地球と人と
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Essay■ 6_180 千葉の新鉱物 1:新鉱物の承認
Letter■ 地震・春を待つ
Words ■ コロナと地震はつらいですが、がんばってください


(2021.02.18)
 千葉から、2020年12月に新鉱物「房総石」が発見されました。これまで、千葉はあまり新鉱物は見つかっていなかったのですが、2011年の「千葉石」に続いて2つ目となりました。


Essay■ 6_180 千葉の新鉱物 1:新鉱物の承認

 千葉から新鉱物が発見されました。2020年12月に、房総石(ぼうそうせき Bosoite ボソイトと発音)と命名されました。千葉では、2011年に千葉石(ちばせき chibaite)という鉱物が見つかっていて、それに続いての新鉱物の発見でした。
 新鉱物の説明の前に、新鉱物とは、どのように認定されるのかを、見ていきましょう。
 これまでに知られていない鉱物であることを示すために、記載データを揃える必要があります。しかし、記載データが揃っただけではだめで、その鉱物が新鉱物と承認されるためには、日本の学会の新鉱物に関する委員会(新鉱物・命名・分類委員会)で承認を受けてから、国際的な新鉱物に関する委員会(国際鉱物学連合(IMA)の新鉱物・命名・分類委員会)に申請書を提出して、審議を経た後、承認を受けるという2段階になっています。最後のIMAの委員会では、記載データだけでなく、国代表の委員の投票による審議となります。なぜ、投票をするのでしょうか。科学的事項なのに、投票による決定というのは、少々奇異な気がします。
 それは、新鉱物の記載データには、定量値が含まれているのですが、その定量値が既存の鉱物と微妙な違いしかない場合や、技術的に厳密に決定できない場合などがあるためです。
 例えば、今回の房総石の化学組成は、SiO2の含有量が86.38重量%(wt%と書きます)ですが、測定された範囲は、85.10〜87.36wt%の範囲があります。同様に、Al2O3は1.63wt%(1.14〜1.96wt%)、Na2Oは0.34(0.32〜0.37wt%)、そしてCH4は11.65wt%で、合計が100wt%となっています。ただし、メタンは直接測定できないので、他の測定できる成分を決めてから、足りない量をメタンとみなして組成を決定しています。技術的な限界があることなので、この方法で推定することは、学術方法として認められています。
 房総石の構造式は、Na0.01 (Si0.98 Al0.02)1 O2 0.5O・CH4となっています。本来は、元素の比率は、元素の右下に小文字(下付き文字)で表記されます。この鉱物の一単位の結晶の元素の比率は、Na(ナトリウム)が0.01、Si(ケイ素)が0.98、Al(アルミニウム)が0.02で、SiとAlを合わせて1.00となり、O(酸素)が2、CH4(メタン)が0.5、という比率になっています。ただし、その元素の比率は、測定できない元素でもあるO(酸素)を2として計算した値としています。
 このような化学組成から、鉱物の結晶を構成している元素の比率(鉱物構造式と呼ばれます)が推定されます。元素を実測した数値には幅があり、理想的な構造式にも不正確さができます。
 このような不確かさがあるため、新鉱物としていいかどうかが、採決で決められることになっています。


Letter■ 地震・春を待つ 

・地震・
2月13日23時ころ大きな地震がありました。
私は、すでに寝ていたのですが、
揺れには気づき目が覚めめました。
私の地域では震度が3程度で
あまり大きな揺れではありませんでした。
気象庁の2011年の3.11の余震とのことです。
この地震による津波はなかったのですが、
被害が大きいようなので心配です。
今のとこと、数名の東北在住の友人には
被害はないとのことです。

・春を待つ・
北海道は、急激に暖かい日がきて、
一気に雪解けが進みました。
この時期は、春と冬がせめぎ合いをはじめるときです。
北国の人間には、春の待ち遠しさもあるのですが、
ベチョベチョの雪解けの状態の大変さが気になります。
ですから、春は待ち遠しいのですが、
嫌な季節の到来でもあります。
また16日から荒れて雪なりそうです。
(なおこのメールは2/15に配信しています)


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