地球と人と
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Essay■ 6_189 地球外生命 7:系外惑星からの電波検出
Letter■ 経過区域・野外調
Words ■ オリンピックよりコロナ対策では


(2021.07.01)
 うしかい座タウ星の系外惑星から、電波の放射が観測されました。人工的なものではないのですが、電波の放出のメカニズムが、解明されていくことになるでしょう。将来、地球外文明の検出の手段の確立にもなりそうです。


Essay■ 6_189 地球外生命 7:系外惑星からの電波検出

 電波放射を観測したという報告がありました。その論文は、Astronomy & Astrophysicsに掲載されたもので、
The search for radio emission from the exoplanetary systems 55 Cancri, υ Andromedae, and τ Boötis using LOFAR beam-formed observations
(LOFARビーム観察を用いたかに座55番星、アンドロメダ座ウプシロン星、そしてうしかい座タウ星の系外惑星系を電波放射の探索)
というタイトルでした。ニュースは2020年ですが、発表は2021年のことでした。
 このタイトルをみると、LOFARという装置を使ったということ、またうしかい座タウ星以外の天体も調べていることがわかります。
 LOFAR(LOw Frequency ARray)とは、多数の電波望遠鏡をひとつの巨大な電波望遠鏡とみなし、250MHzよりも低い周波数の電波を観測する方法です。口径が大きくなると観測の分解能が上がり、また一度に複数の方向を観測することも可能になります。
 近くの天体を、感度のよい電波望遠鏡で観測すると、非常に微弱な変化も捉えることができます。複数の位置で測定しますので、電波を重ね合わせると、干渉し合うことになりますが、周辺と天体の方向に干渉に違い生じます。その干渉の振幅と位相には、天体の位置や明るさなどの情報が含まれています。それを解析することで、天体のその波長による特徴を調べることができます。
 研究チームは、この観測方法で電波放射を検出できるかどうかを検証するために、予察として木星で事前観測をおこなっています。木星が系外惑星だとしたら、どのような電波放射になるかシミュレーションをしておき、実際の観測をして観測と比べています。その結果が、予測どおりとなり、うまくいくことを示しています(2019年1月29日)。このような準備のもと、観測がおこなわれました。
 かに座55番星、アンドロメダ座ウプシロン星、うしかい座タウ星の2つの天体で、約100時間にわたり観察がされました。その結果、うしかい座タウ星の惑星から、14〜21MHzでの電波放射が検出されていることがわかり、報告になりました。
 系外惑星からの電波放射としては、はじめての観測となります。ただし、今回の観測の電波は弱く、本当にうしかい座タウ星bから放射されたかどうかも、確かではありません。研究チームはさらに観測を継続するようです。
 もしこの電波放射が事実だったとしても、天体からの電波の放射は自然現象でも起こります。事前観測で木星の電波を利用していますので、惑星から自然現象で、電波放射が起こっています。系外惑星の電波放射が発見されたら、この放射を起こした現象があったことになります。磁場が大きな要因になります。もしうしかい座タウ星bに磁場があるとすると、内部構造が推定され、大気の散逸メカニズムもわかるようになってくると考えられます。
 将来は、系外惑星での居住可能性、あるいは文明の有無をなどまで、観測できるかもしれませんね。少々、夢物語かもしれませんが。


Letter■ 経過区域・野外調査 

・経過区域・
7月になりました。
北海道は、自宅も大学のある地区も
緊急事態宣言が解除されました。
ただし、経過区域となっているので、
感染防止対策をしながらの対応です。
それを受けて、大学も今週まで危機管理レベルが
以前のまま維持されることになりました。
講義も遠隔授業が継続されています。
来週からは、どうなるか未定ですが、
もし危機管理レベルが下がれば
一部、対面授業ができるかもしれません。
そうなればいいのですが、どうなるのでしょうか。

・野外調査・
来週もし大学の危機管理レベルが下ると
感染対策をしながらですが、研究出張も可能になります。
そうなれば、野外調査に出かけようと準備しています。
緊急事態宣言の発出前に予定していた調査が
中止になったので、同じコースで準備しています。
出かけるとしたら、再来週になります。
その時期は、夏休みに入りそうなので、
人出が多くなりそうです。
野外調査もどうなるか不明ですが、期待しています。


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