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Essay ▼ 203 屈斜路カルデラのほとりで
Letter▼ 里の雪はまだ・臨場感


紅葉がはじまる屈斜路湖。


和琴半島付け根の露天風呂(無料)。


和琴半島先端にある噴気。


摩周湖からみたアトサヌプリ。


アトサヌプリ。


イオウの結晶。


噴気。黄色いのはイオウの色。


噴気で飛び出す熱水。


イオウの針状結晶。


摩周湖。小さなカムイシュ島が見える。


摩周湖。摩周ブルーの湖面がきれいである。


カムイヌプリの火山と爆裂火口。


摩周湖の全景。

(2021.11.15)
 10月に屈斜路湖の周辺を巡りました。屈斜路湖、アトサヌプリ、摩周湖、いずれも人気の観光地ですが、訪れる人も少なめで、昔の火山と現在の活火山とを感じることができました。

 10月中旬、北海道はまだCOVID-19の感染の影響が残っていましたが、緊急事態は解除されていました。大学の校務による釧路への出張があったので、それと続けて野外調査にいきました。なかなか調査に出れなくて困っていたのですが、大学の危機管理レベルは高いままでした、調査に出ることができました。
 今回は、そんな調査地のひとつとして、屈斜路(くっしゃろ)湖にいきました。幸い天気がよく、晴れわたった空のもと、少し紅葉のはじまった湖畔を見て回りました。今回紹介するのは、屈斜路湖周辺の火山地帯です。何度か訪れているのですが、このエッセイで紹介するのは今回がはじめてです。
 屈斜路湖の南湖畔に和琴半島があります。そこを一周しました。付け根に露天風呂がありました。訪れたときは入っている人はいませんでした、キャンプで釣りをしている人にきくとなかなかいい温泉ですよとのことです。手をいれるとかなり熱いお湯なので、気持ちよさそうですが、朝なのと半島を巡るので遠慮しました。半島の先端には噴気の出ているところがあります。そこを見るのが目的でした。そこではカヌーでひとり来られた人が噴気のところにいました。散策路からは眺めるだけでしたが、激しい噴気と周囲には昔の噴気の名残ありました。1時間もかからず一周できたのですが、コロナでじっとしていたので、いい運動となりました。
 和琴半島の温泉や噴気をみると、火山の影響があることはわかります。屈斜路湖の地形をみると、カルデラのようにみえますが、半分しかなく、太めの三日月のような形で、湖の東半分には山があります。そして、さらに東には摩周湖がありますが、こちら小さなカルデラ湖になっています。
 このあたりは、どうも何度もカルデラをつくるような火山活動があったことをうかがわせます。この周辺の火山活動の歴史はかなり解明されています。
 160万年から100万年前に、最初の火山活動が起こりました。その活動で形成された名残が、屈斜路湖の北にある藻琴山です。その後、一旦、火山活動を休止していたようですが、再度、約40万年前から活動を再開します。大規模な火砕流を出すような噴火を10回ほど繰り返えしました。
 そして12万年前、もっとも激しい噴火を起こしました。安山岩から玄武岩マグマの活動で、大量の火山灰を放出し、札幌より西の道内全域で広く火山灰が降りました。このとき丸い形の屈斜路カルデラが形成されました。これは屈斜路湖より大きく、東西26km、南北20kmになるものでした。この大きさは、阿蘇カルデラを凌くもので、日本最大級となります。カルデラを取り囲む山は、険し傾斜をもった外輪山となっています。4万年前ころにも激しい噴火を起こし、火山灰を放出しました。
 その後も、小規模になりますが、屈斜路カルデラの中で、中島、アトサヌプリ、摩周火山がおこり、多数の丸い山(溶岩円頂丘)を形成する火山活動が起こっていきました。その結果、屈斜路カルデラの東半分がマグマや火山噴出物で埋められてしまったのです。現在の屈斜路湖は、屈斜路カルデラの名残なのです。
 4万年前からの活動では、主にデイサイトマグマが、多数の溶岩円頂丘を形成しました。古い時期のものとして、丸山、274m山、ヌプリオンド、オヤコツ山、トサモシベ、オプタテシュケがあり、新しいものには、リシリ、サワンチサップ、マクワンチサップ、そしてアトサヌプリがあります。
 和琴半島は、オヤコツ山溶岩円頂丘として古い時代(3万年前ころ)に活動したもので、屈斜路湖の中に小さな島となりました。やがて外輪山裾にある岸と砂州で繋がって半島状になりました。
 最も新しい時期に活動したのが、現在も噴気を出しているアトサヌプリ山(硫黄山)です。最近の2700年間で、7回の爆発的噴火がおこっており、1500年前から1000年前くらいが、活発に活動して、アトサヌプリ溶岩ドームが完成しました。最新の噴火は、400年から300年前とされています。
 アトサヌプリは、激しい噴気を出していますが、近くまで寄れって見学できる火山です。激しい噴気の音がします。噴気孔には、イオウのきれいな結晶が形成されます。アトサヌプリの日本名として硫黄山と呼ばれているのは、このイオウがとれるからです。かつて硫黄鉱山として採掘されていました。明治時代から、何度が採掘者が代わっていきますが、1970年まで操業が続けられました。
 アトサヌプリを見学して、摩周湖へと進みました。摩周湖は、霧がかかることで有名ですが、何度が訪れていますが、毎回天気がいいように記憶しています。今回もきれいに晴れた空の下で、神秘的な青い水(摩周ブルーと呼ばれています)をたたえた摩周湖を見ることができました。
 屈斜路湖、アトサヌプリ、摩周、いずれも有名な観光地なのですが、まだコロナ禍の影響で訪れている人は少な目でした。少な目と感じたのは、観光バスで移動する団体客が、チラホラとしか戻ってきていないためでしょうか。しかし、名所には個人での観光客はそれになりにいました。コロナ禍も下火になってきたことを感じました。


Letter▼ 里の雪はまだ・臨場感

・里の雪はまだ・
11月になっても、里に雪が降るほどの
寒波はまだ来ていません。
荒天は何度かあったのですが、いずれも雨でした。
もうそろそろ里にも雪が降っていいころです。
我が家の車は、遠出をするとき
高い峠を越えることになるため、
早めにスタットレスタイヤにしていました。
10月下旬に訪れた北見峠では雪となりました。
ご近所もほとんどスタットレスにしたようです。
これから春まで、車は冬仕様のままです。

・臨場感・
いよいよ大学は入試の第2陣がスタートします。
来週末には入試がありあります。
また卒業研究のツメに時期になってきました。
12月はじめには卒業研究の提出があります。
教員も4年生もバタバタします。
実際に大学で、受験生や学生がバタバタするのも
1年ぶりなので、なんとなく懐かしい気がします。
昨年は遠隔だったのですが、忙しくはあるのですが、
バタバタがネットを介してなので
少々臨場感がなかったです。



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