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Essay ▼ 210 阿寒湖:ボッケとマリモと
Letter▼ 道東の調査・初夏の風物


霧の雄阿寒岳。


阿寒の緑。


ボッケ。


ボッケ。


ボッケ。


ボッケ。


マリモ。


屈斜路湖の遠望。


屈斜路湖のパノラマ。

(2022.06.15)
 阿寒湖は、道東の中央、山の中にひっそりと佇んでいます。たどり着くには、険しい山道を進んでいきます。山の湖畔には小さな温泉街があります。ひっそりとボッケとマリモがあります。

 大学でも出張がかなり自由にできるようになり、これまであまりできなかった野外調査を再開しました。5月中旬には、道央で活火山を中心に調査をしていきました。
 最初に大雪山の黒岳の調査を考えていたのですが、ケーブルカーは動いていたのですが、標高の高いところには雪がまだあるようで、ロープウェイは調整中で運休していました。そのため、登るのは諦めました。その後、今まで通ったことのいない大空町の藻琴峠から小清水峠を通るコースで、斜路湖に入りました。これらの峠は、藻琴山の東山麓を超えるものです。
 藻琴山は、以前に紹介した屈斜路カルデラが、160万年から100万年前、最初に活動した火山活動によって形成された古い火山になります。そのためなだらかな山容となっています。峠からは、屈斜路カルデラの全貌を見ることができました。
 翌日、美幌峠へいこうとしていたのですが、霧がすごくて見通しがありそうもないので諦めました。屈斜路湖にくると、いつも見にいくアトサヌプリ(硫黄山)と摩周湖はちゃんと見学してきました。
 前置きがなくなりましたが、今回紹介するのは、屈斜路カルデラの西にある阿寒湖です。道東には火山が多数並んでいます。阿寒湖の西には大雪から十勝岳に続き、東には斜里岳から知床半島に続く火山列があります。北東から南西に伸びた火山列が、140kmにわたって続いています。ただし直線的に並ぶのではなく、「雁行状」と呼ばれるずれながら並んでいます。これは、太平洋プレートが千島海溝に斜めに沈み込んでいるため、斜めの力が陸側(北海道側)にかかって、斜めに割れ前ができ、そこに火山活動が起こるためです。
 さて、阿寒の火山は、雄阿寒岳と雌阿寒岳が大きな山体としてありますが、ひとつではなく他にもフレベツ岳やフップシ岳などの火山もあります。また、雌阿寒岳も、中マチネシリ、ポンマチネシリ、阿寒富士、南岳、西岳、北山、東岳、1042m峰の8つの火山があります。これらすべてを合わせ阿寒火山群と呼びます。
 阿寒火山群もカルデラを形成する火山でした。20万から15万年前に激しいカルデラ噴火を起こしました。その時、3度にわたって大規模な火砕流が流れました。その結果、古いほうから、阿寒下部火砕流堆積物、阿寒溶結凝灰岩、阿寒上部火砕流堆積物ができました。北東から南西に24kmの長さ、北西から南東には13kmの楕円形の阿寒カルデラができました。
 5万年前から2万年前に雌阿寒岳の噴火活動がおこり、デイサイトや安山岩の溶岩ドームとして中マチネシリ、南岳、東岳、1042m峰が形成されました.1万2000年前には中マチネシリで再び激しい噴火が起こり、山頂に火口ができました。9000年前にも火砕流が発生しています。この頃、安山岩マグマの活動で雄阿寒岳が形成され、大きな阿寒カルデラにあった「古阿寒湖」が埋めて立てられ、阿寒湖、パンケトー、ペンケトーに分かれました。
 その後、7000年前から3000年前には、安山岩からデイサイトマグマのポンマチネシリ、玄武岩の単成火山の西山、安山岩マグマの北山が形成されました。そして、2500から1100年前には玄武岩マグマの阿寒富士が形成されました。阿寒火山群は、最近も活動は続いており、小規模は水蒸気爆発や火山灰を降らしたりしています。
 阿寒湖は屈斜路湖や摩周湖と比べると小さく、周りに火山があるので山の奥に分けるようにしてきます。阿寒湖畔には温泉街があります。温泉街から少し歩くと、ボッケと呼ばれるところがあります。アイヌ語で「煮え立つ」という意味の「ポフケ」に由来するもので、泥火山のことです。熱くなったドロが火山ガスとともに噴出している沼があります。ドロは粘性があるので、丸く盛り上がって、不思議な模様が次々と形成されいきます。かつては、岸の近くに高温の温泉が湧いたいたようですが、ちょろちょろと温水が流れているにすぎません。今では、柵があり温度を確かめることができませんでした。
 阿寒湖は、マリモでも有名で国の特別天然記念物にもなっています。日本各地にマリモの生息は確認されていますが、最大では直径30cmにもなるような大きなものは阿寒湖にだけで確認されているそうです。大きなマリモは、5年から9年かけて成長していくそうです。
 阿寒湖でもマリモは北側だけにいます。マリモ保護のため、生息場へは近づけないのですが、阿寒湖の遊覧船でチュウルイ島にいくと、水槽にマリモが置かれており、見学することができます。夏の間だけ生息地からもってきて、冬には戻すとのことです。
 今では、黙って野外を歩くときはマスクが必要ではなくなってきたのですが、まだマスクなしで歩くようにはなれません。阿寒湖畔を歩いているときも、すべての人が、マスクをして外出していました。はやくマスクなしの生活に戻りたいのですが、いつになるのでしょうかね。


Letter▼ 道東の調査・初夏の風物

・道東の調査・
阿寒や屈斜路の地が気に入りました。
まだ、阿寒で見ていないところがいくつかあります。
その見残したところを見にいきたいのですが、
どうなるのでしょうか。
今週末には道東に調査にでかけます。
道東の調査がメインとなりますが、
帰り道として阿寒を通りますので
寄っていくことにしました。
見残したところを見学する時間があればいいのですが。

・初夏の風物・
6月になって天気の悪い日には
ひんやりとして肌寒く感じる日もあります。
それでも季節は巡り、初夏になってきました。
エゾハルゼミの鳴き声が聞こえます。
早朝には、カッコウの鳴き声も聞こえることもあります。
そんな鳴き声も北海道の初夏の風物となります。



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