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講 義■ Lec 009(その4)わかること・わからないこと:私たちとは何か
掲示板■ ゆっくりと着実に・春から夏へ 


 「わかること・わからないこと」の4回目です。そして、やっと「私たちとは何か」について答えを出すことができます。


▼ 講義ファイル
Lec009_4の講義ファイル(講義時間 13:28)
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講 義■ Lec 009(その4)わかること・わからないこと:私たちとは何か

▼ 「私たち」をつくっているもの:要素還元的に考える
1 「私たちとは何か」の答え
 「私たちとは何か」の最小のサイズの課題は「自分を知ること」で、最大のサイズの課題は「宇宙を知ること」となりました。いろいろな「私たち」のサイズに応じて、すでにいろいろな学問体系を人類は持っています。その知識の体系を用いれば、答えを出すことができます。
 実は、この講義では答えを直接出しません。答えは、すでにあるからです。答えにたどり着く道筋を整理することが目的でした。その整理によって、必要な答えがどこにあるのかを調べることができるからです。
 例えば、「私たち」が「太陽系」のことを意味するのであれば、惑星科学の教科書や専門書を読んだり、あるいは研究者にたずねればいいのです。すると現在の惑星科学が解き明かしている「私たち=太陽系」の特異性と普遍性、そして由来(起源)を知ることができます。
 もちろん、答えを求めたとしても、まだ答えがまだ「わからないこと」も多数あるでしょう。しかし、「わからないこと」であったとしても、今やより進んだレベルでの「わからない」ものになっています。
 それぞれの学問分野には科学的な手法がありますので、その手法を用いれば答える得られることができるはずです。それでも「わからない」のであれば、人類の知識の限界がそこにあることになります。今は「わからない」ものであっても、新しい技術が開発され手法が発見できれば解明できるかもしれません。それを待つか、自分で開発や発明してしまえばいいのです。そうなれば、研究者への道を進むことになります。
 どこまでやるかは、自分がそれほどその答えを求めているかの熱意によります。そして、熱意に応じて、得られる答えの量やレベルも違ってきます。

2 「私たち」をつくっているもの
 さて、つぎのステップとして、「私たち」をつくっているものを、要素還元的な考え方で、みていきましょう。
 「私たち」はより小さなものが集まって、「私たち」ができあがっています。「私たちをつくるもの」を突き詰めていくと、「この世」で最小のものへとたどり着くはずです。
 最小の「私たち」は「私」で自分自身のことです。では、その自分自身からはじめていきましょう。自分自身は「この世」に1個しかありません。
 その肉体は、多種の有機物からなりたっています。有機物とは多種の分子が結合してできています。分子は、原子からできています。原子の種類はすべてで106種、発見されています。そのうち「この世」に安定に存在するものは、89種です。原子の重さ(質量数)の違いまで区別してみると、約280種(同位体や核種といいます)が安定に「この世」に存在することがわかっています。
 原子は、多数の素粒子からできています。素粒子は、「この世」で最小のものです。これより小さいものは、エネルギーになり、物質とはいえなくなります。素粒子ですら、エネルギーと物質の境界にあるようなものです。ですから、なにからできているのかを物資を問うのであれば、原子もしくは素粒子がその答えとなります。
 自分の肉体から出発しましたが、別の「私たち」として、「私たちの地球」からはじめてみましょう。
 地球も「この世」に1個しかありません。地球は、大気(気体)、海洋(液体)、生物(有機体)、そして岩石や鉄(固体)からできます。身近な固体として、石ころ(岩石)を取り上げましょう。固体としては一番体積のおおいものです。岩石は、種類は多種あります。岩石は、鉱物がらできます。現在、鉱物の種類は約4000種あります。鉱物とは原子が集まった結晶のことです。結晶は原子からでてきます。原子は・・・となり、自分自身とは同じ経路をたどり、答えは、原子もしくは素粒子へとたどり着きます。
 還元主義的に考えれば、「私たち」をつくっているものの答えは、欲しいレベルさえ指定できれば、一義的に決めることができます。単純明快な答えが得られました。

▼ 「私たち」の階層構造:「この世」で最大のもの
 では、今度は、「私たち」の階層を上がっていきながら、その見え方の変化を眺めていきましょう。それは「私たち」の定義を拡大したときと、同じプロセスをたどります。
 概略を述べると、地球からはじまり、太陽系になります。太陽系は星(恒星)の仲間です。質量で見ると太陽の質量ほどですから、1.99×10^23gとなります。これを1M◎とあらわしましょう。
 星は、集まって星団をつくります。星団の質量は、質量は10^9M◎で、星団を構成している星の数は10^2〜10^6個です。星団は銀河に属しています。銀河の質量は10^10〜10^12M◎で、星の数は10^11個ほどです。
 銀河は集まって銀河群を形成しています。その質量は10^11〜10^13M◎ほどで、銀河の数は10^1〜10^3個になります。銀河群より大きな集団として、銀河団があり、質量は10^15M◎、銀河の数は10^3〜10^5個になります。さらに大きな集団として、超銀河団があります。しかし、宇宙がまだすべて見えてないので数は不明です。その質量は10^16M◎で、銀河の数は10^4〜10^6個となります。
 銀河団より大きなものは、宇宙になります。私たちが知っている宇宙は、今すんでいるもの1つだけです。その質量は10^21〜10^23M◎、銀河の数は10^19〜10^13個となります。これが、階層のいちばん大きいものへの道筋です。

▼ この世で最小のものと最大のものかかわり:宇宙の階層
 「この世」を構成する最小の素粒子から、最大の宇宙までみてきました。「この世」で最小のものである素粒子と、最大のものである宇宙は、一見かけ離れた存在に見えます。ところが、両者は、ビックバンという宇宙の起源を調べるには、区別しては考えられない共通性があります。
 これは、非常に不思議なことです。学問も、宇宙の誕生を研究する分野と素粒子の研究の分野は、非常に密接な関係があります。宇宙と素粒子にも、フラクタル的関係があるのかもしれませんね。



掲示板■ ゆっくりと着実に・春から夏へ  

・ゆっくりと着実に・
10月下旬からスタートしたこの講義は、7ヶ月近くたちました。
現実の講義では、14回の講義を半年で行います。
それと比べたら、この講義は、ゆっくりと進んでいます。
現実の講義1回分の内容を、
4回ほどに分けて、1月かけて紹介しています。
無理せずにゆっくりと着実にいけばいいのです。
この「Terraの科学」で講義を回数は、
全部で17講を予定しています。
現実の講義では、回数や日数に制限がありますが、
このインターネットでの講義では、
自由にやりたいように講義が組めます。
そこがいいとこです。
講師として伝えたい全貌を、
伝えたいペースで、伝えたいだけ、伝えることができます。
そのほうが、もしかすると受講生も、
深く理解できのかもしれません。
私自身、このような内容をまとめるに、
長い年月をかけてきました。
その集大成と考えれば、公開するのに、
1年以上かかってもいいのかもしれません。
じっくりお付き合いください。

・春から夏へ・
いよいよ5月も終わりとなりました。
北海道もいよいよ春から夏へと向かいます。
6月になれば、北海道は運動会の季節になります。
我が家の長男の小学校でも運動会の準備が進んでいます。
次男の幼稚園でも運動会があります。
大学でも学部の運動会があります。
いずれも父母や教員が参加する競技があり、
日ごろの運動不足が悔やまれる季節でもあります。
でも、外で走り回るのは疲れるのですが、
気持ちが晴れ晴れとします。
そんな季節になりましたね。


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