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講 義■ Lec 010(その2) 見えないもの:見えないものを見る方法
掲示板■ 梅雨・ワールドカップ 


 見えないものは、信じないという人がいます。でも、見えているものはほんの少しのです。そんな見えないものについて、今回は考えていきましょう。


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講 義■ Lec 010(その2) 見えないもの:見えないものを見る方法

▼ 見えないもの
1 見えないもの
 「見たことのないものは、信じない」という人が、たくさんいます。しかし、「この世」で見えるものは、見えないものと比べると、ほんの少ししかありません。
 例えば、電磁波はほとんど見えません。私たちには、「見えている」電磁波とは、全電磁波の中で、可視光(波長:3.8〜7.8×10^-7m)と呼ばれている範囲だけです。可視光は、全電磁波のうちのほんの一部にすぎません。私たちが観測できる電磁波は、波長でみれと10^8〜10^-17mの25桁になります。私たちが肉眼で見えるのは、電磁波の25桁の波長うち、一桁にすぎないのです。
 では、肉眼で見えない電磁波ないというのでしょうか。今やテレビ、ラジオ、携帯電話など、使わなくては生活できないほど、電磁波は現代社会で重要な役割を果たしています。それがないというのは、無謀ではないでしょうか。見えなくとも、その存在が、分かっているのであれば、「ある」とすべきではないでしょうか。
 質量では、少し違った見え方がします。私たちに「見えている」物質は、実はほんの一部であることがわかってきました。このような見えない物質を、暗黒物質(dark matter、missing mass)とよんでいます。
 暗黒物質は、銀河の構造や回転、宇宙の密度などから、存在すると考えられています。それが、なにかわかってはいないですが、「ある」という証拠があるのです。
 暗黒物質の量は、見えている物質と比べると、太陽近傍では2倍、銀河の中心部では10倍近くあると推定されています。量は、見ている物質より多いことになります。暗黒物質があることがわかっていのですが、どんなものなのかがまだわかっていないのです。
 時間は、電磁波や質量とも違っていて、あるのがわかっていますが、見えないものです。私たちに「見えている」時間は、「現在」と断片的な過去の時間です。しかし、物理的な時間は、宇宙の開闢以来、一定のスピードで流れています。そうなると、われわれに「見えている」時間は、ほんの一部にすぎません。しかし、過去へと流れ去ったしまった膨大な時間は、もはや見ることはできないのです。また、未来にも長い時間の継続があるはずなのですが、それは見えていないのです。
 私たちに「見えている」空間は、「現在」の地球近辺だけです。遠くの空間は、電磁波で見ているため、過去から届いたもので、過去の空間の情報となります。ですから、「現在」の「見えている」空間は、私たちの近所のほんの少しのものとなります。
 結論として、科学で解明するまでもなく、私たちに「見えている」ものは、「この世」のほんの一部に過ぎないことがわかります。しかし、見えなくても、存在するのです。

2 見えないものを、探す方法
 今までのはなしで、私たちに「見えている」ものは、「この世」のほんの一部に過ぎないことがわかったと思います。ですから、「見えないものを信じない」というのは、狭い考え方だといえます。
 しかし、気をつけないといけないことがあります。見えないものをすべて信じてはいません。見えないものには、「ないもの」と「あるもの」が含まれています。
 「ないもの」は、見る努力をしても、見えるわけはありません。だから、永遠に見えないのです。「あるもの」は、見る努力によって見える可能性があります。
 問題は、あるかどうかわからないものです。上で述べた暗黒物質は、あるのがわかっているのですが見えないものです。これは見つければ大発見となります。でも、これはあるという証拠があるのですから、あとは見つけるだけです。大発見に違いないですが、予想できる大発見ととえいます。
 本当の大発見は、あるかどうかわからないものを、誰もが見つけよう、探そうともしないものを見つけることです。そんなものは、もしかするとないかもしれません。そんな不安がある研究テーマとなります。そのようなものを研究するには勇気がいります。もし失敗すれば、それまでの努力がすべてだいなしになります。
 しかし、そのようなあるかないかわからないものを、どのように研究していくのでしょうか。
 私たちは、今まで考えてきたように、科学的な方法があります。それを使えば「あるかどうかわからないもの」を見ることができるはずです。それは、「論理と証拠の提示」という、今までなんども述べてきた科学のやり方に、従えばいいのです。
 しかし、それには、思考実験として、柔軟な考え方が必要です。そして、もし見つかった時に、どのよう結果が期待できるかも考えておく必要があります。この講義では、「あるかどうかわからず、見えないもの」を科学的に探す例として、ETIについて紹介しましょう。詳しくは、次回からです。


掲示板■ 梅雨・ワールドカップ  

・梅雨・
本州はもう、梅雨入りをしました。
北海道まで梅雨前線が上がることはほとんどないので、
北海道では、梅雨はありません。
北海道は、5月下旬から6月初旬は
天気が悪く、肌寒い日が続いています。
そろそろしまおうと考えていたコートを出して着ています。
行事は、天気とは関わりなく、日程どおり組まれます。
北海道ではYOSAKOIソーラン祭りが始まっています。
長男が通う小学校では、運動会があります。
北海道の人たちが、一番晴れて意欲しいと願っている時期です。
でも、天気があまりよさそうではありません。
こればかりは、心配しても変わりようがありません。
自然現象ですから、素直に受け入れるしかありませんね。

・ワールドカップ・
サッカーのワールドカップがはじまりました。
オリンピックは、夏も冬の大会も多くの競技があり、
すべてを見ることは不可能です。
ですから、どれが好きな競技をみることになります。
それが放映されるとは限りませんので、
ニュースで見ることが多くなります。
しかし、サッカーは、一つの競技で、世界各国が戦います。
体力を使う競技ですから、続けて試合をすることはできません。
自国を応援する方も、何日か置きがんばればいいので、
集中してみることができます。
私もサッカーは好きなのですが、
ドイツでの開催なので、時差が7時間あり
夜中や明け方の放映が多く、見れるかどうかわかりません。
それに、毎日朝に講義があるので、寝過ごしでもしたら大変です。
ですから、あまり無理して見ることはできません。
なにごとも、ほどほどにでしょうか。


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