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講 義: Lec 005(その3) 知恵をはかる:私たちの知恵の程度
掲示板■ 入試・冬の大学の裏側
 


 知恵のはかり方の最後です。ETIを意識して、私たちの学問の普遍性を眺めていきましょう。


▼ 講義ファイル
Lec005_3の講義ファイル(講義時間 25:23)
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講 義: Lec 005(その3) 知恵をはかる:私たちの知恵の程度

▼ 化学
1 元素
 化学の主役となるものは、元素でしょう。元素は、宇宙共通の基本的要素であります。元素には、限られた種類しかありません。他の知的生命にとっても、元素の記号やその名前はもちろん違うでしょうが、同じものへとたどり着くはずです。
 そんな元素に関する私たちの考えかたを、ながめていきましょう。
 1774年にラボアジェは質量保存則というものを発見しました。化学反応の際に、反応する前と後では物質の全質量は変化しないというものです。しかし、現在では、エネルギーの放出によって、変化することがあることわかってきました。
 1803年に、ドルトンが、物質を構成する究極の粒子は、原子であるということを発見しました。それ以来、自然界に存在するすべての原子が発見されました。現在、原子は90種ほどがあることがわかっています。現在、その原子も、複数の素粒子からできていることがわかっています。ですから、究極の粒子は、素粒子というべきかもしれません。
 原子には、質量数と共に性質を変えていき、その性質は周期的に繰り返していることがわかり、1869年にメンデレーエフは周期律表を作成しました。
 かつては、物質を構成する原子は、永遠に不変であると考えられていました。しかし、原子には不変でないものもあることが発見されました。1896年にベクレルが放射性同位体を発見し、1902年にはラザフォードとソディーが原子核崩壊を発見しました。1938年にハーンたちは原子核分裂を発見しました。
 アインシュタインは1905年に、質量がエネルギーと等価であることをしめしました。その表現として、
 E = m・c^2
という有名な式があります。エネルギー(E)と質量(m)は互いに変換できるということです。

2 熱力学の法則
 化学の中には、熱力学という重要な考え方があります。熱力学には、4つの基本法則があります。
・熱力学第0法則:熱平衡
温度の違うものを接しておいておくと熱平衡に達するというもの。
・熱力学第1法則:エネルギー保存則
 仕事と熱の等価性というもの。
・熱力学第2法則:エントロピー増大の法則
 熱現象の不可逆性のことで、エントロピー「乱雑さ」というもので、その量を表します。宇宙ではエントロピー増加の方向でしか進行しないということが考えられます。熱力学的に考えると、時間の逆行は許されない、つまり宇宙の出来事はすべて不可逆過程ということです。時間は一方向のみに流れていきます。これを「時間の矢」と表現することがあります。
 このようなことから、クラウジウスは、宇宙の最後に「熱的死」が訪れると考えました。
・熱力学第3法則(ネルンスト、1906年)
 これは、後に加えられたものです。エントロピー自体が絶対零度で有限の一定値ゼロになるというものです。ネルンスト・プランクの熱定理と呼ばれています。

3 地球の化学の特徴:有機物
 地球の化学は、人類自体が生命なので、生命をつくっている有機物という物質の知識が多くなっています。有機物とは、生物を体をつくり、働かせるための物質です。炭素(C)という周期律表で6番目の元素を中心につくられています。有機物とは、もしかすると、地球固有のくせのある物質なのかもしれません。
 現在の地球の化学という学問は、有機化学だけ、やけに詳しいものとなっています。もしETIが炭素を中心としてないのであれば、重箱の隅をつつくような知識かもしれません。しかし、有機化学も化学の一部であります。もちろん無機化学は、宇宙語として共通の知識となるでしょう。ですから、ETIでも理解は可能でしょう。
 また、もしETIも炭素を利用した肉体を持っているかもしれません。するとそれはお互いに重要な共通する知識といえるかもしれません。

▼ 生物や地質学
 生物学と地質学は、地球固有ものです。生物学とは、地球生物学です。地質学とは、字が表しているように地球に関する学問です。ですから、生物学も地質学も、宇宙に通じるような学問かどうかは、わかりません。多分、地球固有の部分が多いことでしょう。
 しかし、今後、「この世」の生物学や地質学へと、宇宙生物学や宇宙地質学へと、今後、発展して変わっていくべきでしょう。


掲示板:入試・冬の大学の裏側  

・入試・
今日と明日は、センター試験です。
私の大学も試験会場になり、試験監督として立会います。
一昨日と昨日も大雪のため、公共の交通機関が乱れています。
明日、もしそのようなことがあると、
受験生にも、試験実施側には、いろいろ大変となります。
もちろん、それなりの対策はとられていますが、
そんな対策はとられない方が良いわけです。
しかし、天候ばかりは、人智の及ぶところではありません。

・冬の大学の裏側・
センター入試が終わると
大学は、後期の定期試験、一般入試と続きます。
その間教員は、入試採点、卒業論文、定期試験採点、
成績、卒業認定、進級認定などと、
講義は終わるのですが、息をつく暇なく、
つぎつぎと仕事や会議、打ち合わせがあります。
3月中旬にならないと、このどたばたは一段落しません。
でも、この時期、授業がないので、
細切れ時間ですが、仕事をする時期でもあります。


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