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Essay ▼ 136 ガラパゴス:進化とトリプル・ジャンクション
Letter▼ コロン諸島・架空の地質旅行 


ガラパゴスの島々(Google Earthに地質境界などを入れたもの)


ガラパゴスの島々(Google Earthより)


溶岩の海岸。粘性の小さい溶岩なので平らな地形となる。


火山のクレータ


火山の島


黒っぽいのは溶岩。


上の拡大。がらがらしたタイプの溶岩。


ガラパゴスゾウガメ。


ガラパゴスゾウガメ。


ガラパゴスゾウガメ。


ガラパゴスゾウガメ。


ウミイグアナ。


ウミイグアナ。


ウミイグアナ。


人を恐れないウミイグアナ。


ガラパゴスアシカ。


ガラパゴスアシカ。


鳥ですがよく知りません。


ガラパゴスアメリカグンカンドリ。


アオアシカツオドリ。


アオアシカツオドリ。


名前はくわかりません。


フィンチでしょうか?


ガラパゴスキイロアメリカムシクイ


名前はくわかりません。

(2016.04.15)
 今回は、かねてからの念願の海外の地質スポットの紹介です。行きたいとねがっているところですが、なかなか行けそうにありません。でも、「夢は海原を駆け巡る」ということで、ガラパゴスの紹介です。


 2015年1月に、11年目を迎えるにあたり、今後このエッセイでは、自分が出かけたところ、日本や地球にもこだわることなく、広く大地を眺めるようなエッセイにすると宣言しました。とことが、気づくとこの1年半、自分が出かけたところばかりでエッセイを書いていました。そこで今回は、私が行きたいところを、紹介していこうと思います。それは、ガラパゴス諸島(Galapagos)です。
 ガラパゴス諸島は、多くの人が名前を知っている有名なところだと思います。しかし訪れた方は、それほど多くはないはずです。ガラパゴス諸島は、太平洋にあるのですが、日本からは遠く、南米の赤道付近、エクアドル領にあります。行くとしても、飛行機を何度か乗り継いでエクアドルまでいき、そこからさらにガラパゴスまで向かわなければなりません。私は、しばらく行けそうにありません。
 ガラパゴス諸島は、イサベラ島(Isabela)、サンタ・クルス島(Santa Cruz)、サン・サルバドル島(San Salvador)、フェルナンディナ島( Fernandina)、サン・クリストバル島(San Cristóbal)など18の大きな島、3つの小さな島、107の岩礁などからできています。前者4島には住民がいます。
 1978年に世界遺産の自然遺産として登録され、2001年には海洋保護区も含めて地域が拡大されて登録されました。自然遺産としては、ダーウィンのフィンチ、ガラパゴスゾウガメ、ウミイグアナ、リクイグアナなど有名なものだけでなく、アオアシカツオドリやアカアシカツオドリ、ガラパゴスアシカなど、多様な固有種がいて、生物学的に非常に興味深いところです。さらに、地質学的にも重要性が指摘され、自然遺産になっています。それは、ガラパゴス諸島が火山の島であるためです。
 ガラパゴスには多数の火山があり、20世紀中にも多数の噴火が確認されています。諸島の西側に3番目に大きいフェルナンディナ島のラ・クンブレ(La Cumbre、標高1494m)火山、ガラパゴス諸島で最大の島であるイサベラ島のウルフ火山(Wolf 、標高1707m)は、近年になっても噴火しています。
 ラ・クンブレ火山は、もともと大きなカルデラがあったのですが、1968年の噴火によって、カルデラの底が300mほど陥没しました。また、2009年4月11日にも火山の南斜面で割れ目噴火がおこっています。しかしこの噴火はすぐに治まりましたが。ウルフ火山は、1982年に噴火をしてからしばらくは休止していたのですが、2015年5月にかなり激しい噴火がありました。
 ガラパゴス諸島の火山は、南東から西に向かって新しい時代に活動をしており、固定された噴火中心の上を海洋プレートが南東向かって移動しているように見えます。これはハワイのようなホットスポットと海洋プレートの動きが連動しているように見えます。ホットスポット上を海洋プレートが、南東へ移動して形成されたと考えると、約250kmを300〜500万年かけて移動したことになります。
 ガラパゴス諸島の火山は、太平洋プレートの東側にあり、少々複雑な地質環境になります。太平洋プレートの東端は、ガラパゴス諸島の少し西にあります。そしてガラパゴス諸島の北側で、南北に分かれている2つの海洋プレートが接しています。南側はナスカプレート、北側はココスプレートという2つの海洋プレートが接しています。ナスカプレート側にガラパゴス諸島があるのですが、それがカーネギー海嶺となっています。その東延長はエクアドルに向かっています。一方北には、ココス諸島があるココス海嶺が伸びていて、その東延長はコスタリカに向かっています。太平洋とナスカ、ココスの海洋プレートの境界部は、3つのプレートが重なるところとなり、三重点(triple junction)と呼ばれています。三重点は、特殊な地質学的位置になります。
 もう少し詳しく見ると、ナスカとココスの境界部では、断層(トランスフォーム断層)によって拡大軸がずれて存在しています。三重点(トリプル・ジャンクション)にあたる境界には、ヘス・ディープ・リフトとよばれるがくさび状になった複雑な構造ができてます。そのため、太平洋プレートとナスカプレート、ココスプレートの間には、ガラパゴス・マイクロプレートと呼ばれる小さい海洋プレートが存在するとされています。
 ガラパゴス諸島は、カーネギー海嶺上の火山になるのですが、玄武岩質の粘性の小さい(さらさらした)溶岩が噴火します。そのため、火山の平面形は円に近く、楯状の山体となります。ハワイの火山も同じ太平洋で、太平洋プレート上にあるのですが、ガラパゴスの火山の規模は、ハワイと比べると小規模になります。そして山腹の割れ目から噴火して、その割れ目の方向が特定の向き集中することがありません。また、山頂の噴火口周辺では、環状割れ目が多数できて噴火します。ガラパゴスの火山は、ハワイの火山と比べると、プレートの移動速度が小さくなっているようです。そして三重点という複雑な地質環境であるためだと考えられます。そんなガラパゴスの火山を見たいと思っていますが、なかなか見に行けそうにありません。
 ガラパゴス諸島は観光化とそれによる人口増加や環境汚染など、さまざまな問題が発生していました。このような事態にたいして、対応が不足しているとして、2007年6月、世界遺産の危機遺産リストに登録されました。その後政府の取り組みより、改善されたとして、危機遺産リストからははずされました。
 実は、我が家の長男が、2年ほど前に、ガラパゴスに行っています。そして、非常に楽しい思いをしてきたようです。事前に私が持っていた資料や映像などを見て気持ちを高めていきました。帰ってきても、テレビでガラパゴスの放送があると、「そこは行った」、「その生き物は見た」などといっています。羨ましいかぎりです。私は、彼の写真と報告だけで、ますます行きたくなりました。長男は生物に興味があったようですが、私は生物だけでなく、地質にも興味がありますので。


Letter▼ コロン諸島・架空の地質旅行

・コロン諸島・
ガラパゴス諸島が発見されたのは、1535年とされています。
ダーウィンが、ビーグル号の航海でこの島を訪れたのは、
1835年9月16日、サン・クリストバル島のセロ・ティヘレタスというところで
ダーウィンの銅像があるそうです。
ガラパゴスとは、「ゾウガメの島」という意味だそうです。
エクアドルの公用語はスペイン語なので
スペイン語でゾウガメを意味するgalpagoに由来しているとのことです。
実は正式な名称は、コロン諸島(Archipilago de Coln)となり、
「コロンブスの群島」という意味です。

・架空の地質旅行・
ガラパゴスは、私にとっては、遠く、時間がかかり、
そして費用もかかるとことです。
そのため、現在の野外調査は、
日本国内でアクセスのいいところを選んでおこなっています。
しかし、一度はいってみたいとことです。
他にもいいくつも行きたいところがあるのですが、
このエッセイで、架空の地質旅行をしていこうと考えています。



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