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Essay ★ 103 鹿部間欠泉;去勢された自然
Letter★ 家族旅行・締め切り


鹿部町のしかべ間歇泉公園の入り口。


しかべ間歇泉公園の足湯。


間歇泉とその周りを取り巻く施設。


間歇泉の吹き出し。


間歇泉の噴出。


間歇泉の噴出。


5万分の1地形図。赤丸が間欠泉のあるところ。


上と同じ範囲の10mメッシュによるCG図。


上と同じ範囲のLandsat衛星画像と10mメッシュによるCG図。


上と同じ範囲の地形解析の地下開度図。


上と同じ範囲の地形解析の地上開度図。


上と同じ範囲の地形解析の傾斜量図。

(2013.07.15)
 北海道茅部(かやべ)郡鹿部町(しかべちょう)に出かけました。校務なので、ゆっくりする時間はなかったのですが、間欠泉をみてきました。ここの間欠泉は、繰り返しの間隔とその勢いに圧倒されます。3度目の見学ですが、少々考えさせられたこともありました。


Essay ★ 103 鹿部間欠泉;去勢された自然

 6月中旬、大学の校務で鹿部町にいきました。日帰りの出張で、なおかつ午前の早い時間にある校務だったので、自宅を朝の5時にでました。霧が深かったので少々高速運転が怖かったのですが、途中で晴れてきたので通常に運転ができたの助かりました。
 私のカーナビが古いものだったので、高速が国縫までしか延びていいないことになっていました。かつてこちらにきた時も、国縫で高速を降りた記憶もありました。ところが高速は延びていました。時間がギリギリだったので、もう少し先のインターを目指して、カーナビでは道なきところを進みました。八雲インターを過ぎて落合インターまでいき、その先がわからないので高速を降りることにしました。道すがら森まで高速が延びていることとがわかったので、帰りは森インターから高速を利用しました。
 片道で300kmほどあり、高速を使っても4時間ほどかかるので、かなり疲れしましたが、帰りは高速がほとんどだったので、運転が苦手な私には助かりました。
 鹿部町は、渡島半島の付け根に当たります。噴火湾と太平洋に面した地域です。道南の幹線である国道5号線を、森から分かれて、国道278号線を30kmほど進んだところにあります。
 校務のあと少しの時間をとって、鹿部の間欠泉を見に行きました。鹿部の間欠泉を訪れるのは、今回で3度目になります。一度目は大学生のときの地質巡検で訪れた記憶があります。だいぶ昔です。二度目が家族で道南を回った数年前です。そして今回が3度目です。今回も二度目の時と同じ印象でした。整備された施設で、新鮮味を感じませんでした。多分、間欠泉を見せる施設が同じであったためでしょう。一度目はうろ覚えですが、唐突に激しく吹き上がる間欠泉を見た記憶だけあります。昔の写真をひっくり返してみたのですが、その写真もありませんでした。ただ記憶の中にだけあります。
 鹿部の間欠泉は、1924(大正13)年4月に、温泉を試掘している時に偶然発見されたそうです。間欠温泉「鶴の湯」と呼ばれていました。今では、「しかべ間歇泉公園」という施設内になり、間欠泉を見ることができます。この施設には、間欠泉の説明や、安全に間近に、あるいは2階からみることも可能となっています。整備されたきれいな施設です。でも私には・・・。
 鹿部の間欠泉の特徴は、なんといっても、その頻度と水量でしょう。約10分毎に温泉が勢いよく吹き上がります。少しいれば何度も見ることができます。足湯に入りながら、間欠泉を見ることができます。100℃の温泉が15mほどの高さに吹き上がります。すぐ横を国道が通っているので、交通への影響を防ぐために、10mのところにフタが付けられています。少々残念ですが、仕方がないのでしょう。
 間欠泉自体は、珍しいものではありますが、ここだけのというものでもありません。日本でもいくつかあり、宮城県の鬼首温泉の欠泉、山形県広河原温泉の湯ノ沢間欠泉、栃木県川俣温泉の間欠泉、大分県別府の柴石温泉の龍巻地獄などがあります。また、アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園には200以上の間欠泉があり有名です。
 鹿部の間欠泉は、地下26mの深さから吹き上がってきます。その原理は、タテの穴(試掘坑)に、熱水脈が達しており、温泉が常に湧き出しています。熱水の温度は113℃もあるのですが、地下なので2.6気圧の圧力がかかっているので沸騰はしません。113℃の高温の熱水が、上にある100℃以下の温泉を、押し出しながら上がってきます。浅い所にくると圧力が低下します。すると、100℃以上の熱水は沸騰をはじめます。
 水が沸騰する状態だと、粘性が下がり流動しやすく、圧力も下がります。より下部にある100℃以上の部分も沸騰しはじめます。いわゆる、突沸(とっふつ)という現象が起こります。その結果、熱水が激しく吹き上げられます。これが間欠泉の噴出となります。
 一度に、500リットルもの熱水を吹き出します。タテの穴の熱水が一気に吹き出ると、温度も下がり突沸が終わります。再び、113℃の熱水が突沸するまでが、約10分ほどとなります。これが鹿部の間欠泉の原理です。
 鹿部温泉地域で、以前は温泉が地表に湧出していたようです。地下10mほどのところまで高温の温泉水がきています。調査では1mほどで40〜50℃に達する地域も見つかっているようです。
 間欠泉の熱水は、近隣の鹿部温泉と同じで、マグマの熱源と考えられます。すぐ西には、北海道駒ヶ岳(こまがたけ)があります。標高1131mの活火山で、山頂の形が歪であることが特徴となっています。この火山活動を起こしているマグマが熱源となっていると考えられます。鹿部町は、何度か駒ケ岳の噴火による災害に見舞われています。
 駒ヶ岳のマグマは、安山岩質なのですが、軽石などの火山砕屑物を大量に噴出するのが特徴です。鹿部町にも厚く軽石が堆積しています。軽石は湿地帯の土地改良や、海底の昆布生育のために役立ているそうです。
 鹿部町は幹線道路、観光ルートからは少しずれていますが、私は、このよな静かなところが気に入っています。ただし、「しかべ間歇泉公園」での間欠泉は不自然な感じがして、どうもしっくり来ませんでした。これが、代わり映えの無さをかもしれだしたのかもしれません。最初に見た自然な間欠泉の記憶は深く残っています。雄大な自然は、何度行っても感動を新たに与えてくれはずです。
 最近の観光地は、温泉だけでなく、いろいろなレジャー施設、レクレーション、イベントなどを取りそろえています。そのせいか、どの観光地でも似たものがあり、あとで思い出すと、肝心のウリが記憶から薄れいてく気がします。道の駅のような施設は、車で旅行する人にとっては、一定の目的を達成できるので助かるものではありますが、個々の道の駅の記憶は薄れます。
 車社会だからこそ、移動が自由だからこそ、地域ごとに限られた個性、ウリが強調されたほうが、記憶に残り、また見に来たいということになるのではないでしょうか。
 鹿部の間欠泉ですが、パンフレットには、フタのない勇壮な噴出の写真があります。周辺の被害を考えるとフタもしかたがないのかもしれません。間欠泉は自然の脅威を見せつけられるものです。フタのない間欠泉を見たかった思いがあります。「去勢」されたのでは、少々興ざめするのは、私だけでしょうか。


Letter★ 家族旅行・締め切り

・家族旅行・
北海道も暑い日が続きました。
しかし、夜は涼しくなるので、
昼間の暑ささえ耐えれば、夜には一息つけます。
大学の講義も、あと少しです。
2週間ほで講義が終わり、定期試験になります。
それが終われば、一息つけそうです。
できれば、家族旅行でもいきたのですが、
子供たちがクラブでいろいろ出るので、ままなりません。
行ける家族だけで出るという選択も可能なはずです。
「2、3日だったら自炊で大丈夫だろう」というと
高校生の長男が「できない」と言い切ります。
放っておいて炊事や洗濯をしれくれればいいのですが、
長男には無理なようです。
旅行ができないと、エッセイのネタができなくなります。
困ったものです。

・締め切り・
現在、論文の締め切りに追われています。
本当であれば、このエッセイを書く余裕はないのですが、
定期的に書くことを自分自身のノルマにしているので、
無理して書きました。
自己満足かもしれませんが、
何人か熱心な読者もおられるので、
なんとか書き続ける動機になっています。
今回もホームページの画像の更新は遅れますが、
メールマガジンだけは、なんとか発行しようと思いました。
まあ言い訳している暇があったら、
早く発行して論文にかかりましょう。




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