地球と人と
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Essay■ 6_208 AIで最初の星 3:スペクトル分析
Letter■ 事前指導・著書の執筆中
Words ■ 春まだ浅き日に


(2024.03.07)
 恒星の元素組成は、光のスペクトル分析で調べることができます。最初の星の超新星爆発で形成される元素組成は、理論から推定することができます。両者を、AIを用いて解析することで、新しいことがわかってきました。


Essay■ 6_208 AIで最初の星 3:スペクトル分析

 恒星の元素組成は、どうして知ることができるのでしょうか。恒星の光の観測から推定できます。私たちの太陽も同じ方法で調べることができます。
 太陽を例にしましょう。太陽からでている光を、プリズムを通すと波長ごとに分けることができます。その様子を詳しくみていくと、明るい線や暗い線がたくさん見つかりました。
 明るい線(輝線)は、太陽の内側で輝いているところに多くある元素が出している光で、その波長の特徴を示しています。一方、暗い線(暗線)は、太陽が出している光が、外側の大気中にある元素に、吸収された光の波長の特徴を示しています。光の波長ごとの特徴から、恒星(太陽)の元素組成を知ることができます。
 このような方法をスペクトル分析といいます。遠くの星のスペクトル分析ができれば、その元素組成も調べることができます。これは恒星の観測データから、その星の元素組成が決めることを意味しています。
 一方、最初の星の内部の核融合のプロセスが理論的に計算できます。同様に、超新星爆発で合成される元素組成の計算もできます。こちらは理論的に最初の星の元素組成を想定することができます。ただし、最初の星のサイズが異なれば、元素組成も異なってきます。
 二代目の星は、最初の星とその超新星爆発で形成された元素組成と、周辺のビックバンでできた元素からできるはずです。何代目がわからないとして、重い元素の少なければ、若い星とみなせます。若い星の元素組成を観測して調べていきます。
 この論文の工夫された点は、最初の星の超新星爆発で形成される元素組成を、いくつものパターンを理論的に計算して、AIを用いて観測した星が、どのような組成の超新星爆発からできかを区分していったことです。
 AIの解析により、ひとつの超新星爆発の元素でできた星と、複数の超新星爆発でできた星が、区別できようにました。太陽系の近くにある462個の重い元素を含まない星を調べた結果、31.8%がひとつの星から来た元素であることがわかりました。このような星をモノエンリッチ(mono-enriched ひとつに富む)と呼んでいます。それ以外の68%ほどが、複数の超新星爆発による元素からできていることがわかってきました。このような星をマルチプリシティ(multiplicity 多元素性)と呼んでいます。
 これは、どのような意味をもっているのでしょうか。次回としましょう。


Letter■ 事前指導・著書の執筆中 

・事前指導・
現在、集中講義の最中です。
教育実習のための事前指導のための
授業となります。
ゴールデンウィーク開けから
教育実習がはじまります。
その前の準備となります。
先生として実際の授業を進めてきます。
はじめてのことなので、
なかなかうまくいかないでしょうが
実際の体験すること、
失敗することも重要です。
学ぶことが多いと思います。

・著書の執筆中・
著書の執筆を進めてみます。
当初予定より、1月ほど遅れてスタートしました。
それは、この著書に関係する
論文の草稿を執筆していたためです。
その論文や著書を書きながら
構想を深めてきました。
おかげで、これまで大学で研究してきた
いくつかのテーマがすべてつかって
総括できるような内容に発展してきました。
あとは、その内容をどこまで深めていけるかですが、
これが、なかなか難しく、頭を使う必要があります。
3月中になんとかまとめたいと考えています。


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