地球のつぶやき
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No. 20

Essay ■ 20 専門情報の普及
Letter ■ 私の実践・光ファイバーへ


■Essay

 経済が低迷している世の中ですが、IT産業だけが、好調な売れ行きを示しています。これは、多くの人の需要が、いまだに健在であるからでしょう。コンピュータの売れ行きは落ち着いているようで、多くの人にコンピュータはいきわたってきたらかでしょうか。あとは、更新の需要、子供や新社会人での需要、教育現場での需要が主要なものになるのかもしれません。
 なかでも、携帯電話の普及とその高性能化には目を見張るものがあります。動画撮影、100万画素クラスの映像を撮れるもの、電子メールの送受信、インターネットに接続できるもの、まさにウェイラブル・パソコンとも呼ぶべきものとなっています。
 今やパソコンや携帯電話にしても、インターネットに接続できることが不可欠な機能になりつつあります。インターネット環境も、常時接続、固定料金制が定着し、通信のスピードもパソコンでは64kbが普通になり、8Mbや12MbのADSLが普及し、100Mbの光ファイバーも使われはじめてきました。
 こうなると、以前の課金制のように使用時間や通話料を気にすることなく、心行くまでインターネットの世界を楽しむことになります。もし、なにか趣味や興味を持っているものがあると、それをインターネットで調べていくと、実にさまざまな情報を接することになります。興味が深まれば、深まるほど、接する情報は、高度で専門性の高いものになってきます。
 趣味だけでなく、社会人として公の業務で、日本だけにとどまらない活動や仕事、海外や外国人との接触が多くなってきているのではにでしょうか。あるいは、社会的要請により、一般市民も、さまざまな学問が複合した学際的、全地球というような総合的な考え、学識が必要となっています。
 多くの人がさまざまな場面で、今までになかった分野の専門知識、あるいは最先端の知識、幅広い知識が必要となってきました。そのような場面に対応するには、市民も新たな学識を教養として吸収していく必要があります。そんな機会が、以前より多くなったのではないでしょうか。
 そんなとき、従来は専門書や論文などから情報を得て身につけていました。しかし、近年では、インターネットを通じた情報も重要な役割を果たすようになってきました。ところが、インターネットの情報は、玉石混交となっており、必ずしも市民自身の知識レベルにあったもの、つまり必要とするレベル、理解できるレベルの情報が供給されているとは限りません。むしろ、自分にあった情報は少ないのかもしれません。つまり、平易すぎるか、難解すぎるかです。市民の要求を満たす情報が、なかなか手に入りにくいということです。
 情報を供給する側を見ると、専門情報は専門家が発信することになります。そして、最先端の科学技術による情報は、専門家から専門家向けに発信されていす。それは、いまではインターネットを通じて行われることが多くなっています。そんな専門情報は、誰でも利用できるということを謳って公開されていることも多いのですが、煩雑な手続きや解読専用のソフトの使用、英文の専門家向けのマニュアル、会員登録など、多くのバリアがあり、気軽に市民が利用できるとは限りません。
 このように未加工の一次情報を市民が簡単に閲覧できる状態になっています。でも、そんな一次情報を利用できるのは、専門家がほとんどで、市民にはなかなか利用できるものではありません。
 つまり、専門情報を発信する側は、多くの専門情報を専門化向けに公開しています。利用できる技量、知識があれば、市民でもそれは利用可能となっています。つまり、専門的とはいえ、多くの情報は供給されいるのです。その情報は、市民でも希望すれば利用することが可能ですが、現実としてむつかしいのではないでしょうか。となる、市民の要求は、結局、満たされないことになります。
 供給される情報が充分あるのに、その情報が市民にわかるかたちに加工されることがないために、要求を満たさないのです。このようなアンバランスをなくすには、専門家が、市民のためにわかりやすく情報を発信していく、つまり市民への科学普及、科学教育をしていくしかないのです。各専門分野において、科学普及をもっとしなかればならない、という当たり前の結論にたどり着きます。
 現代では、学問は多くの分野に細分されています。最先端の特殊な分野では、非常に小数の専門家しかいないこともあります。そんな分野の科学教育をするには、少数しかいない専門家のだれかが、市民向けに解説をしなければならないのです。それが無理なら、やや専門が違っても、その情報を利用できる立場の人が、市民にわかる形に解読していくということをしなければならないのです。
 そのような方法論は、商業ベースでおこなわれる書籍のかたちでは、不可能でしょう。なぜなら、市民の要求も多様化しているため、一つの専門分野の情報を必要としている市民は、商業ベースにのるほど、多くないかもしれないからです。そんなとき、インタ−ネットの世界でその需要を満たせばいいと考えています。
 専門家の科学普及をインターネットでおこなえばいいのです。インターネットのホームページやメールマガジンなどを利用すれば、小数の需要にも対応化のです。商業ベースには乗らないものも、このようなシステムなら解決できます。
 インターネットが招いた高度情報化による問題は、インターネット内で解決できるのです。このような方法論は、なにも新しいものを必要としません。心有る専門家が、必要なのです。そんな専門家が、市民のために専門情報をわかりやすく解説すればいいのです。そこでは金銭は動きません。インターネット特有のボランティア精神が発揮されるのです。専門家も、ボランティア精神の恩恵をインターネットから得ているはずです。そもそもインターネットの発祥自身にもボランティア精神があふれていたのです。その精神を継承すればいいのです。
 こんな精神は、日本古来の「思いやり」、「無私」というような言葉で表されていた精神を、今、思い出せばいいのです。私は、インターネットで情報を発信するようになって、このような心を多くの人から学びました。こんな心を、より多くの人に広めたいと考えています。ぜひ、あなたも、そんな心を思い起こしてください。


■Letter

・私の実践・
 私は、ERSDACと共同で、ASTERという資源探査衛星が撮影した画像を利用して、地質学的な視点での地球の見方を紹介しています。これも、私は、無償でおこなう科学教育であると考えています。そして、なにより私自身が面白いと思っています。そして、その私の面白いと思っていることが、日本のどこかのだれかの役に立っていればいればいいと思います。
 いまの世の中は、成果や結果を求めすぎます。地道に、心をこめて、どこかのだれか、お互い名も知らないもの同士が、知識や好奇心をやり取りすることは可能だと思います。そしてお互いそれを心を基準ですればいいのではないでしょうか。
 もしろん、このメールマガジンもそのつもりです。

・光ファイバーへ・
 夏前に、新居へ引っ越しました。同じ市内の違う町です。今まではインターネットをするのにADSLを使っていました。しかし、今回引っ越したところは、ADSLが使えません。いまさらISDNにもどる気がしません。それに、我が家にとってはADSLの大きな利点としてIP電話の利用がありました。我が家は長距離通話をすることが多く、IP電話の威力を発揮していました。電話代だけで、ADSLのもとが取れるほどです。ですから、新居でもADSLとIP電話が使えればと思っていましたが、だめになりました。
 そうなると選択肢は、光ファイバーを利用したBフレッツにするか、昔のままの電話とISDNにするかです。そこで思案の末、Bフレッツにすることにしました。それが先日開通し、IP電話、インターネット、無線LANという今まで自宅で構築していたのと同じ通信環境が整いました。
 Bフレッツは公称100Mb/sですが、実測すると40Mb/sほどです。これでも、ADSLの4倍から10倍ほどのスピードがでています。でも実際には、このスピードで通信できるわけではなく、回線のどこかに遅いところが大抵あるので、もっと遅くなるのが現状です。でも、充分早く、大学より快適なほどです。
 それに、光ファイバーにすれば、今後ADSLよりは道具として長持ちしそうです。
 スピードの増加に伴って、月々の通信費がADSLに比べて3倍ほどになります。これは痛いです。でも我が家は携帯電話は以前、一時使っていましたが、今ではやめていますので、その使用料を考えると、それほど高くなってないかもしれません。
 でも、考えると通信費やそれに関する装置も非常に安くなりました。電話代だって、昔と比べると各段位に安くなりました。多分、今やアメリカ合衆国より通信費は安くなったのではないでしょうか。これは、通信の利用が爆発的に多くなったための効果だと思います。