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講 義: Lec 005(その2) 知恵をはかる:私たちの知恵の程度
掲示板■ メールマガジンの遅れ
 


 メールマガジンの発行が遅れて、申し訳ありませんでした。九州調査から帰った直後から発熱して、風邪でダウンしました。17日には、復帰したのですが、まだ不調です。でもとりあえず、マガジンだけは遅ればせながら発行します。


▼ 講義ファイル
Lec005_2の講義ファイル(講義時間 29:28)
ブロードバンド用(ファイルサイズ 7.1MB)
ISDN用(ファイルサイズ 3.6MB)


講 義: Lec 005(その2) 知恵をはかる:私たちの知恵の程度

▼ 数学
1 2進法
 前回、○と×だけでも、算数や数学の世界のことは、けっこういろいろなことが、ETIに伝えることができることが、わかってきました。ここで紹介したことは、2進法という0(ゼロ)と1だけでの世界の計算方法、あるいは伝達方法を利用したものです。でも、この2進法は、コンピュータの世界で行われていることです。
 単純な要素(0と1)を単純な規則でつたえるのですが、その規則を高速で処理できれば、けっこう複雑なこともこなせます。これは、現代のコンピュータが、どれほどのことができるかということを考えれば、そのすごさが想像できるでしょう。
 現代のコンピュータは、アルファベットだけでなく、ひらかな、カタカナ、漢字、いえいえ、日本語だけでなく、もっといろいろな言語への対応はできてます。それに、絵だって書くことができます。写真を撮って、保存したり、加工したり、印刷したりすることもできます。動画だってハイビジョンのように、非常に高精細に処理できます。映画のCGに至っては、本物かどうかの区別もできないほどです。
 0と1だけだと、あなどってはいけません。私たちが日ごろなれ親しんでいる10進法でできることは、2進法でもすべてできます。それに、ETIとの通信を考えたら、10進法より2進法の方が有利だということを、最初に紹介しました。
 10進法とは、私たちがたまたま両手を合わせて指が10本あっただけで、使っているにすぎないのかもしれません。8本なら8進法、6本なら6進法を採用していたことでしょう。
 でも、2進法より単純な方法はありません。ですから、2進法こそ、一番単純で、どこに通用する普遍的な伝達手段かもしれません。

2 論理だけの世界
 コンピュータでいろいろなことができるといっても、処理の仕方は、論理に基づいていますから、論理的に示せることだけです。論理的に示せないことは、コンピュータにはできません。また、論理が間違っていれば、コンピュータでも間違います。
 論理的なことであれば、同じことを何度でも、繰り返し行うことができます。人間のように、毎回違ったところで間違いをするようなことはありません。コンピュータは同じ間違いをします。コンピュータの間違いは、人間が論理を教えるときに、間違って教えたのです。
 コンピュータでは、論理として展開できることは処理できます。上で出した例は、ほんの一部かもしれませんが、論理的なことは、なかなか多様な世界を持っているようです。

▼ 論理と数値
1 論理の形成
 では、論理とはどのように作り上げられるでしょうか。
 まず、論理を作る基礎となるデータが必要です。データを得るためには、観察、計測、観測、実験などをして、前回やった「はかる」ということをしなければなりません。
 「はかる」ことは、時と場所を越えて、いろいろな条件で行い、データをえなければなりません。つまり、データの蓄積していくことです。
 そして、蓄積されたデータから規則の抽出していきます。これを帰納法といいます。そしてその規則の別のものに適用してみて、その規則が正しいかどうか確かめてみます。これを演繹法といいます。
 多数の演繹をしてみて、合わない例外的なデータが出てきたら、その例外データも蓄積していきます。例外も例外といえないほどあれば、例外にだけ通用する規則を帰納する必要があるかもしれません。あるいは、例外を生まないような新たな規則が必要かもしれません。
 そんな規則ができたら、再度演繹して確かめていきます。
 この繰り返しが、論理の形成と進歩です。これは、科学の進歩とも言い換えることもできます。

2 数値
 論理的でさえあれば、その内容は、コンピュータにもETIにも、伝えることができます。しかし、いったん数値を入れだすと、不確かさが出てくることがあります。
 それは、地球や、あるいは人類につごうのいい値を規準にしているからです。論理的ない数値が紛れ込んでいるからです。物理の基本的単位の多くは、地球あるいは人類固有の非常になまりの強い方言といえます。そこには、ほかの星の知的生命には、理解しがたいものもあります。
 「地球弁」の一番の問題が、質量の決め方にありました。
 長さや時間、温度の基本単位は、決め方が普遍的、宇宙的なので、伝えることができました。しかし、質量は地球でしか通用しない値を用いていました。まずいことに、他の基本単位である光度、質量数、物質量、電流は、質量と関係する単位となっていました。
 つまり、私たちのはかった数値は「地球弁」として、なまっているのです。不確かにしか伝わりません。
 数学や論理によて組み立てられている部分は、伝えることができますが、数値が入る出すと、とたんに訛りの強い内容となるのが、私たちの地球の科学なのです。

▼ 物理学
 物理学は、まさに科学の進歩を象徴するようなものです。いろいろな規則が見つかっていますが、その概略を紹介しましょう。

1 古典力学3法則(ニュートン、1687年)
・慣性の法則(第1法則)
 物体に働く合力が 0 のとき、物体は、静止か等速度直線運動を続ける、というものです。式では、
 F = -m・a
と書かれます。ここで、Fは慣性力の大きさ(N)、mは物体の質量(kg)、aは観測者の加速度(N)を示しています。

・運動の法則(第2法則)
 物体に力 F(N)が働くとき、物体には力の向きに加速度 a(m/s2)が生じ、
その加速度の大きさは物体の力の大きさに比例し、物体の質量 m(kg)に反比例するというもので、
 a = F/m(運動方程式)
と書かれます。

・作用・反作用の法則(第3法則)
 物体Aから物体Bに力を働かせると、物体Bから物体Aに同じ大きさで反対方向の力が働くというものです。

・万有引力の法則(ニュートン、1687年)
 質量を持つ2つの物体は、両者の質量に比例し、距離の2乗に反比例する引力をおよぼしあっている、というもので、
 f = G・m1・m2/r^2
と書かれます。ここで、f(N)は万有引力の大きさ、m1、m2(kg)は物体の質量、r(m)は距離、G は万有引力定数(6.6726×10^-11 N・m^2/kg^2)を示しています。

2 論理も進化する
 論理は、検証あるいは実験可能な範囲で調べて確かめられます。しかし、調べる技術が進んで、従来の限界以上の実験ができるようになると、今まで検証されていた範囲以外では、従来の論理が破綻することがあります。そのようなものは、もちろん物理学の規則でも起こってきました。

・特殊相対性理論(アインシュタイン、1905年)
 ニュートンの力学の法則は、私たちの日常的な状態では、いいのですが、日常からはなれると、合わないことが起こってきます。そんな合わない現象をも説明する新しい規則として、アインシュタインの相対性理論というものがあります。
 相対性理論とは、慣性系は相対的であるという相対性原理から名づけられています。相対性理論では、すべての慣性系で真空中の光速度は不変であるという光速不変原理から出発しています。これに合うように、すべての物理的規則が書き換えられました。

・一般相対性理論(アインシュタイン、1916年)
 続いて、アインシュタインは、すべての観測者の立場は相対的であるというより拡大された相対性原理を用いました。特殊相対性理論に等価原理を加えました。等価原理とは、物体の持つ慣性質量と重力質量の値は等しいというもので、重力と加速度は同じということになります。

3 アインシュタインも書き換えられる
 20世紀を代表する偉大なアインシュタインが相対性理論から導き出した宇宙に関する規則も、やはり書き換えられます。
 。ハッブルは、1929年に、遠くの銀河ほど速く後退しているという規則を見出しました。ハッブルの法則と呼ばれるものですこれは、宇宙は膨張しているということを意味していました。
 この発見によって、アインシュタインの静止宇宙論に基づいた宇宙の見方が崩壊して、膨張宇宙論へと変わりました。


掲示板:メールマガジンの遅れ  

・メールマガジンの遅れ・
メールマガジンが遅れて申し訳ありませんでした。
5日〜12日まで、九州へ調査に出かけていました。
帰った直度、風邪を発病して、寝込んでいました。
症状は、インフルエンザではないようですが、
不調でごろごろしていました。
インフルエンザは予防接種をしていますし、
タイプが違うともっとひどいものになっているはずです。
自宅でも、起きていたのですが、
ある間隔をおいて、汗が出てきます。
夜、寝ているときが特に顕著です。
17日の今日、始めて研究室に出てきました。
そして早速、メールマガジンを発行しました。
講義の記録は、だいぶ前に終わっているのですが、
マガジンの原稿が書けていませんでした。
ですから遅れました。
遅れるのが2度目ですね。
我ながら不甲斐ないですね。
でも、いまさら悔やんでも、仕方がありません。
遅れを取り戻して続けましょう。


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