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Essay ▼ 182 大沼:火山と沼の関係
Letter▼ 二重虹・遊覧船


大沼からみた駒ケ岳。


大沼湖畔からみた島と駒ケ岳。


沼に点在する島と背景の駒ケ岳。


流山でできた島。


流山でできた島。。


鹿部側からみた駒ヶ岳。


大沼でみた二重虹。

(2020.02.15)
 大沼国定公園は、駒ケ岳と大沼が象徴的な景観となっています。駒ケ岳の火山活動があったため、大沼ができました。そして、駒ケ岳の山頂のいびつなギザギザとも深い関係がありました。

 大沼と名付けられた湖沼は、日本各地にあります。中でも北海道の道南にある大沼は、国定公園にも指定されていて有名です。なんといっても、大沼は風光明媚な地です。古くはリゾート地としても親しまれていました。大沼には何度か訪れており、函館への交通路にもなっているため、JRや高速道路などを使っていると、駒ケ岳とその裾野の大沼は、何度も目にすることになります。大沼には、駒ヶ岳は欠かせない存在になっています。大沼と駒ケ岳の関係を見ていましょう。
 昨年秋の調査の途中で、大沼に立ち寄りましました。それまで何度か訪れていたのですが、その時はじめて遊覧船に乗って大沼をめぐりました。湖面からみると、駒ヶ岳の姿が美しく見え、沼にある島の様子もよくわかります。
 駒ヶ岳は活火山です。山頂の姿は少々奇異な形状になっているのが大きな特徴です。なだらかな裾野があるのに、山頂部はイビツなギザギザに削られたような形をしているので、そのコントラストが目立った山容となっています。大沼からみて、左側(西)に見える峰は剣ヶ峰(標高1131m)で、右側(北)に見えるのが砂原岳(1112m)です。それら2つのピークが、険しい山容の特徴を生み出しています。
 このような山容は、噴火によって山頂部分が吹き飛ばされためにできました。吹き飛ばされる前は、裾野のなだらかな傾斜を山頂に向けて延ばしていけば、きれいな成層火山が見えてきます。その高さは1700mに達していたのではないかと推定されています。大沼側からみると、馬がいななく姿に見えるとため、命名されたともいわれています。私にはその姿は見てこないのですが。
 駒ケ岳は、見る方向によってもその姿が変化していきます。大沼側から見ると、山頂はイビツですが、裾野はなだらかに見え、緑も豊かで、優雅が山容に見えます。ところが、鹿部の東側からは、険しい傾斜と荒々しい岩肌になり急峻な山容に見えます。
 先程、駒ケ岳は、もともとは成層火山が見えるといったのですが、その成層火山ができたのは、少なくとも数万年前と考えられていますが、時代はわかっていません。その時の成層火山の山体形成が、I期となります。I期の終わりは、2万2500年前に起こった最初の山体崩壊です。山体崩壊とは、噴火によって、山体の一部が崩れていくことです。ただし、火山噴火と関係なく、地震や風化による地すべりなどで崩れることでも、山体の崩壊は起こります。ただし、今回の駒ケ岳の山体崩壊は、火山噴火によるものにします。
 II期の崩壊後も噴火を繰り返し、大きな崩壊もありました。活動と休止を繰り返しながら、5000年前頃から再び活動期のIII期に入ります。そして、また2750年間には休止期に入ります。1640年に再び活動を開始して、IV期に入ります。この1640年の活動は、激しいもので山体崩壊を起こしました。この山体崩壊が、現在の山容を形作りました。そこ後も繰り返し火山活動は続けています。最新の噴火活動は1996年から2000年にかけてものになります。
 1640年の噴火では、山体崩壊による岩屑なだれが発生しました。岩屑なだれとは、形成されていた岩石が、噴火による大規模な土石流として流れていくものです。大量の堆積物が流れるため、麓の地形も大きく変えてしまいます。1640年の岩屑なだれは、東や南に流れ下りました。東に流れたものは、海に流れ込み、大規模な津波が発生し700名ほどの犠牲者と出したと記録されています。南の流れは、川(折戸川)がせき止められました。その結果、水がたまり大沼や小沼などができました。
 岩屑なだれには、大小さまざまなサイズの岩石が含まれていますが、中には数m以上の大きな岩も含まれています。大きな岩が残って、小さい丘のようなものが多数できる地形、流山(ながれやま)ができます。大沼に多数の島がありますが、これらは岩屑なだれによる流山地形です。
 大沼には多少多数の島があります。その島は今では木々に覆われていますが、よく見ると火山岩からできます。これらの島も、流山の地形の一部です。湖面を見ていると、わからないのですが、島が流山だとすると、納得ができます。岸にも火山岩が転がっています。
 大沼と駒ケ岳は、池と山で異なった地形なのですが、火山活動によって山体が形作られ崩され、ずくされたもので大沼ができました。そんな不思議な関係が、湖面が見ることができました。
 船で大沼を遊覧した時、突然のにわか雨で、一時的窓越しにしか景色を見ることできませんでした。そして、にわか雨のあと、きれいな虹がかかっていました。その虹では、二重虹の副虹が黒っぽい雲があったのでよく見えました。ラッキーでした。


Letter▼ 二重虹・遊覧船

・二重虹・
二重虹は、通常の虹の上に淡い虹が見えたものです。
色が濃く下側にあるものが主虹です。
主虹(一般の虹)は、上空の水滴に光が入ったとき、
波長により屈折率が異なるため、
水滴を通り抜けた光は、上が赤、下が青に
分離されています。
それが虹として見えます。
一方、高いところにある水滴には、
光が2回反射することも起こります。
その光は、青が上に赤が下になります。
これが副虹です。
副虹は2回反射するので光量は少なく
かなり薄い虹となります。
ですから、明るい空では見にくくなります。

・遊覧船・
遊覧船に乗っていると、
解説をいろいろしてくれます。
島が火山岩できていることも
船頭さんが教えてくれました。
また、周辺の山で大沼や駒ケ岳が
きれいに見える場所も教えてくれました。
残念ながら、別の目的地があったので、いけませんでした。
次の機会にしたいと思っています。



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