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Essay ▼ 166 青空と赤い黒岳へ
Letter▼ 里の紅葉・いくところは尽きず


大雪山の山並み。


黒岳ロープウェイからみた温泉街。


黒岳。


あまりょうの滝。


銀河の滝。


大箱。


大雪山のパノラマ。

(2018.10.15)
 台風の隙間を縫って、層雲峡から三国峠へいきました。青空があまりにきれいなので、黒岳の途中までロープウェイとリフトで登りました。非常に素晴らしい紅葉を見ることができました。帰りは台風の影響とかけっこになりました。

 9月末に大雪山の黒岳、層雲峡から三国峠にでかけました。自宅を6時頃に出発し、高速道路を経由して上川から層雲峡に向かいました。初日は層雲峡周辺から上流を見ていくつもりでした。9時頃には層雲峡温泉に着きました。抜けるような青空がきれいでした。朝早かったのですが、ロープウェイも運営していた(6時から運転していた)ので、青空に誘われて、黒岳に上がってみることにしました。
 ロープウェイの待合は、外国人観光客で一杯でしたが、次に来たロープウェイに乗ることができました。窓に近いところに位置取りできたので、限られた方向だけですが、窓にへばり付いて景色を眺めることができました。ロープウェイで黒岳の5合目まで上がって、リフトも動いていたので、それにも乗って7合目まで上りました。ロープウェイやリフトからの眺めは、特にリフトは林の中をひとりで眺めることができるので、この時期は最高です。木々は、紅葉の盛で、標高が上がるほど、紅葉が深まることが体験できます。青空と紅葉の色合いが、非常に綺麗でした。
 今回は、黒岳に登る予定はしていませんでしたので、7合目と5合目の周辺の景観をみるだけです。7合目では、紅葉だけでなく、以前来たときにはなかった「黒岳カムイの森のみち」というものができていました。この道は、2016年8月に完成したそうです。この道をしばらく歩ていくと「あまりょうの滝展望台」に着きました。赤石川にある「あまりょうの滝」と呼ばれるものが遠くに見えました。あまりに遠くて、感動はあまりなかったのですが、周辺の景観には感動しました。紅葉とともに、黒岳山頂への登山ルートはよく見えます。黒岳の裏側の崖がよく見えるのですが、黒岳はやはり山頂から周辺の景色を見下ろすところでしょうかね。
 これまでロープウェイから先のリフトは、冬のスキーのためなのでしょうが、夏場は観光用でもあり、黒岳に登ることが主だったのですが、「黒岳カムイの森のみち」ができたので、リフトで登ってきた観光に来た人たちでも、歩いて周辺の景色を楽しむことができるようになりました。ただし、この道は山を切り拓いた状態なので、沢やぬかるみなど自然に近い状態でつくられているので、山歩きに慣れていない人は、注意が必要です。私は楽しめました。
 さて、大雪山は、北海道の中央に位置する火山の集合体で非常の大きな地域を指しています。中央部に御鉢平(おはちだいら)と呼ばれる直径2kmほどの大きな火口があります。この火口は3万年前に大きな噴火でできたもので、その周辺に多数の山頂があります。これらの山々を巡る縦走路や周回ルートなどがあり、登山を楽しむための入山ルートにもなっています。
 このときの噴火によって、この周辺に大量の火砕流が発生し、熱い火山灰で埋められてしまいました。その結果、平坦な地形(雲の平)ができ、熱い火山灰が大量に溜まったところでは、溶けて溶結凝灰岩となりました。溶結凝灰岩は、長い時間をかけて、石狩川の流れによって侵食され、層雲峡付近では箱状の侵食地形になっています。層雲峡では、柱状節理として、奇異な景観となり、観光地になっています。
 この大雪山の火山の下には、噴火が起こる前に分布していた基盤岩類として日高類層群と呼ばれている地層があります。その中には、付加体で形成された地層が、石狩川の上流、三国峠付近に分布しています。それをみることが、2、3日の目的でした。
 初日の午後は、天候を伺いながら、石狩川の遡っていきました。それは、台風の影響が気になっていたからです。当初の予定では、1日目は層雲峡に宿泊し、2泊目は糠平で宿泊する予定にしていました。しかし、出発前日の天気予報で、台風24号は非常に強力なので、注意を促す報道が繰り返されていました。2日目の糠平の宿泊はキャンセルし、2日目も台風や現地の天候を見ながら行動することにしていました。三国峠の付加体の地質調査は、今回は予察とすることにしました。初日も石狩川上流でも三国峠付近までいって、露出状態を見ておくことにしました。天候次第では、2日目に来たルートである上川方面から帰ることも考えていたためです。
 2日目、時々雨がぱらついていましたが、荒れ模様ではなさそうなので、予定通りに、三国峠を通り、糠平へ抜けました。帯広から高速道路に乗ったのですが、日高の峠周辺では、激しい雨になっていました。石狩側に抜けると、雨は降っていませんでした。あとで知ったのですが、三国峠付近は、かなりの雨になっていて、私が通ったあとに通行止めになっていたようです。間一髪に通り抜けることができていたようです。
 現在は、天気予報の精度が上がっているので、警報にも説得力があります。近年、頻発する災害により、天気予報や出される注意勧告もわかりやすく改善されてきて、参考にしていくべきでしょう。今回の調査は、事前に予定変更で一泊分をキャンセルしたのですが、それでよかったと思います。調査にはいくらでも次がありますが、命や体はひとつです。命あっての物種です。予定変更しましたが、早目に行動していたので、青空に映える紅葉をみることができました。


Letter▼ 里の紅葉・いくところは尽きず

・里の紅葉・
10月の半分が過ぎて、里でも紅葉が進んでいます。
木々の葉が次々と色を染めて、葉を落としていきます。
秋の深まりを感じています。
紅葉の落ち葉を利用する授業をしています。
毎年、学生と大学の林を散策しながら
秋の深まりを感じることができます。

・いくところは尽きず・
今年の地質調査は、天災によって、度々、予定変更をしています。
こんなこともあるのだと、受け入れるしかありません。
今年の中止は、山陰調査が一番大きなものでした。
大雪・三国峠の調査は、その代替として計画したものでした。
今回も、途中で断念しています。
懲りることになく、次は、道南と襟裳周辺の調査を予定しています。
講義の合間をぬっての調査なので、日程も限られています。
それでも調べたいところは、いくらでもあります。
日程さえ確保できれば、いくろとろは尽きません。



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