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大型画像とリンクしています。クリックすれば見ることができます。200〜500kbほどありますので、注意してください。
Essay ★ 00 創刊特別号
Letter★ メールをお待ちしています・役に立つサイト 


2万5000分の1地形図


航空写真


地図と航空写真を合成したもの


Landsat画像1


Landsat画像2


Landsat画像3

 

(2005.01.03)
 大地の景観には、さまざまな自然の驚異、素晴らしさ、不思議が隠されています。そんな大地の景観を、地形や地質のデータから、地質学者が眺めたら、どう見えるでしょうか。皆さんどうか、大地の造形に隠された仕組みに目を向けてください。そして楽しんでください。


★Essay 00 創刊特別号
 このたびは、月刊メールマガジン「大地を眺める」を購読いただき、ありがとうございました。このメールマガジンは、毎月15日頃の発行を予定しています。今回は第一号を発行する前の創刊号として、発行のご挨拶をしたいと思います。ただ挨拶をするのではつまらないので、どのようなメールマガジンにするつもりか、あるいはどのような内容にするつもりなのかを紹介していきます。なお、私(小出良幸)のプロフィールや、このメールマガジンの発行の目的、著作権などについては、ホームページをご覧いただければと思います。
 このメールマガジンでは、大地の景観に関する読みやすいエッセイとして、テキストで配信していきます。しかし、内容としては、テキストだけではなく、画像を多用して展開しようと考えていますので、ホームーページと連携していきます。画像はホームページを参照いただくことにします。その画像も可能な限り高精細のものを公開するつもりです。もしろん、メールマガジンとして、テキスト単独でも面白いもの、わかりやすいものを目指します。
 このメールマガジンのはじめるきっかけとなったのは、「広い視点で大地を見ていくこと」と「それを市民に伝えること」が大切だと考えるようになってきたからです。私は地質学を専門としている大学教員ですが、その重要性を強く感じるようになりました。このような広い視点とそれを市民に伝えるということは、何も地質学の研究者だけでなく、多くの人に共通のことではないでしょうか。ですから、私は、ごく当たり前のことをしようとしているのかもしれません。「広い視点で大地を見ていくこと」と「それを市民に伝えること」について、どのようなことなのか説明していきましょう。
 まずは、「広い視点で大地を見ていくこと」についてです。地質学者は、その研究分野の性質上、市民から見ると、一見、広い視点で研究しているように見えるかもしれません。46億年もあるような地球の歴史を考えたり、「動かざること大地の如し」というわれる大陸を移動させたり、移動前の大陸は配置を復元したり、地下深部のマグマのでき方に思い巡らしたり、ななおど、とてつもない時間や空間のスケールでものごとを考えているように思えるでしょう。
 しかし、同じ世界でずっと専門の研究を続けていると、どうしても視点が固定的になります。マグマのことを専門とすると、マグマの中だけでずっと考えを固定しています。そしてそのような専門家集団、つまり学界の中で活動をしていると、それで研究者として充分だと考えてしまいます。かつての私も、そうでした。
 でも、今では、私は、もっと柔軟にいろいろな観点で自分の研究している素材を眺めてみることも大切ではないかと考えるようになりました。すべての科学者にそうしなさいというのではありません。ある分野で何人かは、そのような考えを持つ研究者がいてもいいのではないかということです。そのような研究者が、学界の中に何人かいると、学界全体が刺激を受けるはずです。そして、彼らが、どこからか便利な道具、使いやすい技術、新しい考え方、面白い見方などをはじめ、それを学界でアピールすることができれば、他の研究者にも、そのメリットは活かされるはずです。私は、いってみれば新しいもの好きなのでしょう。
 次は、もうひとつの「市民に伝えること」の重要性についてです。学界で自分の挙げた成果を論文として発表することが重要な任務です。普通、研究者は、自分成果に対しての学界の評価を気にします。それを最も重視にしている研究者も多数います。確かに人類に知的に貢献することを考えれば、人類に役に立つ研究をしていることが、研究者の値打ちとなるはずです。
 一方、大学教員をしている研究者なら、学生や大学院生などに対する教育も重要な仕事となっています。しかし、教育をなおざりにしている一流の研究者、あるいは普通の研究者も多いのが現状です。また、大学を一歩出ると、教育には無関心の研究者が多くいます。
 それが私は問題だと思っています。研究者としての社会的任務として科学を遂行するだけでなく、その成果を広く周知することも重要なことではないでしょうか。私は、科学の成果をわかりやすい形で広く市民に伝えることも、あるいは伝える方法を考えることも、科学者の重要な任務ではないかと思います。そして、科学的成果からすぐに直接考えられる予測、危険、希望や、あるいは市民に直接すぐに影響がない長期的なもの、間接的なものでも、さまざまな考えを、市民に開示することが需要ではないでしょうか。そして多様な情報が公開されている状態で、市民や識者などに、判断を委ねることが重要ではないでしょうか。
 人類の未来は、多くの人が知恵を出し合ってから判断するべきではないでしょうか。多くの分野の研究者がそれぞれの立場で意見を述べることが大切ではないでしょうか。市民に多くのことを知ってもらうためのたゆまぬ努力が必要だと考えています。まあ、それほど意気込むことはないのですが、少しでも市民に方々にも、科学を、楽しく理解していただければと考えているのです。
 以上のような動機から、私は自分の専門としている地質学を、多くの市民に紹介していこうと考えているわけです。ただし、できれば、地質学をより「広い視点」にするために、このメールマガジンでは、地形学、GIS、リモートセンシングなどの分野の技術や情報を導入していこうと考えています。地質学でも、このような他分野の観点や技術、手法などを導入することによって、多様な展開ができるはずです。地質学に近い分野ですから取り入れやすいものでしょう。まずは、そのような素材から、このメールマガジンは進めていきます。
 このような試みは、私にとっては、実ははじめてのことではありません。2003年には1年間にわたって、地球探査衛星TERRAに搭載された高性能光学センサASTER(Advanced Spaceborne Thermal Emission and Reflection Radiometerの略)の画像を財団法人資源・環境観測解析センター(ERSDACと略される)とともに衛星画像を利用して、市民にその面白さを伝えるという試みをしたことがあります。これは、人工衛星から見える地球の画像を見ながら、地上を調査する地質学者がどのようなことを考えたのかを、毎月1年間にわたって連載したものです。興味がおありでしたら、
http://www.ersdac.or.jp/Others/geoessay_htm/index_geoessay_j.htm
をご覧ください。
 私は、地質調査で北海道各地を巡っています。そして年に1度か2度は本州にも出かけます。今回のメールマガジン「大地を眺める」では、毎月、私が調査してきた地域を選んで、その地で考えたことや、新しい素材から新しい見方ができないかを紹介していきます。
 このメールマガジンでは、北海道地図株式会社との連携によって、2万5000分の1の数値地図とともに、10mのごと(メッシュといいます)の標高データを利用できるようになりました。また、私が調査したことのある地域では、私の地表の景観や資料のデータなどがあります。都市部に限られますが、航空写真も公開されています。ランドサットもデータも自由に使えるようになってきました。
 これらのデータや画像はスケールが違い、そして見え方も違ってきます。それは、私にとって、見飽きることのない、面白いものです。地表調査をしているときには決して味わうことのない飛行機や人工衛星からみたような視点を得られます。
 また、標高データを加工することによって、地形の特徴をより顕著にみることができます。地形の特徴を表すのに、傾斜量、地上開度、地下開度、斜面方位、斜面形、起伏量など様々な方法があります。
 中でも、標高データから計算する傾斜量や地上開度、地下開度は、その地域の特徴を表すのに有効でです。傾斜量とは、ある地点の傾斜の度合いで、地質の違いや断層の判読、浸食の程度、崩壊地形などが区別しやすくなります。地上開度とは、ある地点での空の見通しの度合いをあらわすもので、尾根の地形の分布や密度がよくわかります。地下開度とは、地上開度とは逆である地点での大地の広がりの度合いをあらわすもので、谷地形の発達状況や河川の分布・密度、溶岩ドームなどの凸地形やカルデラのような凹地形がよくわまります。
 私が住む町の様子をそれぞれのスケールでみたものや、3D表現したり、地形解析した図を、ホームページで紹介しておきますから、ぜひご覧になってください。

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・メールをお待ちしています・
読者の皆様からメールをお待ちしています。
感想、意見、希望などがあれば、
ぜひ、メールでお送りください。
できる限り、対処可能なものは対処するつもりです。
お持ちしています。
また、メールマガジンの場で、多くの人に関係があることであれば、
メールでのお互いのやり取りを承諾があれば
公開できるか知れません。
アドレスは、メールマガジンの上に書いてありますが、
y@ykoide.com
です。

・役に立つサイト・
役に立つサイトとして、次のようなものがあります。
北海道地図
http://www.hcc.co.jp/:10mメッシュ、GISデータ、地形解析データ
国土地理院
http://sdf.gsi.go.jp/index.html:GISデータ、試験公開、無料
http://watchizu.gsi.go.jp/:2.5万分の1地形図、試験公開、無料
国土交通省
http://w3land.mlit.go.jp/WebGIS/:航空写真、無料
デジタル・アース・テクノロジー
http://www.det.co.jp/top.html:航空写真、ランドサット画像、有料
ERSDAC
http://www.ersdac.or.jp/:ASTER衛星画像、有料
http://www.ersdac.or.jp/Others/geoessay_htm/index_geoessay_j.htm
:小出の衛星画像公開サイト
メリーランド大学
http://glcfapp.umiacs.umd.edu:8080/esdi/index.jsp
:ランドサット画像、無料
数値地図表示ソフトKashmir(杉本智彦作成、フリーソフト)
http://www.kashmir3d.com/
参考になれば。


地形の3D画像1

航空写真と衛星画像と標高データをKashimirで合成
(500m上空から28mmレンズで撮影という設定)


地形の3D画像2

航空写真と衛星画像と標高データをKashimirで合成
(500m上空から10mmレンズで撮影という設定)

3D画像の例

私が日々眺めている山並みです。
肉眼で見るスケールは、上の画像の28mm程度もののです。
しかし、山並みの全貌を見たいときは、10mmレンズでの画像などの広角撮影をすると広く見渡すことができます。

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自己紹介

札幌学院大学人文学部こども発達学科教授

著作権

 このページの地図の作成に当っては、国土地理院長の承認を得て、 同院発行の2万5千分の1地形図を使用したものです。(承認番号 平15総使、第140-623号)
  10mメッシュ数値表データ及び地形解析は北海道地図株式会社が著作権を持っています。
  地図、航空写真、Landsatの画像合成には杉本智彦氏によるKashmirを使用しました。
  それ以外の画像、文書は小出良幸が著作権を有するものです。
  本ページの営利を伴わない個人的使用、教育目的以外で使用する場合は、ご連絡ください。


傾斜量図


地上開度図


地下開度図

地形解析の例

傾斜量や地上開度、地下開度は、標高データから計算するもので、その地域の特徴を表すのに有効です。

傾斜量とは、ある地点の最大傾斜方向から傾斜の度合いを求めたもので、地質の違いや断層の判読、浸食の程度、崩壊地形などが区別しやすくなります。

地上開度とは、空の見通しの度合いをあらわすもので、尾根の地形の分布や密度がよくわかります。

地下開度とは、空が地表に遮られる度合いをあらわすもので、谷地形の発達状況や河川の分布・密度、溶岩ドームなどの凸地形やカルデラのような凹地形がよくわかります。

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の地図の作成に当っては、
国土地理院長の承認を得て、
同院発行の2万5千分の1地形図を使用したものである。
(承認番号 平15総使、第140-623号)

10mメッシュ標高データ及び解析データは
北海道地図株式会社作成の
高分解能デジタル標高データを使用した。

地図、航空写真、Landsatの画像合成には
杉本智彦氏によるKashmirを使用した。


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