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講 義■ Lec 014(その2) 見ること:この世の認識の拡大
掲示板■ 心を御する・健康第一


 今回は、「見ること」について、人はどのように処理しているのかをみていきます。「見ること」の解明は、かなり深く進んでいます。


▼ 講義ファイル
・Lec014_2の講義ファイル(講義時間 23:25)
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講 義■ Lec 014(その2) 見ること:この世の認識の拡大

▼ 見て認識すること
1 見える仕組み
  「見る」というのは、一般には、外の光が、眼に入ってきて、それを脳で像として再現する、ということです。これが、「見る」ということの本質です。しかし、そのメカニズムは複雑なものであることがわかってきました。
  見える仕組みは、入力系、感覚系、中枢系に区分して考えることができます。
  入力系は、外からの刺激とそれを受ける仕組み(受容器と呼ばれます)からできています。感覚系は、受容器と脳まで信号を伝達する神経細胞(ニューロンといいます)からできています。中枢系は、脳での作用で、感覚系から入ってきた情報を、処理するものです。脳内には多数のニューロンがあり、そのネットワークで情報の解析、判断、理解、反応などがなされ、必要なら、体に信号を送ったり(反応系といいます)、記憶したりします。
  以下では、それぞれを少し詳しく見ていきましょう。

2 光の刺激:見るための情報
  光で、人間の目が受け入れられるのは、可視光だけです。
  可視光とは、一般に人が知覚できる光(電磁波の一種)のことです。視覚を刺激する範囲の波長は、380〜780nmです。nmとは、10億分の1mのことです。
  認知心理学では、人間が感じる光の物理的な基本的特性として、波長、強度、純度の3つを挙げています。
  波長とは、光を波として見た場合、ある時間における波の山と山、あるいは谷と谷の距離をいいます。波長は、光速(3.00×10^8m/s)を振動数(Hz)で割って求めることができます。
  波の山もしくは谷の高さを、強度あるいは振幅といいます。純度とは、主とする波長の中に混入している他の波長の波がどの程度あるかの比率で表されます。
  この3つの光の特徴が、外部からの刺激として受け取られます。

3 受容器:入力情報
  外の刺激は、感覚受容器とよばれる細胞で感知します。感覚受容器は、ニューロンの一部分で、刺激のエネルギーを電気的な変化に変換する特殊な細胞です。受容器に刺激が加わると、その大きさに比例して、細胞膜に電位差(受容器電位と呼ばれます)が生じます。その受容器電位は、約+40mVで、数m秒ほど続きます。
  刺激を起こす最小の値(閾値、しきい値)があり、暗すぎる光は見えません。また、光の受容器は、限られた波長の光しか見ることができません。しかし、発生した受容器電位は、刺激には関係なく、一定の値となります。ただし、信号が強い場合や持続する場合は、発生の回数が多くなり、強い刺激と感じます。

4 ニューロン:情報伝達
  神経細胞(ニューロン)が持つ多数の腕のようなシナプスは、時間的、空間的に加え合わされた刺激が、閾値を越えたとき、電気が発生して、伝達されます。シナプスが受け取った信号が、多ければ刺激の合計が増え、信号となります。

5 脳:認識の誕生
  刺激は、感覚神経で電気信号として、脳へ送られます。そして、脳で情報処理をして、その刺激が認識されます。刺激の情報が脳に達して初めて、刺激を受けた部位の感覚がわかり、その意味が理解されます。
  脳の一番外側にある大脳新皮質では、もっとも高度の心理的な活動がおこなわれれます。右脳は、空間の構成、情動の理解、形態処理、全体的処理、並列処理、心像性操作などがおこなわれ、左脳は、発語、言語材料の識別、意味の理解、音韻処理、分析的処理、系列的処理、言語性操作をおこなわれます。

6 記憶:後の判断材料に
  記憶には、感覚記憶と短期記憶、長期記憶の3種があります。
  感覚記憶は、感覚器官から入ってきた情報を、認識するまでの保持される記憶です。感覚記憶の特徴は、保存時間がごく短いこと、イメージとして保存されること、情報の符号化や置き換えがなされないこと、かなり鮮明に保存されることです。
  短期記憶は、感覚記憶に入った情報の一部は、パターン認識で符号化され、短期記憶となります。短期記憶の特徴は、保存時間が短いこと、何らかの符号化・暗号化がおこなわれていること、記憶容量に限界があること、何らかの見出しとともに保存されること、役割が終わると記憶は消えることなどが挙げられます。
  長期記憶は、主に言語にかかわる宣言型記憶と動作にかかわる手続き型記憶
があります。長期記憶は、複雑な高次の知識構造をもっています。
  短期記憶は、繰り返し循環されると、長期記憶へと変更できます。

 以上見てきたように、脳内のニューロンのネットワークが、刺激に対してそれぞれ固有の判断や記憶がなされます。これが、個性であり、人間性であります。人の心はまさにここにあるように見えます。人の個性や心のありようや、ありかまで、現在の科学は解明しつつあるのです。


掲示板■ 心を御する・健康第一  

・心を御する・
人間がものを「見る」ということは、
単純に見えて、実は複雑なことをしています。
認知心理学の教科書をみると、
医学的な側面の記述が非常に詳しく示されています。
人は「見る」ということを、
ここまで詳しく知ることができたのだと
感心してしまいます。
そして、心の在り処すら、解き明かそうとしています。
ここまで科学が解明してきても、
自分の心はままならないものです。
これは人が何千年も前から悩まされてきたことです。
そんな心の悩みは最近富に深くなっている気がします。
心についてこんなに多くのことがわかってきても、
心を御するのは難しいのですね。

・健康第一・
この連休に大雪山の旭岳に行く予定をしていました。
しかし、金曜日の夜中に腹痛で起きて
トイレに行って少し楽になり、寝入りました。
長男は、ここ数日、腹痛を繰り返しています。
ただ、普通に学校にもでかけています。
金曜日に医者に行きました。
次男も風邪気味だったので一緒に連れて行きました。
すると最近はやっているお腹にくる風邪だそうです。
ですから、急にキャンセルになりました。
まあ、だめでも仕方がありません。
健康第一ですから。


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