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講 義■ Lec 016(その2)予測:未来を考える
掲示板■ 人類の叡智・いよいよ雪


 今回は、未来のこととして、死について考えていきます。死はある程度予測可能なのです。


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講 義■ Lec 016(その2)予測:未来を考える

▼ 「私たち」の未来
1 寿命とは
  生から死までの期間を寿命といいます。寿命にいろいろなものがありますが、生物でいえば、生が終わるとき寿命が尽きます。しかし、もの(実体)が残っていても、その存在理由、存在意義ななくなれば、寿命が尽きる場合も考えられます。たとえば、道具が壊れると、物質として道具は存在しますが、使えなくなった時点で道具としての寿命が終わったことになります。
  ですから、広い意味で考えると、寿命とは、命、あるいはそのものを特徴付けている性質、存在理由などがなくなること、になります。
  寿命には、
・内的寿命
・外的寿命
が考えられます。
  内的寿命とは、それ自身のが持つ命、存在理由などが尽きることです。いわゆる寿命とは多くの場合、こちらをさします。外的寿命とは、内的寿命が残っているのに、外的な要因で寿命が尽きてしまう場合です。たとえば、若者で元気な人が、交通事故にあえ致命傷を負えば、どんなに肉体的にまだ生きる能力を持っていたとしても、死を迎えてしまいます。このようなものを外的寿命と呼びましょう。内的寿命か外的寿命で、どちらか短いほうが、実際の寿命となります。

2 内的寿命
  いったい「私たち」には、どれくらいの寿命があるのか見ていきます。
  まず、「私たち」についてです。以前「私たち」について考えたとき、最大の「私たち」は、「この世」つまり宇宙で、最小の「私たち」は、自分自身のことになといいました。以下では、現在の科学でわかっている「私たち」の寿命をみていきましょう。
  宇宙の内的寿命は、宇宙の総質量によって、理論予測が可能となっています。宇宙は膨張の勢いと物質による引力(縮む力)とのバランスで、将来が決まります。現在は宇宙は膨張していますが、質量が多いと、宇宙はやがて収縮に移り、ビックバンの逆のことがおこります。このような未来をビッククランチと呼んでいます。質量ほどほどで、膨張の力と質量がやがてつりあえば、つりあったときの状態のままになります。質量が少ないと、永遠に膨張しつづけることになります。残念ながら、まだ宇宙の総質量が正確に見積もられていませんでの、どの運命になるかがよくわかっていません。
  銀河系の内的寿命も、まだよくわかっていません。しかし、長い寿命があったとしても、外的寿命として宇宙の寿命の影響を受けます。なぜなら銀河は宇宙の中になるからです。
  太陽の内的寿命は、わかっています。約100億年とされています。これは太陽内部で起こっている核融合と実測されるエネルギーの放出量から、理論予測されたものです。残された時間は、あと50億年となります。
  地球の内的寿命は、不明ですが、今まで46億年の地球の歴史をみていくと、現状の地球が十分維持できそうに見えます。しかし、外的寿命として、太陽の内的寿命として50億年というものがあります。太陽が死ぬときは、赤色巨星と段階を経ます。赤色巨星は、木星軌道あたりまでの大きさになると推定されています。そうなれば、地球は赤色巨星に飲み込まれて、原子のレベルまでばらばらになってしまいます。この外的寿命は理論予測といえます。
  生命の寿命は、現在の地球の環境が維持される限り続くと考えられます。これは、地球生命が約40億年にわたっていかなる環境変化にも耐え、全滅することなく存続してきたことを考えると、経験予測として内的寿命はずっと継続すると考えられます。生命の寿命は、地球の寿命と一緒となります。ですから、生命の外的寿命として、太陽の寿命からあと50億年という値が得られます。
  人類の内的寿命は不明です。しかし、参考資料として、食肉性哺乳類の属という分類のレベルみると、属の平均な寿命は800万年と計算されます。すべての種のレベルでは、100〜200万年となります。単に平均を取っただけですから、誤差は大きいはずです。しかし、人類も種して、永遠に続くわけではなく、傾向予測として、ある程度の時間が経過すれば、絶滅することは確かです。現在、人類という種は約500万年継続しています。後どれくらい人類が続くかは、不明です。
  個々の「私」の寿命は、不明です。しかし、人間として考えれば、せいぜい100年の寿命しかありません。これは、人間に関するさまざまな統計が示している理論予測です。日本人であれば、どれくらいの平均寿命があるかは、統計をみれはもっと正確にわかります。「私」の内的寿命として、は、100年と考えることができます。

3 外的寿命
  つぎに外的寿命として、人類を考えていきます。先ほどもみましたように、種としてどれだけ寿命があるかは不明です。しかし、人類の文明という視点で見れは、文明の外的寿命はある程度推定できます。現在の文明を維持するには、エネルギーが不可欠です。ですから、エネルギーの寿命を推定することができれば、文明の外的寿命が見積もることができます。
  エネルギーの寿命は簡単に理論予測できます。現在文明が使用してているエネルギーの大部分は、化石燃料に依存しています。化石燃料がなくなれば、現在の文明は維持することはできなくなります。それが外的寿命となるはずです。
  ですから、人類の文明の寿命を知りたければ、化石燃料の寿命を見ればいいのです。年間使用する化石燃料の量で、埋蔵量を割れば、あと何年その化石燃料が使用できるかが簡単に計算できます。
  石炭はあと192年で枯渇します。ウランは85年、天然ガスは67年、そして石油はなんとあと41年で枯渇してしまいます。化石燃料を今のまま使用していたら、私たちの子供や孫の代には、エネルギーは尽き、文明が維持できなくなります。何とか対策をしなければならないのです。これがエネルギー問題といわれているものです。
  食料の枯渇も、経験予測できます。それは、農地の減少が、砂漠化、酸性雨、乱開発、過度の農耕・牧畜などおこり、人口増加がさらなる食料を必要とします。これが、食料問題と呼ばれているものです。
  他にも、いろいろな予測からどう対処すべきかについて問題となっていることがあります。理論予測あるいは経験予測によって温暖化問題が、理論予測によって食糧問題、傾向予測によって生態系の破壊、ヒトの弱体化(傾向予測)、疲弊した文明(傾向予測)など、暗い未来を予測させるものが一杯あります。
  「私たち」の寿命についてみてきましたが、自分に近づくにつれて、寿命が限定されてきます。そして、不安な未来となります。でも、嫌な未来が予想されるのであれば、対処していけばいいのです。避けられないものもあるでしょう。しかし、被害を最小にすることは可能でしょう。明るい未来を迎えたいのなら、暗い未来を予測してそれに対処していくことしかないのです。そこにこそ、人類の叡智を発揮すべきなのです。


掲示板■ 万物の不幸・風邪  

・人類の叡智・
いい未来なら、予測するより、突然訪れたほうがうれしさも増します。
ですから、座して待てばいいはずなのですが、人は未来を知りたがります。
今回のように未来を調べたら、決して明るくはない未来が出てきました。
しかし、ここからスタートすべきです。
嫌な未来を事前に予測できたのは、幸運でした。
未来を知ることなく、突然そんな嫌な未来が起こったら、
対処できないことが多々あるでしょう。
今回取り上げた問題は、十分に時間があるとはいえませんが、
すくなくともある日突然訪れる不幸ではなくなりました。
例えばエネルギー問題は、あと数十年の猶予があることになります。
その期間内に、代替のエネルギーを見出し実用化できれば、
化石燃料の枯渇にも対処できます。
その時、別の化石燃料という対処療法ではなく、
新しいクリーンエネルギーであれば、現在よりいい未来が出現します。
逆境を乗り越えることで、
よりよい未来を生み出せる可能性もあるのです。
それ人類の叡智で成し遂げればいいのです。
いや成し遂げなければならないのです。

・いよいよ雪・
北海道はいよいよ雪となりました。
金曜日は午前中雪がふり、積雪も結構ありました。
びしょびしょの雪ですが、冬の訪れです。
私は、先週後半にひいた風邪で月曜日まで休みました。
まだ風邪はのこっていますが、
いちおう平常どおりの生活に戻りました。
でも、用心するにこしたことはありません。
今週末もおとなしくしていましょう。


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