地球と人と
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Essay■ 6_194 多様な系外惑星 5:特異な条件での海
Letter■ 諦めない人たち・嵐のあと
Words ■ 冬近し


(2022.11.17)
 近くの系外惑星でハビタブルゾーンがありそうなことが、シミュレーションでわかりました。特異な条件での特別な環境で出現しそうです。しかし、近いところにあることが重要です。


Essay■ 6_194 多様な系外惑星 5:特異な条件での海

 2021年12月5日、日本の点もが学会の雑誌に
TOI-2285b: A 1.7 Earth-radius planet near the habitable zone around a nearby M dwarf
(TOI-2285b:近隣のM矮星の周りのハビタブルゾーン付近で1.7地球半径の惑星)
という論文が報告されました。東京大学の福井さんらの共同研究となっています。
 このTOI-2285bと呼ばれる系外惑星は、太陽系から約138光年とかなり近いところにあります。半径は地球の1.74±0.08倍で、地球型惑星としてはぎりぎりの許容範囲内にあります。質量は19.5倍ほどで、海王星に近いサイズになります。公転周期も27日ほどになり、とても生命が誕生し住めそうもない惑星です。恒星からの距離は、太陽と地球の距離の1/7ほどしかなく、その位置はハビタブルゾーンの外になります。
 ところが、恒星の温度が3200℃と低いことから、恒星からの日射量が少なく、地球の1.54±0.14倍程度におさまります。恒星からのエネルギー照射は多くはありませんが、もし岩石惑星で薄い大気しかなければ、表層の海はすぐに蒸発してしまいします。
 なかなか厳しい条件の惑星です。ところが、福井さんらはシミュレーションによって、海王星のように氷とガスの惑星であれば、海が存在できる可能性を示しました。もし、核の外側に氷の層が存在し水素の大気があれば、氷の一部が溶けて、大気下の氷層の表面には、液体の海が存在できる可能性があることを示しました。
 かなり特異な条件での海の可能性なので、生命探査としては有望とはいえません。もっと近いハビタブルゾーンにも有望な天体も見つかっています。近ければ、性能のいい望遠鏡があれば、大気組成を調べることができます。しかし、生命探査には、ある程度の数の天体を調べなければなりません。多数の候補の系外惑星が必要です。
 液体も水が存在する条件や可能性を知っておくことが重要になるでしょう。比較的近いところで系外惑星の候補を、多数、ストックすれば、そんな中から、確実な海の存在が検証されるかもしれませんね。


Letter■ 諦めない人たち・嵐のあと 

・諦めない人たち・
否定的条件が出てくると
それ以上の探究をしなくなります。
否定的条件とは、
先入観に捕らわれているから
そう見えるのでしょう。
それでも諦めずに可能性を追求していくと
少しの僥倖に恵まれることもあります。
そんな僥倖は、先入観を排除した人にしか訪れません。
僥倖を逃さないのは、諦めなかった人たちでしょう。

・嵐のあと・
週末は北海道は激しい嵐になりました。
道内各地で、被害を受けたところがありました。
幸いにもわが町は、
風だけで雨はひどくありませんでした。
週末の夜の風だけですみました。
寒気が入ってきたので寒さは増しました。


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