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Essay ▼ 215 洞爺湖と有珠山:それぞれの時間の流れ
Letter▼ 秋から冬へ・志の維持

有珠山山頂からの洞爺湖(左)と昭和新山。

火口原。

火山砕屑物の地層。

外輪山の噴気。

有珠山。

有珠山。

昭和新山。

昭和新山。

洞爺湖からの昭和新山。

中島周辺の島。

中島周辺の島。

中島の中の森。


有珠山山頂からの洞爺湖周辺のパノラマ。


火口原のパノラマ。

(2022.11.15)
 有珠山の山頂付近の火口をみにいきました。有珠山周辺の火山を、数回の訪問で、やっと一通りみることができました。有珠山は繰り返し噴火している火山ですが、そこにはさまざまな速度の自然の時間が流れています。

 10月中旬に洞爺湖にいきました。洞爺湖には、最近、何度か来ていています。2021年10月に来たときの様子は、以前のエッセイ(204 洞爺湖:紅葉と観光と火山と 2021.12.15)でも紹介しました。このとき、昭和新山資料館三松正夫記念館を見学したかったのですが、コロナのために閉館していました。その時は、2000年の噴火の跡でジオパークになっている屋外展示を見学しました。今年の6月にも来ましたが、その時は中島に渡り、島の中を見て歩きました。
 今回は有珠山の山頂付近を対象にしました。有珠山に登ったことは、かつてありました。若いときは噴火直後に歩いて登りました。次は子どもたちと家族で一緒に観光として、ロープウェイで登っています。いずれもかなり前のことです。
 今回の調査では、洞爺湖に一泊して2日目に有珠山に登る予定を組んでいしました。初日は移動日だったので、洞爺湖周辺の調査をするつもりでした。しかし、2日目は天気がよくなさそうな予報なので、急遽予定を変更して、初日に登ることにしました。徒歩ではなく、ロープウェイを利用しました。初日は抜けるような青空で、絶好の登山日和の中、登りました。紅葉がはじまる頃で稜線からの眺めも最高でした。
 有珠山は11万年前に大規模な火砕流を発生して、現在の洞爺湖になる洞爺カルデラを形成しました。5万年前にはカルデラの中に溶岩ドームがいくつもでき、現在の中島になりました。2万年前から、カルデラの外輪山の南側で新しい火山活動が起こり、有珠山周辺の山ができました。
 その後7000年間ほどは、活動が休止していました。江戸時代から再び活動がはじまり、19世紀までに5回、20世紀になってからも何度か繰り返し噴火しています。1910年の噴火では、明治新山が形成され、温泉が湧出することで温泉街ができました。1943年から1945年、有珠山の東山麓で突然の噴火で、昭和新山ができました。その時、郵便局に勤務していた三松正夫さんが火山ができる様子を記録したことで、有名な「三松ダイアグラム」ができました。1977年から1978年は、有珠で新しい山ができました。この噴火は、大学生の頃だったの強く記憶に残っています。2000年の噴火で、旧国道があった西山山麓で噴火を起こし、金比羅山にも新しい火口ができました。その噴火口は、現在ではジオパークとして保存されています。
 今回は、有珠山から遊歩道を歩いて、南東外輪山にある火口を見に行きました。
 1663年の噴火でこの南外輪山ができました。その後、小有珠、大有珠、おがり山ができました。その後しばらく活動が休止していた時期、噴火口は平らで火口原となり、森ができ、水がたまり銀沼となり、放牧場となっていました。そして1977年から1978年の噴火で、再度火口となりました。おがり山は断層で3つに割れ北側を180mも盛り上げられました。小有珠や大有珠は70mも沈降しました。
 現在の火口原は、直径350mもあり、銀沼大火口と呼ばれています。遊歩道を歩いていくと火口原の火口の火山砕屑物の地層断面をよく見ることできます。そして、外輪山の縁の崖では、今も噴気が上がっています。
 昨年の秋の西山、今年春の中島、そして今回の有珠山と三松記念館で、洞爺湖周辺で見たいと思っていたところを一通り見ることができました。
 時間とともに、火山も地域も変化していきます。2000年の噴火を記録している西山のジオサイトは時間がたっているため、火山活動による断層や火口が、植生が増え、風化侵食が進み、だんだんと薄れています。1978年の有珠山は火口原はまだ荒涼としていましたが、周辺は植生が復活していました。
 1945年にできた昭和新山は今も噴気を出しながら、赤茶けた山肌を見せています。昭和新山の麓から、ロープウェイに乗ります。驚いたのではロープウェイの山頂にカフェと展望台ができていて、若者や修学旅行生がいっぱい来る観光スポットになっていました。
 繰り返し噴火する火山にも、生物による営みが訪れています。異なった自然の時間の流れかたがあり、さらにそこに人の暮らしや営みの時間も、上書きされていきます。


Letter▼ 秋から冬へ・志の維持

・秋から冬へ・
11月は寒い日と暖かい日が繰り返されました。
10月には紅葉が不揃いでスタートしたのですが
11月になると紅葉が一気に進み、
ほとんどの葉が落ちました。
雪虫の一斉は発生はなく
時々みかける程度でした。
それでも冬はいつものように来るようです。

・志の維持・
大学では推薦や指定校などの入試がはじまっています。
1年生はほんの1年前は
そのような状況に置かれていました。
不合格で焦っていた人、合格で浮かれていた人
どうのような入試制度や経緯であっても
現在、大学生として過ごしています。
そこには1年前の大学を
目指したときの志があったはずです。
大学に入ったら○○を学びたい、
〇〇の資格と取りたいなど、
現在の受験者の声を聞いていると
1年後も同じ気持ちでいて欲しいと思います。
同じ志を維持するのは
かなか難しいのでしょうね。



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