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Essay ▼ 196 ハワイ:火山の連なり
Letter▼ 天皇海山列・ヒロ


噴火口。


海に流れ込むマグマ。


崖から流れ落ちるマグマ。


パホイホイ溶岩。


パホイホイ溶岩。


ハレーの涙。


道路を横切るマグマ。


流れる溶岩の上を歩く。


流れる溶岩の上を歩く。


流れる溶岩を見る人。


植物の生命力は強い。

(2021.04.15)
 新型コロナウイルスの蔓延で、各地へ旅行することもままならない日々が、まだ続いています。まして海外旅行ともなると、かなり難しい状態です。今回も、昔にいったハワイを紹介します。

 かつてハワイは、多くの日本人が訪れる海外の観光地でした。近年は、安上がりにいけるアジア諸国が人気になってきたようです。ハワイはいくつかの島から成り立っているため「ハワイ諸島」と呼ばれています。北西に向かって、ハワイ島、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、オアフ島、カウアイ島などが続き、小さな島もあります。
 さらに北西にも小さな島や環礁が続いていて、北西ハワイ諸島と呼ばれています。北西ハワイ諸島のうち、ミッドウェー環礁は、数十人の住民がいてアメリカ領太平洋諸島に属しています。それ以外の島々は、すべてアメリカ合衆国のハワイ州に属しています。
 これらの島々で、多くの人が訪れるのは、ハワイ諸島の中程にあるオアフ島です。オアフ島には、ハワイ州の州都であるホノルルがあり、政治や経済の中心で観光の中継地にもなっています。ハワイ諸島でもっとも人口が多くなっています。ハワイへ観光でいくと、まずはダニエル・K・イノウエ国際空港に到着します。そこから各島へ渡ることになります。
 ハワイ諸島の中で一番面積の大きいのは、南にあるハワイ島です。ハワイ島で、最も高い山はマウナ・ロア山で、活火山です。ニュースでも時々報じられますが、活発な火山活動をしています。現在活動中の火山には、他にもキラウエア火山があるですが、ハワイ島の南東に30km沖には、ロイヒ海山という海底火山が活動しています。
 現在、ハワイ諸島で活動しているのは、ハワイ島の火山だけです。ハワイ島の北西部には、活動をやめていますが、コハラ、マウナ・ケア、フアラーライなどの火山があります。ハワイ島自体が、すべて火山岩からできています。
 ハワイ島のマウナ・ロアは、4169mの標高を持っています。深海底の5000mの太平洋の真ん中にできた火山なので、火山体として考えると、海水がなかったとしたら、9000mを超える巨大な火山となります。このような膨大なマグマを噴出する活動があったということになります。
 ハワイ島全体が、火山の島なのですが、実は、ハワイ諸島から、北西ハワイ諸島、そしてさらにその先に続く、天皇海山列へと続く島や海山が、すべて火山からできています。火山の活動の時代は、ハワイ島から離れるつれて古くなっていきます。ハワイ諸島では現在から510万年前まで、北西ハワイ諸島は720万年前から2770万年前に活動しています。天皇海山列は3900万年から8500万年前になります。
 このような火山の連なりとその活動年代の変化は、現在の太平洋の深部の位置に、マグマを形成する場がマントルの中に固定されており、その上を海洋プレートが移動していると考えると説明できます。このような観察事実は、プレートが移動しているという証拠にされました。
 ハワイ諸島から北西ハワイ諸島までは直線的に火山は連なっているのですが、北西ハワイ諸島と天皇海山列の間には、角度で60度ほどの屈曲があります。この曲がりは、海洋プレートの移動の方向が変わったと考えれば、わかりやすくなります。
 天皇海山列でもっとも古いのは、明治海山と呼ばれるもので、アリューシャン列島の西、カムチャツカ半島の東の千島海溝に近いところに位置しています。その年代は8500万年前です。形成後、1億年近くも、太平洋プレートが移動し、3900万年から2770万年の間に拡大方向が変わった証拠になります。
 ハワイ島では、噴火の規模や場所によって、その被害状況は変わってきますが、私が訪れた時は溶岩を流している時期でした。その噴火以前は、チェーン・オブ・クレータ・ロードとして、海岸沿いを道路でめぐることができたのですが、溶岩に覆われて、現在でも通行不能になっていました。クレータ・ロードをめぐるために来ていた観光客は、溶岩のため通行止めになっているところで、流れる溶岩を見ていました。
 私も、滞在中、何度かそこを見にいっていたのですが、ある時そこに国立公園のレインジャーがやってきました。溶岩の状態を確認しにきていたようです。観光客に向かって、「私は、これから溶岩が海に流れ込んでいる状況を確認にいく。そこまで歩いていけるルートがある。下には溶岩が流れていることを理解して、自己責任でについてきてもいい。ただし暑いので水を持参するように」とをいって、観光客に声をかけました。もちろん、私はついて見にいくことにしました。
 黒くて凸凹した溶岩の上を歩いていくと、ゴムの匂いがしてきました。表面の岩石が、熱を持っているため、靴底が溶けたしたのです。歩いている下には、溶岩が流れているようです。
 レインジャーについていくと、やがて海岸に面した崖の縁にたどり着きました。そこは崖が眺められるところでした。赤い溶岩が、崖の上から流れ落ちるところを見ることができました。落ちた先は、かつては海だったところでしょうか、溶岩が固まって陸になっています。その少し先が海岸となっていて、水蒸気を激しく出していました。
 溶岩が流れている上を歩くということができたのは、ハワイの溶岩の性質のためです。玄武岩質マグマでも、サラサラ(粘性が小さい)ものは、流路ができれば、水のように流路にそって流れていきます。マグマが崖を流れ落ちるような流路が定まっていたため、表面が固まっていれば、歩くことができます。
 サラサラのマグマは、流れる時、表面に編んだ縄のような模様ができます。このようなものは、パホイホイ溶岩と呼ばれます。マグマから揮発成分が抜けると粘性が大きくなり、岩の塊がゴロゴロの崩れたような溶岩(クリンカー)になります。このようなものをアア溶岩といいます。一見、溶岩に見えないものですが、実際に流れているところが観察されています。ハワイでは、両タイプの溶岩が隣り合わせに流れることもあります。
 パホイホイ溶岩もアア溶岩も、高温のマグマですので、流れてくるのを止めるのは困難です。日本の火山ように爆発的噴火はありませんので、噴火自体の被害は多くありません。ハワイでは、マグマが飛び散ることもありますが、それも火口付近だけで、被害の範囲は決まったところで噴火します。ただし、マグマが道や人家に向かって流れてくると、道や家は諦めるかしかありません。流れる溶岩はゆっくりと進むことが多いので、家財道具を持ちだせる余裕はあります。それが日本の激しい噴火をする火山との違いです。
 ハワイは、日本人にとっては観光地のイメージになっているでしょうが、実は荒々しい側面ももっています。その荒々しさはハワイ島の南東部でみることができます。


Letter▼ 研究生・ニュージーランド

・天皇海山列・
アメリカのディーツが、
太平洋で連続する海底火山のそれぞれに
日本の天皇の名前を付けました。
それらに、天皇海山列という総称も与えました。
ただし、天皇の即位順と並び順は対応していません。
明治海山が、海溝に近く、最も古いものです。

・ヒロ・
ハワイ諸島には、場所によって、
大都会、観光地、そして田舎もあります。
かつては、芸能人が正月になるとよく訪れる所した。
ハワイの空港での取材は、
年末の風物詩になっていたこともありました。
今では、それも昔の物語となりました。
ハワイ島は風光明媚でいいところです。
定年後には、ハワイ島へは再度訪れたいです。
できれば、のんびりとハワイ島の火山を
また見て回りたいものです。
前回はハワイ島のカウアイに泊まったのですが、
次回はヒロに泊まりたいですね。



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