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講 義: Lec 004(その2) はかる:この世の記述のしかた
掲示板■ はかる・指数
 


 前回は、この世をつくる基本的構成要素を限定しました。今回は、いよいよはかるための準備をしましょう。


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講 義: 004(その2) はかる:この世の記述のしかた

▼ この世を、どう、はかるか
 前回、E=mc^2という式がでてきました。でも、この式が正しいかどうか、確かめるにはどうすればいいでしょうか。確実でてっとり早い方法は、この式に、数字をいれてみるのが一番です。この式に当てはまるようなできごとや現象をさがし、cとm、Eを観測して、データ(値)を求め、そのデータを式に入れてみるのです。そうすれは、この式が本当かどうか判定できます。
 観測は、自然を知るための基本です。観測は、いいかえると、実験、観察、計測、測定、検査など、いろいろないい方ができるでしょう。でも、観測するためには、はからなければなりません。つまり、この世の仕組みを解き明かすには、はからなければならないのです。
 では、そのはかり方を考えていきましょう。

1 数の表しかた
 空間や物質を観測するときを考えてみましょう。
 まず、空間や物質の距離や大きさを、はかりたいとしましょう。大きさ、長さをはかるには、
光年、AU、km、m、cm、mm、μm、nm、Å
などといういろいろな単位があります。大きさ、長さをはかるだけで、これだけ単位があります。
 他の、たとえば時間、エネルギー、力、重さなどのさまざまな性質をはかるときは、それぞれの性質で、それぞれの量をあらわす単位をたくさん使うことになるはずです。
 今までせっかく、基本的構成要素として、この世を単純化して数を減らして、調べるくふうをしてみてきたのに、これでは一気に複雑になってしまいます。なんとかしなければなりません。

2 一つの単位:koide
 そのような問題を解決するためには、一つの基本要素をあらわすのに、一つの単位だけを使う、ということにすればいいのです。
 こんな例を出しましょう。
 長さの単位として、「koide」というものを決めて、すべてそれであらわすことにしましょう。koideは私の名前からとりました。私の身長が、1koideです。私の身長を基準にして、すべてをはかることにするのです。
 単位は「koide」一つになり、単位の数が多いということは解決できますが、2つの問題があります。

・大きな数字や小さな数字を表すことが大変
 一つの単位しか使わないと、大きな数や小さな数では、数字の後や前に、ゼロがいっぱいならんで、めんどくさくなります。

・単位の基準となるものを正確にしなければならない
 「koide」という単位が、いつでも、だれでも、どこでも、正確に決定できるようにしておく必要があります。

 この2つの問題を、解決しておかなければ、一つの単位を使うという方式は、逆に、使いづらくなります。

3 指数
 では、大きな数、小さな数を簡単にあらわす方法には、どのようなものがあるでしょうか。
 10のなん乗という考え方を使います。つまり、1000 koideや0.0001 koideを、指数を使ってあらわす方法です。
 1000 koideは、1×10×10×10 koideと書けます。10×10×10を10の3乗といい、1×10^3と書くことにします。10の数だけ、乗の数になるわけです。つまり、数字の後についている、ゼロの数を、指数として書けばいいのです。このような指数を使えば、どんなに大きな数でも使えるようになります。
 次は、小さな数です。指数を使うという方法で、0.0001koideのような小さな数も表せるようにすればいいのです。0.0001koideは、1×10^-4 koideと書きます。小さい数でも、規則は同じで、前についているゼロの数だけ、マイナスをつけて書けばいいのです。
 ここでは、1000とか0.0001というキリのいい数だけを使いました。では、はんぱな数、例えば、12345 koideとか、0.12345 koideはどうすればいいでしょうか。
 それも、むりやり10の何乗というかたちで書くことに決めてしまうのです。12345koideは、1.2345×10^4 koide
0.12345 koideは、1.2345×10^-1 koide
と書きます。すると、たくさんの数字の並んだ、どんな大きな数でも、どんなに小さな数でも、指数を使えば、表すことができるようになります。

4 有効数字
 せっかく小さな数で、小数を使うのをやめたのに、また小数を使ってしまいました。でも、この方式で、どんな数でも一通りの方法であらわせる便利さをとります。
 さて、実はこの小数は、重要な役わりをもっています。それは、数の正確さをあらわしているのです
 1.000×10^3と1×10^3は、数字で書けば、1000という形になります。他にも、指数を使うと、1.0×10^3や1.00×10^3などの、何通りかのあらわし方があるのです。でも、そこには重要な意味が隠されているのです。
 じつは、1.000×10^3と1×10^3とは、意味が違うのです。1×10^3の1は、0.5から1.4までの値を意味します。つまり、1より小さい小数点1桁目を四捨五入をして、1になる値の範囲をしめしています。同じようにして1.000×10^3の1.000は、0.995から1.004までの値を意味しています。
 実は、今までの数字のあらわし方で、1や1000と書いたのでは、どこまで確かなのかが数字からはわからないのです。単に順番や、個数のように整数だけならいいのですが、はかるときは、はんぱな数がきっとでてきます。そんなとき、従来の数字の表し方では、正確さをあらわせないという欠点がありました。
 しかし、何乗という指数のあらわし方をすれば、今述べたような約束にすると、数字の正確さも伝えることができます。この値は、なん桁までは正確です、ということが表されています。このようにどこまで確かであるかを示した数字を、有効数字といいます。
 指数を使えば、単位が一つで、どんな値、数値、数でも、正確にあらわすことができるのです。


掲示板:はかる・指数  

・はかる・
「はかる」という言葉は、使い方がなかなか難しいものです。
漢字では、計る、測る、量るなどがあり、
はかるものや、種類によって使い分けしなければなりません。
計るは、時間などに、
測るは、長さや面積などに、
量るは、容積などに用います。
しかし、どれを使えばいいか、分からない場合もあります。
そんなときは困ってしまいます。
どれにでも使える漢字があればいいのですが、どうもなさそうです。
ですから、ここでは、
「はかる」とひらかな書きにしました。

・指数・
指数というと難しく感じますが、
どれくらいの桁を表しているのかを示しているのだと思えば、
それほど難しくはありません。
大きな桁同士、小さな桁同士を比べるときには、
指数の数字だけを見れば、どちらが大きいかは一目瞭然です。
たとえば、
宇宙にある星の数と、
太陽系にある原子の数を比べたいとき、
指数なら、個数の桁を比べるだけ分かります。
歩いて月までかかる時間と、
ジェット機で太陽から冥王星まで行く時間と
どちらか大きいかを比べたいとき、指数は有効です。
予想もしようがないようなものでも、
数字としてどの程度という検討をつけるとき、
指数がだいたいあってればいいという使い方もします。
指数は使い方によっては、なかなか便利なものです。


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