地球のつぶやき
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Essay■ 264 色とりどりの時間
Letter ■ あらぬところへ・正月休み


(2024.01.01)
 明けましておめでとうございます。一年のはじまりに、時間について考えました。見方により、いろいろな時間がありそうです。色とりどりの時間があることを見ていきましょう。それにしても、時間は難題です。


Essay■ 264 色とりどりの時間

 元旦には、新しいカレンダーや手帳、日記に変更したりする人もいるでしょう。一年の計画を考える人もいると思います。昨年がいい年でなかったなら、今年こそはと心機一転を考える人もいるでしょう。昨年がいい年だった人ならば、今年も同じように過ごせるように願うでしょう。
 暦で一年は元旦からはじまり、大晦日で終わります。12月31日24時、あるいは1月1日0時をもって、年号が替わります。同じ年号でも、ある人にとっては大きな節目の年になり、ある人にはいつもと変わりない年もあります。同じ時間の流れも、人によって違って見える「異なる時間」となります。
 人は、毎年ひとつずつ年齢が増え、変化していきます。そのため、同じような似た時間であっても、同じ時間では決してありません。だから、新たな年が迎えることに期待できるのです。子どもは、精神的にも肉体的にも、日々は成長しています。若者も、心身ともに着実に成長しています。ただし、成長の程度は、努力によって変わってきます。年をとってくると、成長は少なく、衰えが目立ちます。高齢になると老化が進行していきます。同じ時間でも、過ごし方によって変化の度合いは変わってくるはずです。成長や変化という考えを導入すると、人に実際に流れている時間は、同じものではなくなります。「不可逆な時間」があることがわかります。
 とはいっても、日常生活では、月、週、日などで区分されて、繰り返されます。曜日や一日の生活にはルーティンがあり、曜日や一日のパターンが同じように繰り返され、巡っているようにみえます。時間が循環しているように見えます。日常生活では「循環する時間」があります。
 話を変えて、自然科学で扱う時間を考えていきましょう。
 そもそも物理学的には、時間は厳密に定義され、時計のように正確に刻まれ、流れていきます。また、物理の法則、例えば運動方程式に現れる時間には、流れる方向は関係はありません。どの向きにも時間が流れても、法則に変化はありません。「可逆な時間」となっています。可逆な物理的時間は、「現在」を原点として、どの方向に時間軸はのばせて、行き来も自由です。過去も未来も関係なく、自在に行き来できる「無色透明な時間」があります。
 化学反応のように、変化を伴う現象では、一方向にしか進みません。時間を循環させようとしても、変化したものを同じ状態に戻すことはできません。逆向きに反応させようとすると、エネルギーを注ぎ込まないとなりません。つまり、時間の流れが、一方向にしか流れない「不可逆な時間」になっています。
 自然界に存在するものに、変化が起こらない不変のものはあるでしょうか。対象となる自然は、地球上の存在、もしくは宇宙空間内の存在です。地球は今から45億年前にできたことを、宇宙空間に存在するすべての物質は、ビックバンによってはじまったことを、科学は明らかにしました。物質だけでなく、時間も空間も、すべてがビックバンからはじまりました。この世の森羅万象に、はじまりがあることになります。現在、どんなに不変に見えるものがあっても、地球やビックバンという「時間のはじまり」がありました。
 自然界には、「時間のはじまり」から流れる「不可逆な時間」があり、そこには熱力学の法則が適用できます。エントロピー増大の法則(熱力学第二法則)で、どんなに同じ状態に見えても、時間がたって状態が変化すれば、エントロピーが変化していることになります。
 以上のことから、物理法則のような抽象化された不変には、可逆の時間、無色透明の時間が存在しています。一方、人や生き物、変化を必然的に伴っている現象、自然界には、「はじまり」があり、そこから不可逆に流れる時間です。
 社会生活での時間を考えると、一週間や一日の似たルーティンで「循環する時間」あるように見えますが、取り戻せない時間があることも知っています。ある日の失敗を、翌日に取り返すことはできません。ある週にサボったたら、その一週間分のスケジュールが遅れてしまいます。似た時間が繰り返されていますが、逆戻りはしません。そこには「不可逆な時間」が流れていることになります。
 このような不思議な時間をみていくと、同じようなところ(一日、一週間、一年など)を巡る「螺旋状の時間」があり、螺旋の方向にも別の時間軸として不可逆な時間があるように見えます。
 本来であれば、この螺旋状内の時間軸と螺旋軸方向の「螺旋を貫く時間」は、階層の異なったものになるはずですが、それぞれの時間には区分はなさそうです。「階層化できない時間」なのでしょうか。時間を巡る思索を進めると、混乱していきます。これについていは、今後も考えを深めていきたいと考えています。
 時計によって時間を計測していると、無色透明な循環する時間があるように見えますが、不可逆な螺旋状の時間と、それを貫くはじまりがあり、階層化できない時間もあります。時間は不可解な存在です。


Letter■ あらぬところへ・正月休み 

・あらぬところへ・
元旦のエッセイなので、
それらしき内容にすべく書きはじめました。
現在書いている論文では、
地球や生命の「はじまり」について考察をしています。
その一番中心の概念を
今回のテーマにするつもりで書きはじめました。
その書き出しは
「歳のはじめに、「はじまり」について考えていきます。」
というものでしたが、
まったく違う内容になっています。
このエッセイでは、事前に
いくつかのネタを用意しています。
「はじまり」と「時間の階層化」などがありました。
1月なので、「はじまり」にして書きはじめました。
詳細については、よく考えるべき内容もあり、
書きながら考えていくものもあります。
「はじまり」というテーマも
考えながら書くつもりではじめました。
ところが、「時間の階層化」へと移っていきました。
実は、「時間の階層化」は全く違った内容を
思い描いていたテーマなのですが
あらぬところにたどり着いてしまいました。

・正月休み・
このエッセイは、年末に書いて配信しました。
長い冬季休業期間があったので
落ち着いて考えることができます。
そんな静かな時間に考えても、
まだ混乱しています。
この混乱を整えるためには、
十分に考える時間も必要なようです。
正月三ヶ日はゆっくりと休んで
頭をリセットしましょう。
いい考えが浮かんでくるかもしませんね。


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