はじめてこの講義を受講するかた、
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講 義■ Lec 009(その1)わかること・わからないこと:私たちとは何か
掲示板■ 道東の調査・Blog 


 「私たちとな何か」というテーマで、わかることとわからないことを考えていきましょう。


▼ 講義ファイル
Lec009_1の講義ファイル(講義時間 20:01)
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ISDN用(ファイルサイズ 2.4MB)


講 義■ Lec 009(その1)わかること・わからないこと:私たちとは何か

▼ 要素還元主義
1 「あるはず」という先入観
 ある架空の事件を考えましょう。
 ある山奥の工事現場で地下を掘り返していたところ、人骨が見つかったとしましょう。その人骨は、首の骨が鋭利な刃物で切られて、頭骨と刃物が近く埋まっていたとします。
 人骨とは死んだ人のことで、そこには死体、つまり人の死があったことを意味します。また、骨が地中から出てきたことから、死んだ人がそこに埋められた、埋もれたことは確かです。また切れた首、切るために刃物があったのですから、首が切られたということも状況から、事件性が強いことも考えられます。
 以上のような証拠から、殺人事件の可能性が高いと考えられるでしょう。多分、警察もそう考えるに違いありません。
 警察は、そこで見つかるものを証拠として、その殺人事件の犯人逮捕を目指すことになります。その事件は、現場に残された、さまざまな証拠は、犯人を探るのに重要な役割を持つことでしょう。
 しかし、この架空の事件の真相、事実は、今は廃村になったのですが、その村では、死体の首を切断して、首と切った刃物といっしょに埋葬する風習があったところでした。警察が調べても、その風習を知る人はいなかったのです。
 このような架空の事件は、可能性は少ないですが、本当にあったことであれば、今までの殺人事件という前提が消えることになります。しかし、警察がそんな風習を知らないと、真相のようなシナリオは可能性が少ないので、最初から候補として考えず、迷宮入り事件となっていくでしょう。
 私たちは、科学的に考えていこうとするとき、実はある無意識の前提をもっています。その前提とは、
・可能性の高いものが起こったはず
・証拠間には、ならかの因果関係(論理)があるはず
というものです。これは、先入観といっていものかもしれません。
 そして、それらを信じて、真実と思ってしまいます。これは今までの、科学の一般的な手法である(要素)還元主義と呼ばれるものです。
 還元主義とは、「結果は原因より生じる」という一義的な因果関係で説明できるという考えです。これは、19世紀から現在にかけて、科学の世界で広く展開され、利用されている考え方です。科学だけでなく、多くの論理的思考は、還元主義的な考えでなされています。
 学問分野で、いくつもの例があります。
 生物学では、生物のDNA、たんぱく質が生命の本質で、それが生物活動のすべての解明する基本であると考えられたことがあります。
 化学では、分子や原子が、物質の基本的要素だから、それらの要素を完全に把握できたら、物質のことはすべてわかると考えられたことがあります。
 物理学では、相対性原理(かつてはニュートンの力学)で解けば、すべての物質の振る舞いはわかる。19世紀末には、「マックスウェルの悪魔」と呼ばれる今ではコンピュータのようなものがあり、データを方程式に入れてあげれば、すべての物理現象が解明できると考えられたことがありました。

2 還元主義の成果
 今までの科学は、この還元主義によって、実施され成果を挙げてきました。そしてこの還元主義は、現在も、一番よく利用されている考え方です。何かが起こった結果があれば、そこには原因がかならず存在する(逆に原因があれば、きっと結果が生じる)という考えは、研究するものにとって、重要な研究の動機となります。研究をすればゴールはきっとあり行き着けるはず、という考えを支えています。ですから、がんばれるのです。
 科学では、ゴールにたどりやすくするために、複雑な現象の時は、単純化していき、より根本的な原因は何かと考えていきます。そして一番根源的な原因と考えられるものを見つけてきました。この還元主義が、近代の科学技術を支えてきたともいえるのです。


掲示板■ 道東の調査・Blog  

・道東の調査・
ゴールデンウィークです。
皆さんは出かけましたか。
その最中かもしれませんね。
私は、大学の講義がないときにしか動けませんから、
この連休は非常に貴重です。
今回のゴールデンウィークに
私は、北海道の東の方を調査しています。
道東はまだ春が浅く、桜もこれからのはずです。
回るべき範囲が広いので
移動ばかりに時間がかかり、調査の時間が少なく大変です。
知床まで足を伸ばしたいところですが、
混んでいそうなので、時間短縮のために、避けようと考えています。
道東の見るべきところだけを、
要領よく回らなければなりません。

・Blog・
最近Blogが気になっているのですが、
なかなか試してみる気になれません。
Blogはホームページが煩雑だと思う人に、
プロバイダー(サーバ)側が
維持、管理、検索などの機能をすべて用意して
ユーザは作ることに専念できる仕組みです。
私としては、データを置くサーバはどこでもいいのですが、
記録や保存、過去の記録の修正などを、
サーバの機能にまかせると、何かをしたいとき、
不自由がないだろうか、それが問題となります。
それに、私は今の形式のホームページに、
長い時間をかけて試行錯誤して至ったので、
大まかには満足しています。
でも、Blogの持つコメントやトラックバック、
キーワードによる分類、記録日による分類、
どころからでもアップロードできる、
などの機能は魅力があります。
これらを自分でホームページにつくるとなると面倒です。
周囲の反応を気軽に汲み取る仕組みがないのが、
現在の私のホームペ−ジの難点です。
しかし、現状のホームページであっても、
興味ある人は、指定したメールアドレスに連絡をくれます。
そこまでする人は、ホームページに興味を強く持った人となります。
メールを送るという行為は、
非常に大きなフィルタリングをしていることになります。
最終的にはBlogに踏み切るかどうかは、
その境界をどう考えるかだけの問題かもしれません。
そんなことを考えめぐっているだけでなかなか踏み出せません。


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