もどる


画像をクリックすると大型の画像が見ることができます。
ただし、大きなファイルの場合がありますので注意ください。

Essay ▼ 111 弘前盆地:単純さと背後の複雑さ
Letter▼ 卒業式・雪解けの春
 


弘前周辺の20万分の1地形図。


上と同じ範囲の地質図。


上と同じ範囲のLandsat衛星画像。


上と同じ範囲の地上開度の地形解析図。


上と同じ範囲の地下開度の地形解析図。


上と同じ範囲の傾斜量の地形解析図。


弘前城から見た岩木山。


弘前城から見た岩木山の拡大。


弘前城。


弘前城下の古い町並み。酒屋さんが営業をしています。

(2014.03.15)
 青森市とともに弘前市は、青森県では中核的な街です。弘前城を中心とした城下町は、趣きのある町並みとなっています。弘前の位置する弘前盆地は、人の歴史以上に複雑な背景をどることができます。


Essay ▼ 111 弘前盆地:単純さと背後の複雑さ

 3月のはじめに、校務で青森にでかけました。到着初日は青森空港から弘前にいき、用事が終わり次第、青森へ向かいました。弘前は、青森駅からも列車で1時間足らずで行けるところですので、近い街となるのでしょうか。
 2日目、用事は午後からで時間があったので、出かけることにしました。雪もまだ一杯残っており、寒い日でもあったので、どこに出かけるのか迷ったのですが、弘前に興味が湧き、観光することにしました。
 弘前は、青森県の南西部に位置します。津軽平野のもっとも南にあり、奥まったところにあるので、弘前周辺を弘前盆地と呼ぶこともあります。弘前盆地は、西から流れ込む岩木川と南から流れ込む平川、東から流れ込む浅瀬石川などがあり、扇状地や平野の堆積場とみなせます。盆地は新しい時代に形成されもので、履歴もわかりやすいものです。しかし、弘前盆地を囲んでいる周辺の山並みは、複雑な地質学的な履歴をもっています。
 盆地の周囲は、西には「津軽富士」とも呼ばれる岩木山が、奥羽山地を形成している八甲田山などの山並みとなります。南側は秋田県との県境に広がる白神山地からつながる丘陵地帯になっています。
 西の岩木山は、標高1625mの成層火山で、弘前城から雄姿を眺めることができます。岩木山は、約30万年前に安山岩のマグマが活動をはじめ、現在と同じような規模な成層火山に成長したと考えらています。しかし、約20万年前には山体が崩壊しましたが、その後山体を修復するように新しい火山活動が起こり、約1万年前からは安山岩からデイサイト質マグマが活動して、山頂の溶岩ドームが形成されました。そして、現在の姿となりった活火山です。
 東の奥羽山地は、複雑な構造をもっています。八甲田山から十和田湖の並びより西には、いくつも活火山とカルデラが複雑に入り組んでいます。
 八甲田山は、大規模な火山活動が複合して起こりました。約100万年前に活動をはじめ、やがて大量の火山砕屑物をともなう噴火によってカルデラが形成されました。カルデラ形成中も形成後も火山活動は継続していました。約1000年前以降にも小規模な水蒸気爆発やおこっています。南八甲田山火山群と北八甲田山火山群などが活火山として現在も活動中です。2011年の東日本大震災以降、地震が頻発し、山体が膨張するような変動が観察されています。
 十和田湖は、火山によってできたカルデラです。カルデラ形成前は、約20万年前に火山活動をはじめ、小さいな山体を何度か形成しました。約4万年前には、直径約10kmの大きなカルデラができました。その後、カルデラ内にある中湖としてあるカルデラが形成され、二重カルデラになりました。カルデラ形成後も火山活動は継続している活火山です。
 さらに西の弘前盆地よりには、いくつかのカルデラ地形がみつかっています。沖浦カルデラ、碇ヶ関(いかりがせき)カルデラなどがあります。その西には津軽盆地の東縁をつくるように落ち込んだ黒石逆断層があります。その断層から弘前盆地がはじまります。
 白神山地の北東側、弘前盆地から南には、「毛無山基盤堆積岩類」とよばれる古い時代の地層が分布します。その地域でもっとも古い岩石を、基盤岩と呼びます。基盤岩は、花崗岩や変成岩が多いのですが、堆積岩のこともあります。「毛無山基盤堆積岩類」は、チャートや砂岩を含む泥岩から構成されています。そのチャートから三畳紀の化石が見つかっています。この基盤岩は、付加体と呼ばれる特異な地質体(メランジュと呼ばれます)と考えられています。古い岩石(三畳紀)が沈み込み帯で新しい堆積物(ジュラ紀)に取り込まれたと考えられています。
 白神山地の中には、白亜紀の花崗岩類が少しですが分布します。花崗岩はマグマが地下深部でゆっくりと固まったものです。花崗岩は付加体よりあとに活動したもので、過去の日本列島を特徴付けるものです。かつて日本列島は大陸の縁として存在していました。その大陸の縁に海洋プレートが沈み込み、沈み込むプレートに連動して起こったマグマの活動が花崗岩になりました。
 花崗岩を覆って、中新世の多様な堆積岩と、それを貫く火成岩類(流紋岩、石英閃緑岩等)があります。多様な堆積岩といいましたが、岩石の種類では凝灰岩、泥岩、砂岩などです。地層区分としては、古い方から尻高沢層、藤倉川層、砂子瀬層、大和沢(おおわさわ)層、相馬安山岩類、大秋(たいあき)層、東目屋層に区分されています。
 これらの地層は、「グリーンタフ」と呼ばれる日本海沿いに各地の海底で起こった火山活動に関連する地質現象です。火山活動は、主に中新世に起こり、海底でたまった堆積物の中に火山砕屑物や火山岩類が混じっています。
 白神山地の堆積岩や火成岩類は不安定なうえに、地域全体が隆起し続けているため、崖崩れが起こりやすくなっています。丘陵地帯になると新しい時代の堆積物が覆っています。その丘陵の北側に、岩木山と津軽盆地があります。
 青森県の地質図をみると、複雑さと単調がからみあっていることがよくわかります。太平洋側では下北半島の付け根から八戸あたりまで、三本木原の丘陵から平野が広がり、第四紀の新しい地層に覆われているところが、単調に続きます。
 一方、津軽側では、日本海側の十三湖や砂丘からはじまり、弘前盆地まで続く津軽平野も、第四紀の地層が広がっています。その中でも弘前盆地は、その背景にある山並みは複雑で多様な履歴を持っています。弘前盆地を囲む山々は、基盤の付加体、深成岩の活動、グリーンタフの火山活動や堆積物、そして最近の火山活動など、非常に複雑な地質的な背景をもっています。
 弘前は、弘前藩の城があり、城下町として栄えてきたところです。現在も、津軽地方の中心都市として機能しています。弘前城は、春の桜で有名なのですが、冬も公園内は入れるので、見学することにしました。弘前城から西に開けたところでは、岩木山の雄大な姿が見ることができました。そして城の北には、「伝統的建築物保存地区」があり、今も生活を営みながら昔ながら町並みが残されています。
 弘前は、町の営みに新しさと古さが混在しています。それは、弘前盆地が単純さの中に複雑さが混在している地質との呼応しているように思えました。


Letter★ 卒業式・雪解けの春

・卒業式・
3月も半ばになりました。
大学は卒業式を来週に控えています。
今年は、大学内で卒業式をおこなうことになりました。
今までは大きなホールを借りて
全卒業生と保護者を招いての卒業式でしたが、
今年は大学のホールなので
3回に分けての卒業式になります。
全体のセレモニーは短めにして
学科ごとに学位記の手渡しをします。
保護者の方もその様子を見ることができます。
その後、記念撮影や、教員と卒業生、保護者での
個々の語らいの時間があります。
今まではこのような時間はなかったので

・雪解けの春・
北海道は例年であれば、雪解けがはじまり、
残雪を溶かす作業がはじまるのですが、
今年は、雪が多いのでその作業がはじまりません。
除雪の行き届いている道路はだいぶ雪解けがすすみ、
路面が見えるようになりました。
田畑や野原はまだまだ残雪は多く、
雪解けの春はもう少し先のようです。




もどる