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Essay ▼ 180 石見銀山:暮らしの中の世界遺産
Letter▼ 気持ちが大切・変動の天気


清水谷精錬所跡。


流れ出す穴の跡。


間歩(坑道)跡。

龍源寺間歩。


龍源寺間歩の坑道。


町並み。


天領と書かれた灯り。


町角の飾り。


町角の飾り。


中庭まで配慮された喫茶店。


古い店の現代アートの展示物。

(2019.12.15)
 世界文化遺産の石見銀山を見学しました。雨の降り続く中での見学でした。そこに暮らしている人が、自身の生活を守りながら、観光客への接待、配慮もされていました。なかなかいい町並でした。

 石見(いわみ)銀山に、夏の調査でいきました。残念ながら、この調査の期間は、天候の最悪の時期となり、予定してたコースで周ることができず、石見銀山も予定外の時間に向かうことになりました。
 石見銀山世界遺産センターについたのは、オープンする9時より少し前だったので、駐車時に車を駐めて待っていました。雨は一向に止む気配はありませんでした。9時を過ぎてもセンターが開きません。中を覗くと、清掃をしているようで、人がいました。私が覗いているのをみて、人が出てきてくれました。その日は月に一度の休館日だとのことでした。チラシを貰い、別のところにある観光案内所を教えてもらいました。
 案内所にいって、案内パンフレットなどをもらって、石見銀山を見て回りました。見学の間、ずっと雨が降っていて残念でした、しかし、石見銀山で地質に関するところは、野外が多かったのですが、一回りすることができました。
 石見銀山は、島根県大田市大森町の仙ノ山(せんのやま)を中心としたところにあり、かつては「大森銀山」とも呼ばれていました。1526年(室町時代末期)には本格的な開発がはじまり、それ以約400年間にわたって銀が採掘されてきました。そのような歴史的価値から、2007年に世界文化遺産として登録されました。
 石見銀山は、戦国時代後期から江戸時代前期にかけて、大量の銀が採掘されました。16世紀半ばから17世紀前半が全盛期に当たり、17世紀の最盛期には、年間67.5トンの銀を採掘してました。その量は、世界の総産出量の約1割を占めるに至ったといわれています。16世紀には、石見銀山はヨーロッパでも知られている存在となっていたようです。当時のヨーロッパの地図に、石見銀山がのっているとことです。それは、当時、銀が基軸通貨の役割を果たしていたため、国際的な交易では非常に重要な存在となっていたのです。
 石見銀山は、大江高山火山群と呼ばれるマグマの活動で形成されました。大江高山火山群は、160万〜70万年前に活動しており、20数個の溶岩ドームができました。デイサイト質マグマの活動で溶岩ドームの他に火砕丘もできるような火山でした。
 この火山群の活動末期に、仙山火山が噴火し、その時、石見銀山を生み出しました。マグマに由来する熱水によってできたものです。ただし、石見銀山の鉱床には、2つのタイプがあります。鉱脈鉱床と呼ばれる永久(えいきゅう)鉱床、そして鉱染鉱床と呼ばれる福石(ふくいし)鉱床です。
 永久鉱床の鉱脈鉱床とは、母岩となる岩石に銀が溶けこんだ熱水が染み込んで、その熱水から鉱石ができたものです。鉱脈として銀の鉱石が産出します。岩石が柔らかくて、掘りやすく、地表にも近かったので多くの銀が産出しました。
 福石鉱床の鉱染鉱床とは、岩石に熱水が染み込んで銀鉱物が形成されるもので、鉱脈ではないでの、濃集度(品位という)は低くなります。一般には大規模な鉱床を形成するのですが、石見銀山では、永久鉱床が掘りやすいので先に掘られ、産出量が減ってくると、福石鉱床も掘られるようになってきました。
 火山群の下位には、鮮新世末から更新世に形成された都野津層群があります。その下には、中新世の火山岩類や堆積岩類が分布しています。火山岩類は、日本海形成期に海底で活動したもので、「グリーンタフ」と呼ばれるものです。グリーンタフには、金属・非金属鉱床が多くあり、黒鉱と呼ばれます。これらの鉱床もかつては採掘されていました。石見の地は、なんどもマグマによって鉱床を生み出すような活動があったことになります。
 石見銀山は、以前から見学したいと考えていたところでした。鉱山町は、山間にある小さいところです。世界遺産として、みるポイントが野外にいくつもあることも、事前に知っていました。でも、訪れなければわからないこともあります。
 雨でしたが、半日ほど歩いて回りました。観光客は多数来ているところですが、昔風の町並みを残してた町で人が暮らしています。観光と暮らしのバランスは絶妙に見えました。昔の町並み大切にしながら、観光地化せず。観光客には地域のよさを提示しながら、現在の暮らしを維持し、生活を営んでいます。
 一回りしたあと、古い民家を洒落た喫茶店にしているところがありました。そこでコーヒーを一杯いただきました。その店の内部だけでなく、中庭も癒やしの空間と取り入れられていました。
 石見銀山は、もう鉱山ではないのですが、町を上げて暮らしの中に世界遺産を取り込んでいました。そこになかつての銀山が見え隠れしました。なかなかいいところでした。


Letter▼ 気持ちが大切・変動の天気

・気持ちが大切・
観光地、それも多くの観光客が来るような町は
いわゆる観光地化していくものです。
観光で出かければ、お土産を買うのを
楽しみにしている人も多いでしょう。
私も家内しか家族はいませんが、
各地で少しずつ小分けになった土産を買っていきます。
でも、観光地を点々と巡っていると
どこにでも、まんじゅう、せんべい、クッキーなど
パッケージに地名を入れれば
どこでも通用するお土産を多々見かけます。
観光地化していない町並みを、
住んでいる人が大切にしている気持ちが
今回は一番の土産でした。

・変動の天気・
北海道では、今週の前半は雨、後半は吹雪となりました。
雨で雪が全て融けて、防寒靴に水が染み込みました。
吹雪とともに冷え込みもきて、
ツルツルで歩きにくくなりました。
この時期になって、変わりやすい天気で戸惑います。
雨靴か防寒靴か、傘か雪よけフードか。
悩ましい日々が続きました。
体調を壊さないように、
気を付けなければなりませんね。



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