地球と人と
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Essay■ 6_187 地球外生命 5:電波望遠鏡
Letter■ 検証中かも・晴天の霹靂
Words ■ 北海道も暑い日が訪れています


(2021.06.17)
 ホスフィンの発見は、大きな衝撃がありました。可能性としてですが、金星に生命の存在を示唆しているからです。生物起源ではなくても、新しい化学合成の過程が発見されることになるはずです。


Essay■ 6_187 地球外生命 5:電波望遠鏡

 金星の大気中のホスフィンは、どうして形成されているのかは、まだ不明です。現在知られているホスフィンの合成過程は、地球の生物が関与する合成と巨大ガス惑星での高温高圧条件だけです。
 ホスフィンを合成できる巨大ガス惑星の高温高圧の条件は、金星大気にはありません。考えられる可能性としては、生物起源と未知の過程です。いずれも検証が、今のところは困難ですが。
 未知の化学反応ですが、金星の大気の条件でも合成できる過程があるかもしれません。ただし、金星の大気の特性としては、強酸性の雲があることが知られています。そのような酸性の条件が発生すると、ホスフィンはすぐに分解されてしまいます。そのため金星の大気環境を考えると、ホスフィンが常に供給されなければなりません。合成過程では常に供給されていることが束縛条件となります。
 継続的にホスフィンが形成される条件を考えると、まだ発見されていないのですが、金星には生物が存在しているという可能性もあります。地球と同じように、生物の有機物が分解されることによって、ホスフィンが合成されている可能性です。生物がいれば、常に有機物は形成され、ホスフィンが合成される可能性があります。この可能性では、現在の金星にも生物がいて、それも大量に生息しているかもしれません。今後の、探査機で検証できるかもしれません。
 しかし、そもそもホスフィンの存在は、昔の探査データを解析しなおしたものです。他の証拠はないのでしょうか。
 2017年、ハワイのジェームス・クラーク・マクスウェル電波望遠鏡で金星のガスを調べました。するとホスフィンが検出されていました。つまり、今回紹介した報告以前に、ホスフィンの存在が知られていました。
 2019年にも、チリのアルマ望遠鏡では、電波を使って精度の良い観測がされています。この観測は、金星の赤道付近の高度52〜60kmに絞り込んで調べています。ホスフィンが、20ppbの濃度で検出されています。この濃度は、地球で観測されているホスフィンの1000倍もの量になっています。
 ただし、これらの観測データの解釈として、二酸化硫黄の可能性もあるそうなので、検討が必要となっていました。そんな論争中の状態のところに、今回の報告があったのです。探査機のプローブの直接観測のデータという、まったく独立した方法での解析結果が示されたことになります。金星大気中にホスフィンが存在するというデータには、信頼できそうです。
 ホスフィンの存在が確実なら、次なる課題はどうして形成されたのかです。上で述べた2つの可能性を、今後、検討していく必要がありますね。


Letter■ 検証中かも・晴天の霹靂 

・検証中かも・
地球外生命、それも太陽系内での証拠が提示されました。
もし、この検証作業が進めば、金星での生命の有無が判明し、
生命がないと判明すれば、
未知のホスフィンの生成過程がわかることになります。
金星の探査機がいくつかあり、今後も予定されているので
そのうち検証されるかもしれませんね。

・晴天の霹靂・
先日、将来の人生設計と研究計画に
大きな変更が起こりそうな条件が提示されました。
無視すれば、関係のない条件となります。
もし、対処すれば大きな変更が起こります。
晴天の霹靂でしょうか。
人生における条件変化は、
好んで受け入れることにしています。
環境変化が、日常に刺激を与え、
ステップアップを図ろうと考えるからです。
現在、条件を受け入れるかどうかを検討中です。
そのために、いろいろリサーチしていく必要があります。
今週中に決断し、申請手続きを進めていくことになります。
まあ、申請後、審査がありますので、
認可されるかどうかは、まだ不明ですが。


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