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講 義: Lec 004(その4) はかる:この世の記述のしかた
掲示板■ 師走・レゴブロック
 


 「はかる」の講義の最後です。私たちが使っている単位について、この世にどの程度通用するのか、続きの単位を見ていきましょう。


▼ 講義ファイル
Lec004_4の講義ファイル(講義時間 36:24)
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講 義: Lec 004(その4) はかる:この世の記述のしかた

5 温度:物質のエネルギー状態をはかる ケルビン(Kelvin、K)
 理想的な気体では、気体の種類によらず、次のような共通のふるまいをすることがわかっています。
・ボイルの法則:温度が一定なら、圧力を2倍すると体積は半分になる。
・シャルルの法則:圧力が一定なら、体積は温度が1℃さがることに、0℃のときの体積の1/273.15ずつ減る。
というものです。
 理想気体では、シャルルの法則から、-273.15℃で体積がゼロになります。この時の温度を「絶対0度」と定義しています。この前提から、1度を「水の三重点における熱力学的温度の 1/273.16」と定義しています。温度の単位の1度は、1 Kと書きます。
 実際の気体は、この法則からずれていきます。
 理想的な気体というのは、現実の気体では、低温や高圧などの状態になると気体としてのふるまいが、通常の状態のときと違ってきます。このような現実の気体を一般的に扱うのが困難な場合は、理想的な想像上の気体を想定して考えていきます。しかし、理想的な扱いができる条件で、適用可能です。
 H2Oは、一気圧(101325Pa)では、0℃で固体(氷)から液体(水)、100℃で液体(水)から気体(水蒸気)に変わります。しかし、611Paという圧力の下では、約0.01℃で固体、液体、気体がすべて共存する条件があります。これを三重点と呼ぶのですが、その点を摂氏0度、つまり、273.16Kと決めることにしています。したがって、三重点の時の温度の1/273.16が1 Kとなります。
 温度は、H2Oの三重点という物理化学的な状態によって定義されています。ですから、普遍的な定義といえます。
 上で三重点の圧力を書きましたが、圧力の決定には、質量が入るので心配になります。しかし安心ください。三重点とは、H2Oの気体、液体、固体が共存する条件で、ここでは圧力も温度もただ一つの値しかとりません。ですから、圧力の不確かさは、気にしなくてもよくなります。
 温度は、この世、宇宙で普遍的な単位といえます。

6 物質量:物質の量をはかる モル(mole、mol)
 物質の量をはかるのにモル(mol)という単位を使います。1 molは、
「0.012 kgの12Cに含まれる原子の等しい数の構成要素を含む系の物質量」
と定義されています。
 残念ながら、モルには、質量が用いられて定義されています。ですから、質量で見られた地球なまりが、モルにはそのまま反映されています。
 モルは、質量ではなく、12Cに含まれる原子の等しい数、つまりアボガドロ数とよばれるもので定義すれば、質量を用いなくても正確に表すことができます。
 ところが、アボガドロ数の測定は、まだ精度が質量よりよくありません。アボガドロ数は、現在、X線解析という方法を用いて調べられています。結晶の中で1つの原子がどれくらいの体積を持っているのかを測定する方法です。原子一個の体積が分かれば、ある量の中に含まれている原子の数も計算できます。
 現在、アボガドロ数の値は、
(6.0221339±0.0000027)×10^23
となっています。この値は、7桁の精度をもっています。
 現在、キログラム原器で得られる精度は、8桁です。ですから、まだ精度が足りません。いずれアボガドロ数の測定精度がよくなれば、アボガドロ数から質量を定義していくことができます。
 時間や長さは、現在10桁の精度のレベルなっています。一日も早く、質量の精度と地球の固有性、あるいは地球なまりから開放されたいものです。

7 電流:力と物質の関係をはかる アンペア(ampere、A)
 力と物質の関係をはかる方法として、電流というものがあります。電流はアンペア(A)という単位を用います。1 Aは、
「真空中に1 mの間隔で平行におかれた無限に小さい円形断面を持つ無限に長い2本の直線状導体のそれぞれをながれ、これらの導体の長さ1mごとに2×10^-7 Nの力をおよぼし合う一定の電流」
と定義されています。
 この定義は、「無限に小さい」とか、「無限に長い」という概念を使っています。けれは実際に再現することはなかなか困難です。また、力の単位N(ニュートン)はkg・m/s^2という単位をもっています。つまり、質量を用いている定義されています。電流には、質量の不確かさがそのまま反映されています。

8 光度:物質のエネルギー状態をはかる カンデラ(candela、cd)
 物質のエネルギー状態をはかるための方法として、光度というものがあります。その単位は、カンデラ(cd)です。1 cdは、
「周波数540×10^12 Hzの単色放射を放出し、所定の方向の放射強度が、1/683 W/srである光源のその方向における光度」
と定義されています。
 ここで、srはストラジアンという見慣れない単位がでてきました。srは、球の半径の2乗に等しい面積の持つ球面上の面の中心に対する角度というものです。少々複雑ですが、長さによって角度を表わすためのもので、組立単位の一種です。長さと角度でですから、厳密に定義できます。
 カンデラは、周波数という回数で定義されています。ただ、放射強度の単位は、仕事率(ワットW)が使われています。ワットは、kg・m^2/s^3という単位です。ワットは、質量、長さ、時間によって定義されている組立単位です。つまり、質量の不確かさが反映されています。

9 単位の依存関係
 今まで基本単位を見てきてわかるように、問題は質量です。質量には誤差も多く、地球固有のものです。その単位がある限り、この世の基本単位にはなれません。もちろんそれを一番感じているのは、科学者自信です。彼らはよりよい単位を目指して努力してます。

▼ この世の物質
 「この世」の物質を、大きさと密度(質量と大きさの関係)で、みていきます。ここで密度とは、質量を大きさで規格化したものであると考えられます。その関係から、不思議なことが見えてきます。
 この世の物質と大きさと密度の組み合わせを、どのようなものを取っていいはずです、しかし、ある限られた組み合わせしか持たないのです。これは、非常に不思議なことです。この世の物質に、ある限られた大きさと密度、あるいは大きさと質量の関係しかもてないということです。
 そこには、宇宙を支配する非常に基本的な約束事、あるいは規則があるということです。それを解き明かすのが、科学の目的でもあります。
 その概要はある程度分かっていますが、それは別の機会としましょう。


掲示板:師走・レゴ ブロック  

・師走・
巷はクリスマスです。
皆さんもクリスマスはわくわくするでしょうか。
私はあまりわくわくしません。
なぜでしょうか。
多分まだ仕事(大学の講義)が続いていること、
母が暮れから正月にかけてくるので、
こなさねければならない仕事がたくさんあり、
あわただしくなるためでしょうか。
いずれにしても、忙しさのせいでしょう。
それに1月には調査が控えているので、
その間の仕事が滞りないようにしておかなければなりせん。
そんな忙しさが、やはり師走なのでしょうね。

・レゴ ブロック・
子供たちはもうすぐ長い冬休みです。
本州とは違い夏休みが30日ほどで短い分、
冬休みが1月ほどあり、長いものとなります。
我が家は、正月明けに、私の調査を兼ねて、
主に南の方へ調査旅行に出かけることにしていいます。
昨年は沖縄、今年は屋久島・種子島に出かけました。
来年は、九州の中・南部を巡ります。
子供たちは、学校や幼稚園へ行くのが楽しみしていますので、
ですから休みが楽しいというより、
楽しみは、クリスマスプレゼントやお年玉ではないでしょうか。
26日には私の母が我が家にきますので、遅めのクリスマスとして、
子供たちが母にプレゼントを買ってもらうものを、
いろいろ電話で話していました。
一方、我が家では、クリスマスより正月を、大切にしています。
なぜなら日本の伝統行事を、
きっちりと伝えることが大切だと思っているからです。
例年、初詣をして、お年玉として子供用のプレゼントを用意しています。
これが我が家の正月となっています。
私がプレゼントするのは、いつもレゴ ブロックと決まっています。
それ以外は買わないことにしています。
私の母のクリスマスのプレゼントもレゴから選んでいました。
子供は、レゴが好きで、毎日のように遊んでいます。
レゴは丈夫だし、一度買うと永遠に使い続けられるから
経済的に地球的にもいいものです。
ブッロクですから自由に組み合わせていろいろなものがつくれます。
それに、スターウォーズなどのシリーズもあり、
流行のものも含まれているので子供にもいいようです。
おかげで、親も驚くようなものをつくっています。
まあ、親ばかでしょうね。


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