地球と人と
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Essay■ 6_192 多様な系外惑星 3:連星系での系外惑星
Letter■ 科学の進歩・日常が戻る
Words ■ 日常の忙しさもいいのですが・・・


(2022.11.03)
 次に紹介するのは、連星系で直接撮影による系外惑星の発見です。それも質量の大きな恒星の周りでの発見でした。今回の報告では、直接撮影なので確実に存在が証明されました。


Essay■ 6_192 多様な系外惑星 3:連星系での系外惑星

 ガイドス(Gaidos)らの報告では、惑星の特異性が重要でした。その惑星を接撮影されました。最近、直接撮影による報告はいくつも出されています。
 ガイドスらの論文では、地球から420光年ほどの位置でした。今回紹介するジャンソン(Janson, M)らの報告では、325光年のところで発見しました。ケンタウルス座b星は、連星となっています。連星とは恒星がお互いの周りを巡っている状態のものです。連星系で系外惑星(ケンタウルス座b星b)を、直接撮影しました。直接撮影されるということは、確実に存在するという証拠となります。
 2021年のNature誌に掲載された論文のタイトルは、
A wide-orbit giant planet in the high-mass b Centauri binary system
(連星系での質量の大きなケンタウルス座bでの広い軌道の巨大惑星)
というものでした。
 連星系での発見であること、質量が木星の約10.9倍もあること、主星から約550AU(天文単位)という非常に離れた軌道(太陽ー木星の距離の100倍のところ)を公転しているます。系外惑星として、かなり大きな質量をもった天体で、軌道も最も遠くにあるという特徴を持っています。
 もっとも特異なのは、連星全体としては太陽の6〜10倍ほどの質量があり、表面温度が高い、重い方の恒星(B型星と呼ばれています)での発見でした。太陽の3倍以上の質量をもっている重い恒星の周りで、系外惑星が見つかったのは、はじめてのことでした。大きな恒星の周りでは、惑星を形成するのが困難だと考えられていました。なぜなら、これまでのモデルでは、質量の大きな恒星では、温度も高く激しい放射をするため、周囲のガスが短時間で蒸発されてしまうため、惑星を形成するのが困難だからです。
 このような環境で惑星が発見されたので、その形成として、別のところで形成された惑星が重力による相互作用によって移動させられた可能性、または周囲のガス円盤が自身の質量でつぶれることで、重力の不安定が起こり、短期間で惑星を形成できるようなメカニズムが働いた可能性、などが指摘されています。連星系という特殊な環境では、これくらい遠くでないと惑星は生き残れないのかもしれません。
 形成モデルに関しては、今後も検討が必要ですが、比較的近いところなので、より高性能の望遠鏡で観測すれば、詳細がわかれば新たな可能性がるのではと、期待されています。


Letter■ 科学の進歩・日常が戻る 

・科学の進歩・
系外惑星で多様なものが見つかっています。
その多様性に驚かされます。
これまで太陽系で構築されてきた惑星形成モデルが
太陽系の説明には使えなくなってきました。
多様な惑星系には、これまでのモデルで
大幅な修正が必要になってきたことを意味します。
修正でどこまでやっていけるのでしょうか。
それとも全く新しいモデルを
考える必要があるのでしょうか。
特徴のある惑星ごとに、
固有のモデルの調整が必要になるのでしょうか。
このような多様性の発見と説明の努力は、
きっと科学の進歩に貢献できるはずです。

・日常が戻る・
昨日まで校務出張をしていました。
ですから、このエッセイは出かける前に
事前予約して発行しています。
11月はいろいろと校務や出張が重なっています。
落ち着かない日々が続きます。
講義や校務、出張などが、
通常通りにこなせるようになってきたためしょう。
日常が戻ってきた証なのかもしれませんね。


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