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Essay ▼ 172 日豊海岸:リアス式海岸
Letter▼ 夏タイヤ・アクティブ・ラーニング


リアス式の日豊海岸。10mメッシュによる地形。


上と同じ範囲の20万分の1地形図。


上と同じ範囲の地質図。茶色と黄色の境界が仏像構造線。


上と同じ範囲のランドサット衛星画像。


上と同じ範囲の傾斜量の地形解析図。


リアス式海岸が九州、四国、紀伊半島にある。

(2019.04.15)
 リアス式海岸は風光明媚な海岸線になり、国立公園や国定公園などに指定されています。そのような複雑な海岸線ができる背景には、大地の大きな変動があったことを物語っています。


 宮崎平野の海岸は、冬でも温暖で、2月から3月の野球やサッカーなど各種のスポーツのキャンプ地として賑わいます。そのような風物詩を見ていると、穏やかで砂浜の広がる、なだらかな海岸線が続いています。しかし、宮崎平野より北や南を見ていくと、海岸線の景色は一変します。入り組んだ複雑な海岸線となります。このような海岸をリアス式と呼んでいます。リアス式海岸というと三陸海岸を思うかべますが、実は似たような海岸は、西日本には連続してあります。
 日南海岸は有名ですが、リアス式海岸であることがあまり知られていなのではないでしょうか。しかし、北の方の日豊海岸(にっぽうかいがん)は、もっと典型的なリアス式海岸で、知名度も少々低いようです。日豊とは、大分の中南部から宮崎北部にかけての地域です。今回の話題は、日豊海岸です。
 大分から宮崎にかけて、何度が調査にでかけました。そのときの様子も何度か紹介したことがあります。その目的は、岩石や露頭を見ることが中心となっていました。この周辺も何度か通っていて、海岸の地図もみていたのですが、リアス式海岸であることを、ほとんど意識していませんでした。
 大分県と津久見から宮崎県延岡に抜けるには、国道18号線も東九州自動車道も内陸を走っています。2017年に行ったときは、宮崎から自動車道で北上し、戻るときに海岸を通りながら南下しました。海岸線は、険しくくねくねしているので、早く目的地にたどり着くためには、幹線道路のある内陸を通ることになります。海岸線を通るとは急な断崖、半島など入り組んだ海岸線で、小さい島が点在しています。海岸の沿いの道路はありますが、曲がりくねり時間がかかります。海岸付近の生活道は、さらに狭くなっていて、車でも時間がかかります。徒歩で歩いていた時代は時間がかかったろうなと思います。海から船で行くことをしていたのでしょう。
 このような海岸の地形をみていると、海沿いにあるのですが、まるで山地のような谷や峰になっています。山並みがそのまま海に沈んだように見えます。見たとおり、この地域はリアス式海岸となっています。宮城県の松島に並び称されるそうです。リアス式海岸はもともと山地が海になっているので、陸地は起伏が多く、急な傾斜の山地が海岸にまで迫ることもあり、平地が少ないため、陸路での移動は不便になります。さらに平地が少ないので稲作には適しません。耕作地にするためには、水や交通の便も不便なところでした。
 ところが良い点もありました。深く切り込んだ谷が沈み込んでいるので、入江の水深も深く、入り組んでいるため、波も穏やかで、港には適したところが多数あります。古くから港が多数ありました。海岸が入り組んでいるということは、漁場も多くなり、外海は四国との間の豊後水道で狭くなっていて海流も激しく、黒潮の影響で水温も高くサンゴなどもあり、魚の種類も多くなっているそうです。そのため、漁業が盛んな地域となっています。
 さて、リアス式海岸ができるには、大きく2つのでき方があります。ひとつは、海面が上がって山地が海に没するものです。海岸線が上がるこということは、海水準が上昇することで、「海進」と呼ばれるものになります。海進は、地球の気候変動によるもので、温暖な時期に陸の氷が溶けたときに起こります。縄文時代の海進が、このような現象に当たります。海進は、世界的なもので、現在のように氷床ができると、海が退き「海退」となります。日豊海岸のリアス式海岸は、この仕組みでできたものではなさそうです。
 もう一つのでき方として、陸地が沈降してもリアス式海岸になります。陸地が沈降するのは、その地域の固有の地質現象になります。ただし、局所的にでも、なんらかの沈降する地質作用が必要になります。
 広域にリアス式海岸を作るような陸地の沈降には、大きな大地の営みが働いていることになります。この地はそのような大きな大地に営みが起こったようです。その証拠は、豊後水道の東側の四国にもリアス式海岸ができていることが挙げられます。四国側の愛媛県の西予、宇和島、愛南にも似た地形や似たようは海岸線があります。もっと広域に見ると、四国東部の徳島県の阿南や、紀伊半島西部の和歌山の有田から御坊、紀伊半島東部の三重県の伊勢志摩まで、海岸は複雑に入り組み、リアス式海岸が一列に並ぶようにできています。これは、九州から四国、紀伊半島にかけて、広く上昇したことを示しています。
 では、なぜ西日本の東西の海岸線にリアス式海岸できたのでしょうか。何があるのでしょうか。日豊海岸の北には日本列島を代表する重要な仏像構造線があり、さらに北には中央構造線が通っています。西日本を東西に横切る2つの大きな構造線が、リアス式海岸の北を通っていいることになります。
 このような構造線は、多数の断層が一連の地域でできることによって形成されています。つまり大地に大きな力が働いていることを示しています。断層とは、大地がずれてできるもので、横にずれる成分と、上下にずれる成分があります。リアス式海岸の存在を考えると、構造線の南側が大きく沈降していると考えられます。山が海になっているのですから、その沈降の大きさは想像以上のものになるのでしょう。
 リアス式海岸は、陸地では不便さと恵みをもたらしました。その背景には日本列島を横切る大地の大きな営みあったのです。


Letter▼ 夏タイヤ・アクティブ・ラーニング

・夏タイヤ・
北海道も一気に暖かくなってきました。
この週末に車のタイヤを夏タイヤに交換しました。
だいぶ古くなっていたので、
新しい夏タイヤを購入して、交換していもらいました。
非常に混んでいていて、2時間ほど待たなければなりませんでした。
私は新しいタイヤを購入したので2時間でしたが、
タイヤ交換だけなら、7時間待ちとなっていました。
北海道の暖かくなると一気にタイヤ交換となります。

・アクティブ・ラーニング・
大学の講義が始まって1週たちました。
最初の1週は、やはり気持ちが重くなります。
今年から新しい授業が前期に2つ始まるので、大変です。
ひとつはアクティブ・ラーニングで進めるために、
いろいろ工夫や準備が必要になります。
学生も能動的になりますが、
教員も能動的に動くことになります。
新しい授業体制の導入もなかなか大変です。




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