述していたのでは、答えがいつまで経っても出し終わらないからです。
 そこで、考えるべきなのは、できるだけ、少ないもので済ませたいということです。もし、「この世」のすべてのものは、ある限られたいくつかのものからできているということが分かれば、それだけを詳しく調べればいいわけです。そして、もしその数が、現実的に記述できる量であれば、少ない労力で、効率的に「この世」をつくるものを示すことになります。少なければ少ないほど楽なわけです。
 それらを、「基本的構成要素」と呼ぶことにしましょう。
 では、この世の基本的構成要素などといえるものが、本当にあるのでしょうか。もしあるとすると、それは何か、ということについて考えていきましょう。
 まず、この世の定義から、基本的構成要素の候補を探していきましょう。
 理化学事典には、「宇宙」は、「存在する限りの全空間、全時間およびそこに含まれている物質、エネルギーをいう」とありました。この定義のキーワードは、空間、時間、物質、エネルギーです。宇宙の定義には使われたキーワードは、基本的構成要素の候補といえるでしょう。まずは、空間、時間、物質、エネルギーが基本的構成要素の候補として考えられます。
 その他に、重要なものがあります。それは、物理学が解き明かそうとしてきた歴史の中に答えがあります。
 近代物理学が今まで研究してきたことは、一言でいうと、物質と力(あるいは相互作用)による運動を正確に記述することを目指してきました。運動とは、物質と力によって引き起こされる現象です。物質と力がわかれば、運動は今までの物理学の法則を持ちいれば、導くことができます。どうも、運動は、基本的構成要素には含めなくてもよさそうです。物質と力(あるいは相互作用)があれば、それらがおこす現象である運動が表現できるからです。
 以上のことから、基本的構成要素の候補として、
空間、時間、物質、エネルギー、力(相互作用)
があげられます。

2 「この世」(宇宙)の基本的構成要素
 では、次に、空間、時間、物質、エネルギー、力(相互作用)という候補が、それぞれが別々に存在し、それ以上、ほかの基本的構成要素に分解できないものかどうかを、調べていきましょう。もし候補が、実はいくつかの別のものからできていて、そこに共通する要素があれば、そちらを記述したほうが、より本質的な記述になります。そして、もっと少ないもので済むかもしれません。

・時間と空間
 時間と空間の2つは、「この世」を定義するときに使ったものです。だから、時間と空間は、これ以上分解もできないし、他の要素で、つくることもできません。このような状態のことを独立といいます。時間と空間は、基本的構成要素といえます。

・物質とエネルギー
 アインシュタインは、エネルギーと物質(質量)とは等しい(等価)であることを示しました。それは、
 E=mc^2(^の記号は累乗の意味で使います)
という有名な式で表されています。ここで、Eはエネルギー、mは質量、cは光速です。
 この式が意味しているのでは、エネルギーと物質は、Cの2乗という乗数で比例定関係にあるということです。つまり、お互いに変換可能であるということです。つまり、どちらか一方がわかれば、他方が上の式から導き出せるということです。これで、基本的構成要素が、物質かエネルギーのどちらかでよくなり、一つ減らすことできました。

・力(相互作用)
 力とは、物質同士が相互作用をすることを意味しています。つまり、物質と力(相互作用)は、お互いに単独には、存在し得ないということです。物質と力は、二つで一つの基本的構成要素というべきものです。これは、エネルギーと物質の関係に似ています。
 力(相互作用)には、物質によって4つの種類があることがわかっています。重力、電磁気力、強い相互作用、弱い相互作用の4つです。

・重力
 宇宙全体の構造から、天体、原子までの大きな物質に作用する力です。質量と距離に関係していますが、質量が大きければ作用が強いですが、質量が小さければ、作用も小さなものになります。また、他の力が近くのものにしか作用しませんが、重力は弱くはなりますが、遠くまで作用します。

・電磁気力
 分子や原子のサイズのものが、電気や磁気を帯びている時に作用します。電気を帯びているものは磁気を発します。磁気を持つものが動けは電気が発生します。電気と磁気は非常に密接な関係があり、電磁気と一緒に扱われています。例えば、電子はマイナス、原子核はプラスの電気を持っているので、電磁気力は、小さい物質の世界では、必然的に生じる力で、短い距離では主要な力となります。

・強い相互作用と弱い相互作用
 原子や素粒子の小さいサイズなどの近いところで作用するものです。素粒子の世界では、質量が小さいので、重力や電磁気力などより、この2つの力が主要に作用しています。強い力ですが、極近くでしたこの作用は及びません。ですから、素粒子などの小さいものの世界での作用となります。

 物質、エネルギーと力は、全体として基本的構成要素ではあるのですが、それぞれ切っても切れない深い関係にあります。その切っても切れない深い関係を解き明かすことが、物理学という学問の重要な目的でもあり、今まで解明しようと努力されています。しかし、全体を統一的に解明できるまでにはいたっていません。

 基本的構成要素をさぐることから、時間と空間という宇宙において、物質、エネルギー、力(相互作用)という関係を解き明かすことという物理学の目的にまでたどり着いてしまいました。
 次回は、はかる方法を考えてきましょう。


掲示板: 配信が遅れました・実際の講義との違い 

・配信が遅れました・
今回は、発行が遅れて申し訳ありませんでした。
少々、講義の配信方法に変更を加えるための検討していました。
そのために、今回の配信が遅れました。
実は、他のPC Letterのサイトのファイルや
自分のPC Letterのファイルを聞いていて、
じっくり聞く気になっているときは、
60分程度は集中できるのですが、
普通に聞こうとしているとき、
集中力は20、30分程度が限度であるということに気づきました。
私の今までの講義は、
Lec000の講義時間 34:49
Lec001の講義時間 24:26
は、導入的な講義でしたので、短めでした。
しかし、本格的講義になってくると
Lec002の講義時間 54:08
Lec003の講義時間 70:57
となり、長くなっています。
今回のものも、予定通り配信したとすると、
Lec004(その1)の講義時間 70:40
となり、かなり長いものです。
これでは、聞く方が、大変なだという気がしました。
特に小・中学生には、つらいかと思いました。
この講義も、実際に聞き続けるには
ある程度短い方が聞きやすいという結論になりました。
そこで、今回から一つの講義は15分から30分程度の長さにして
短めの講義に分けてお送りすることにしました。
もちろん、聞きたいときは30分では物足りなさがありますが。
今までに記録している分を、
急に予定していなかった分け方にしたので、
適当に分割できるか検討しました。
一部、大きな区切りでないところもありますが、
ほぼ、区切りの良いところで、
お送りすることできるところがわかりました。
ですから、今後は、もう少し短い時間に講義を分けて、
配信していこうと考えています。
そんな調整をしていたため、配信が遅れました。
申し訳ありませんでした。

・実際の講義との違い・
実際の講義は、学生を見ながら講義します。
分かりにくそうな顔をしていれば、詳しく説明します。
疲れていそうなら、雑談をして、一息入れます。
また、講義時間が終了すれば、
どんなとこであろうと終わらなければなりません。
ですから、時間内に内容の概略は伝えなければいけませんから、
時間を気にしながら、はしょったり、まとめをして
終わってしまうことがあります。
しかし、一人の録音していくPC Letterの講義では、
余談なしに、講義だけに集中して、話すことになります。
また、時間を気にせず、講義が行えるので、
ついつい長くなっていくところもあります。
ですから、講師が話したいことが、
心置きなく話せるのはいいのですが、
聞く側は、つらいと思うことあるのではないでしょうか。
ですから、今回から、短く区切ってお送りすることにしました。
実際の講義とPC Letterの講義とは、やはり違っています。
そんなことを感じました。
そして、状況に応じて、修正しながら
講義を進めていきたいと思っています。
ご意見があれば、お願いします。


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