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Essay ★ 75 佐田岬半島:菜の花の下の片岩
Letter★ 被災地におらる方々へ・日本の方々へ・メディアの方々へ・数学の
日 


佐田岬半島の20万分の1地形図。


佐田岬半島の地質図。上と同じ範囲


佐田岬半島のLnadsat衛星画像。上と同じ範囲


佐田岬半島の三波川変成岩。


佐田岬半島の三波川変成岩の緑色片岩と赤色片岩。


佐田岬半島の最西端。向こうの陸は九州。


佐田岬半島の三波川変成岩の緑色片岩。


佐田岬半島の御荷鉾帯の蛇紋岩。


佐田岬半島の三波川変成作用を受けた枕状の玄武岩溶岩。


佐田岬半島の三波川変成作用を受けた枕状の玄武岩溶岩。


佐田岬半島の地形解析の地上開度図。上と同じ範囲


佐田岬半島の地形解析の地下開度図。上と同じ範囲


佐田岬半島の地形解析の傾斜量図。上と同じ範囲

 

(2011.03.15)
(注)
  このエッセイは、金曜日午前中にほとんどを書き終わっていて、校正をするのみになっていました。発行日の15日より前に校正をして発行をすればいい上智兄していました。ですから、11日の昼には、一仕事が終わったので、外出して午後3時頃に帰ってきました。しばらくして、メーリングリストで東北地方太平洋沖地震があったことを知りました。ですから、このエッセイは、地震とは全く関係のない内容を書いていました。このメールマガジンを発行しようかどうか迷いました。
  地震の情報を知ったあと、家族や親族の安否確認を急ぎました。さらに友人、教え子や関係のある者の情報を収集するため、13日まで没頭していました。その間、何も手につきませんでした。まだ、安否のわからない人も多数います。
  ニュースや情報を集めながら、私にできることをいろいろ考えていました。できることの多くは、多数の中のひとりとしてできることでした。それもしなればなりませんが、私にだけしかできないことは、何かないか考えました。その結果、メールマガジンを配信をすることが私だけができることだと思いました。
  以下のエッセイでは、災害や原子力発電について書いてある部分あります。過激な内容、不適切な内容は修正しましたが、基本的には元のままの状態であります。なぜこの時期にという批判があるかもしれませんが、通常通りに発行することにしました。

(以下メールマガジン本体)
  春の到来はなんだから、うきうきさせるものです。根雪のない地域の春は、花の色で感じるのではないでしょうか。佐田岬半島は、菜の花の映える景色が広がっていました。その下には、三波川変成帯の色とりどりの片岩がありました。


Essay ★ 75 佐田岬半島:菜の花の下の片岩

 先日、初春の佐田岬(さだみさき)半島にでかけました。先週行こうと思って天気の回復を待っていたら、行けなかったことがあるので、今回は、朝ひと仕事して、8時過ぎには出ました。幸いなことに晴れが続きました。
  佐田岬半島の三崎までは以前もいったことがあるのですが、今回は、それより先、佐田岬まで行くことにしました。ただ、先端の佐田岬灯台では、吹き飛ばされそうなほど風が強く、寒く感じました。
  さて、佐田岬半島を見ると非常に不思議な形をしています。豊後水道を遮るように、西北西に向かって40km近く伸びています。広いところでも幅約6km、狭いところでは800mほどしかありません。このような形状は、半島だけでなく、付け根の海岸からつづています。松山に向かって、保内、長浜、双海、伊予へと続く海岸も、直線的になっています。
  この直線は中央構造線によるものです。中央構造線は、この直線の海岸の北側の海底を通っています。中央構造線によって、南側の地帯が持ち上げられ、北側が沈んでいきます。そのため佐田岬半島の南側は入り組んだリアス式海岸となっていて良港となっています。三崎港はその中心でもあります。ただ、北側の海岸線は、海食崖の岸壁になっており、海を渡る北風を強く受けるため、集落は少なくなっています。
  中央構造線を堺にして日本海側を内帯、太平洋側を外帯と呼んでいます。中央構造線の南側には三波川変成帯があります。佐田岬半島は三波川変成帯にあたります。一部に御荷鉾(みかぶ)帯に属する岩石もありますが、半島の大部分は三波川変成帯の岩石からできています。
  では、三波川変成帯とは、どんなものでしょうか。大雑把にいうと、付加体を構成していた岩石が変成作用を受けたものです。
  付加体(以前にも説明していますが何度でも説明します)とは、海洋プレートが海溝で沈み込むとき、削ぎ取られ、陸側のプレートにくっついた岩石群のことです。海洋底や海山・海洋島を構成していた玄武岩やその破砕岩類、海洋底堆積物であるチャートや頁岩(赤色頁岩になることが多い)、海洋島の礁をつくっていた石灰岩、さらに陸からもたらされた砂岩や泥岩の陸源の堆積物などを原岩としています。
  その起源を考えるとわかりますが、付加体を構成する岩石は、形成年代の幅が広いものとなります。1億年以上の期間の構成物を含むこともあります。原岩の年代は幅は、海洋プレートとして存在した期間、言い換えると海洋プレートの大きさ、海の広さを示しています。そして、一番若い岩石の年代が、最終的に付加体の形成年代と近似できます。
  岩石群が海溝にもぐり込みはじめたときに溜まっていた、陸からの砕屑性堆積岩、なかでも岩石群の基質になっていることの多い泥岩の年代が、付加体形成年代とみなされてます。ですから、付加体の研究では、付加体の基質となっている泥岩から化石を見つけることが重要となります。
  付加体を構成している岩石群が、海洋プレートにつられて沈み込み、深くに持って行かれます。岩石ですので、熱の伝導性はよくないので、深くもっていかれても温度はさほど上がることなく、圧力だけ上昇していきます。このような圧力を中心とした変成作用が三波川変成帯の岩石は受けています。
  佐田岬半島の三波川変成岩は、白亜紀最前期(1億4500万年前)ころの付加体を原岩としています。そして変成作用は白亜紀中期頃(1億2000万から1億1000万年前)に一番強い変成条件に置かれました。その後、上昇してきました。
  高圧の変成作用を受けた岩石は、剥離性の強い、片岩とよばれる状態になります。片岩は、剥離性が強いため、地すべりを起こしやくすい地域もあります。玄武岩質の岩石は緑色の片岩、泥岩質の岩石は黒色の片岩、砂岩質の岩石や凝灰岩は白っぽい片岩、頁岩は赤色の片岩になる。つまり片岩でも、原岩の種類を反映した色や特徴をもった岩石になります。色のコントラストが印象に残っています。
  三波川変成岩がでているということは、中央構造線によって、深くにあった岩石も持ち上げられたということです。まあ古い岩石ですから昔持ち上げられたのかもしれません。でも、地質運動の状態が綺麗に地形に反映されているということは、その運動が最近まで活動していたか、これからも活動していくということになります。中央構造線は、非常に変動の激しいところであることを意味します。
  佐田岬半島の付け根付近の北向きの海岸近くに、四国電力による伊方原子力発電所があります。3機の原子炉で発電されています。その発電やトラブルについても情報は、ホームページで公開されています。私が先日訪れたときは、非常に強い風が吹いていました。佐田岬半島は、常時、風の強いところのようで、風力発電の塔がいくつもあり、プロペラが回っていました。自然の発電と原子力発電のコントラストも印象的でした。
  路傍に咲く菜の花は、花の咲く時期が非常に早いようで、私がいる山里でも、1月には陽だまりで咲いていました。佐田岬半島では、晴れた青空の下で、多数の菜の花の黄色が印象的でした。青と黄色のコントラストも記憶に残っています。佐田岬半島は、色だけでなくさまざまなコントラストが特徴的でした。


Letter★ 被災地におらる方々へ・日本の方々へ・メディアの方々へ・数学の日

・被災地におらる方々へ・
被災地の方々、頑張ってください。
救援、援助はきっと届きます。
ですから、あと少しがんばってください。
救援の方々、寒さや二次災害の危険の中、
大変なご苦労だと思いますが、
健闘をお祈りします。
届かないメッセージだとは思いますが
自分にも、何かできないかと日本中の人々が思っています。
そして世界中が無事を祈っています。
神戸や新潟の教訓が少しでも役に立って
一日も早い回復を愛媛からお祈りします。

・日本の方々へ・
日本では最大級のマグニチュード9、
そして震度7、度重なる余震。
さらに巨大な津波が大きなダメージを与えました。
それに呼応するような各地の地震。
みなさんの地域は被害はなかったでしょうか。
親族や友人は大丈夫だったでしょうか。
私は、地震当日、家族も親族ともまったく連絡が取れず
翌朝なんとか連絡ができ、無事を確認できました。
しかし、友人や教え子など、
まだ消息が確認できない人もいますので、心配です。
でも、諦めることなく、希望を持って情報収集を続けます。
日本中で今回の災害を見守っておられる方が、
マイナス(批判や不満)の情報や
未確認情報や不注意な情報の発信は控えましょう。
はげましや援助などプラスだけを発信しましょう。

・メディアの方々へ・
多くの方々が、危険なところや大変な思いをして
情報を発信をされていると思います。
ご苦労様です。
その情報はどんなものであっても、
貴重で誰かが欲しているはずです。
ですから、これからも情報の供給をよろしくお願いします。
ただ、くれぐれも慎重な情報発信をお願いします。
時には発信しないことも重要な場合もあるかもしれません。
時には誤情報もあるかもしれません。
被災者は非常にナーバスになっています。
時には発言に感情的なものあるかもしれません。
情報の取捨選択や充分配慮をお願いします。

・数学の日・
(これはすでに書いていたものなので掲載します)
3月14日は数学の日だというのご存知でしょうか。
私も最近知りました。
円周率の近似値3.14にちなんで
日本数学検定協会が制定したものだそうです。
円周率はコンピュータの性能を誇示するのに用いられますが
ギネスの記録では、近藤茂とAlexander J. Yeeが
パソコンで5兆桁まで計算しているのがきろくです。
現在10兆桁を目指しているようです。
22TBのハードディスクや最高速のCPU(3.33GHz)など、
パソコンとしては最高級の設備で計算されています。


「この地図の作成に当たっては、
国土地理院長の承認を得て、
同院発行の数値地図200000(地図画像)、
数値地図50000(地図画像)、
数値地図25000(地図画像)、
数値地図250mメッシュ(標高)、
数値地図50mメッシュ(標高)、
数値地図10mメッシュ(火山標高)及び
基盤地図情報を使用した。
(承認番号 平21業使、第53号)」

解析データは
北海道地図株式会社作成の
高分解能デジタル標高データを使用した。

地図、Landsatの画像合成には
杉本智彦氏によるKashmirを使用した。


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