地球と人と
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Essay■ 6_203 知的生命体の起源 1:条件と仮定
Letter■ 野外調査・集中すること
Words ■ 夏休みですが、遠出をせず近隣をめぐります


(2023.07.13)
 系外惑星の探査は、現在も盛んに進められています。多くの系外惑星が発見され、多様な惑星の存在がわかってきました。探査では、水、生命、知性などがキーワードですが、それらには仮定と条件が絡み合っています。


Essay■ 6_203 知的生命体の起源 1:条件と仮定

 高性能の宇宙望遠鏡による探査によって、大量の太陽系外の惑星が発見され、その多様な姿が明らかになってきました。それまで、太陽系内の天体が、惑星の多様性の範囲で、それらがいかに形成されたかを考えることが、惑星形成の重要な目的でした。ところが、多様な系外惑星の発見により、これまでの前提が大きく変更されました。
 数ある系外惑星の中で、地球型惑星の探査、そしてハビタブルゾーンにある惑星が注目されてきました。ハビタブルゾーンとは、惑星表層に液体の水が存在する領域で、恒星のタイプと惑星の公転軌道から推定できます。そこに地球型惑星があれば、海が存在する可能性が高くなります。その軌道上に、惑星が安定して長期間あれば、生命誕生と進化の必要条件がそろうことになります。ただし、その惑星に液体の水があること、生命が誕生していること、生命が進化していることを検証すのは困難です。
 ハビタブルゾーンから生命の進化までの推論は、連続した仮説を積み重ねていく論理構造になっています。
 系外惑星の公転軌道と惑星タイプは、観測で検証されていますが、ハビタブルゾーンの存在は推定になります。ハビタブルゾーンが仮定できる条件があっても、地球型惑星に水が存在するかどうかは検証できません。水が存在する惑星があると仮定でできても、そこに生命が誕生するかどうか、さらに誕生した生命が進化を続けていくかどうかは、仮説の上の仮説の連続となります。
 このように、仮定の上に仮定を積み重ねていくことになります。探査機がその惑星に近づかないと、生命の存在は、なかなか検証できそうもありません。
 ところが、地球外文明を探すことは、比較的容易で検証可能です。ここでいう地球外文明とは、科学技術が発達しており、電波を用いているものです。電波であれば、文明から遠く離れた遠隔地からも受信できます。もし受信できれば、その信号の意味や中身が分からなくても、文明の存在を知ることになります。文明の背景の知的生命は、生命や水の探査を一気に飛び越していますが、生命の存在の十分条件を満たしています。
 このような技術の痕跡は、技術痕跡(technosignature)と呼ばれ、その担い手を技術的知性(Technological Intelligence、TI)、あるいは地球外知性(Extra Terrestrial Intelligence、ETI)と呼びます。
 TIの検出に関してベイズ統計を用いた、不思議な論文が報告されました。次回から紹介していきましょう。


Letter■ 野外調査・集中すること 

・野外調査・
7月上旬でサバティカルにて予定していた
前半の野外調査を終えました。
前半には、野外調査を6回予定していたのですが
そのうち1回は家内に体調不良が起こり
その看護で中止になりました。
中止した地域は、
後半の調査地の予定を変更することで
対処することにしました。
プライベートでの京都への帰省も
前半に2回、後半に1回予定していたのですが、
前半の1回をキャンセルしました。
何事も予定通りには進みませんが、
可能な限り予定消化を目指して
進めていきたいと考えています。
野外調査に専念できるのは
最後のチャンスと考えています。

・集中すること・
サバティカルも折り返しが過ぎました。
あれもこれもと、欲張りながら
日々を過ごしています。
高齢のため、体力や身体は
無理がきかなくなっていますので
労りながら進めていくしかありません。
心身ともに余裕はもちながら
無駄を省いていくしかありません。
短時間で集中して進めていくことです。


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