地球と人と
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Essay■ 6_207 AIで最初の星 2:超金属欠乏星
Letter■ 閏年で29日・集中講義
Words ■ 2月下旬に大雪が・・・


(2024.02.29)
 最初の星を見つけるのは難しいのですが、最初の星に近い初期の星なら、見つけられます。初期の星のデータを集めてAIに解析させることで、最初の星の様子を探ろうとしました。


Essay■ 6_207 AIで最初の星 2:超金属欠乏星

 AI学習による最初の星の探査は、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の客員研究員のハートウィグ(Tilman Hartwig)さんたちの共同研究で、Astrophysical Journalという雑誌に、
論文タイトル:Machine learning detects multiplicity of the first stars in stellar archaeology data
(機械学習が恒星考古学データから最初の星の重複性を検出)
というタイトルで報告されました。
 「最初の星」とタイトルにありますが、直接観測できないので、初期の星から探ろうとするものです。重い元素は、最初の星の中と超新星爆発で合成されていきます。ですから、古い星を探して、その成分に重い元素が少ないほど、初期の星となっていきます。
 重い元素を多く含む星を種族I(population I)と呼んでいます。少ないものが種族II(population II)となります。最初の星は金属をまったく含まないので種族III(population III)と呼ばれています。前回紹介したように、種族IIIの星は見つかっていません。種族IIIに限りなく近い種族にIIの星が研究対象になります。
 そのような星は、「超金属欠乏星」と呼ばれています。これも前回のエッセイの【註】に示したように、リチウムより重い元素は、天文学では「金属」と呼ばれます。そのため重い元素(金属)が極端に(超)少ない(欠乏)星となります。
 重い元素の少ない星の特徴が調べられました。初期の星が、最初の星に由来する元素をもとにできていたら、最初の星の個性をもっているはずです。なぜなら、最初の星のサイズや超新星爆発の特徴により、元素組成にも特徴が現れるからです。元素組成の個性に乱れがあれば、複数、あるいは多数の最初の星の影響を受けていたことになります。
 元素組成のパターンを機械学習したAIを使って、調べていったというのが、この論文となります。その結果は、次回としましょう。


Letter■ 閏年で29日・集中講義 

・閏年で29日・
今年は閏年で29日もあった
2月も最後となります。
2月は短く感じました。
それは、授業はなくなっていたのですが、
研究での作業が詰まっていたため、
バタバタとしていたためでしょう。
そのバタバタはまだ終わっていないのですが
充実はしています。

・集中講義・
3月上旬には、集中講義があります。
そのため、1週間、そこに忙殺されます。
学生もその間だけでなく、
準備にも時間を使います。
その相談のために研究室にもきます。
それも教育、指導になります。
熱心な学生ほど集中して準備に取り組んでいます。
ですから、手を抜くことも、
時間を惜しむことはできません。


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