地球と人と
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Essay■ 6_186 地球外生命 4:ホスフィン
Letter■ 春の嵐・オリンピック
Words ■ 初夏の気候になってきました


(2021.06.10)
 地球外生命のシリーズですが、太陽系内の惑星に話題が移ります。火星では何度か生命の痕跡に関して議論になったことがありました。今回は、生命の可能性を考えてこなかった惑星、金星での話しです。


Essay■ 6_186 地球外生命 4:ホスフィン

 地球外生命のいそうな天体として、太陽系で真っ先に候補にされたのは、火星でした。火星は大気が薄いので、表面地形が見えることも、有利に働いたようです。金星は、厚い雲に覆われていて、表層の様子は全くわっていませんでした。探査が進むにつれて、金星の実態がわかってきました。
 旧ソ連のヴェネラ計画で、いくつかの探査機が送り込まれ、金星の様子が少しずつわかってきました。金星の表層は、過酷な環境でした。NASAのパイオニア・ヴィーナス計画では、軌道に入って長期に渡って観測を続けました。さらに、4つのプローブ(小さな探査装置)を下ろしました。NASAの探査機マゼランは、雲を通すレーダーで金星の表層をマッピングして、正確な地形図を作成しました。ESAのビーナス・エクスプレスは、大気の観測をして、激しい運動が起こっていることがわかってきました。日本のJAXAの金星探査機あかつきは、予定していた軌道への投入は失敗しましたが、再度の金星への軌道投入に成功し、観測を続けています。
 今回、以前のおこなわれたNASAのパイオニア・ヴィーナスのプローブに搭載されていた装置(中性ガス質量分析器)の観測データを、現在の技術で再度検討されました。その検討から、いくつかの化学成分の存在の可能性が報告されました。大気の中層には、ホスフィン、硫化水素、亜硝酸、硝酸、シアン化水素、一酸化炭素、エタンの兆候があることを検出したと報告しています。
 現在、ホスフィンに注目されています。ホスフィン(phosphine)は、分子式がPH3で表され、常温では可燃性の気体で、酸素と反応して自然発火します。吸いこむと意識不明になり死んでしまうような毒性があります。ホスフィンが金星の大気から見つかりました。
 ホスフィンは、木星の大気からも発見されています。木星のような巨大ガス惑星の大気中では、激しい乱気流があり高温になるところで合成されています。そこでは、リン酸塩を強力に還元することで、ホスフィンができます。ホスフィンの形成には、巨大ガス惑星の対流嵐のような高温高圧の条件を必要としています。
 地球でも、ホスフィンが発見されています。もちろん、地球のような薄く穏やかな大気からは、生成されることはありません。地球ではホスフィンは生命体から生成されていると考えられています。
 このホスフィンが、金星の大気から発見されました。金星の大気中には、リン酸塩を還元するような強力な還元を起こす物質は見つかっていません。もし、このホスフィンが、本当に金星大気中に存在するなら、どうしてできたのでしょうか。その仮説は、次回としましょう。


Letter■ 春の嵐・オリンピック 

・春の嵐・
3日の夜から、4日の昼間で嵐でした。
3日の夜は家が、ガタガタと揺れて恐ろしかったです。
北海道では、まるで台風のようにでした。
最初は、風の嵐、その後雨の嵐となりました。
街路樹た倒れたり、木々の枝が多数落ちたり、
畑の植物も倒れたりと、かなり被害もありました。
5日の朝は、台風一過のような快晴となりました。
春なのに、こんな嵐は珍しいですね。

・オリンピック・
6月20日まで緊急事態宣言中ですが、
その後はおさまるのでしょうか。
そんな中、オリンピックの準備だけは
着々と進められています。
世論は、中止の意見が多数なのですが、
政府、IOCは、既成事実を作りながら、
世論を無視し決行していくようです。
一部の国だけで、ワクチ摂取は進んでいますが、
多くの国では、ワクチンは行き渡らず
まだパンデミックが続いています。
そんなときに、オリンピックをおこなって、
世界中の国々から選手が集まれるのでしょうか。
もし出場しても選手らは、楽しめるのでしょうか。
選手の気持ちは、どうなのでしょうか。
オリンピックが、政治や商業の道具に
されているように見えて仕方がありません。


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