地球と人と
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Essay■ 6_173 宇宙の元素 5:新たなモデルの必要性
Letter■ 定期試験・排雪作業
Words ■ 雪が少ないのは助かりますが


(2020.01.30)
 宇宙の初期に重い元素ができ、銀河全体に広がっていることがわかりました。この現象は、これまでのモデルでは説明できないものでした。そのためには、いくつかの条件をクリアしなければなりません。それは今後の課題ですね。


Essay■ 6_173 宇宙の元素 5:新たなモデルの必要性

 宇宙が創生されて8億年で、ヘリウムより重い元素である炭素ガスが、銀河全体に広がっていることが今回の論文の重要な点でした。複数の銀河(18個)の銀河で同じようなことが確認されているので、藤本さんたちはこれを宇宙の環境汚染と呼びました。ここでは、炭素の拡散と呼びましょう。
 前回紹介したように、短時間で重い元素が広がるには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
 重い元素は、恒星の内部や超新星を起こしたとき(星が死ぬ時)に形成されます。恒星の形成から死(超新星爆発)までの一生を8億年以内で終わらせる必要があります。これは今までにない短い時間です。また、できた元素が超新星爆発で、銀河全体に広がってかなければなりません。ひとつの星からの元素では、銀河全体に広がる必要があります。
 銀河が、いつ、どのようにできたのかは、まだ詳しくわかっていません。できたての銀河の中で、至るところで巨大な星が、短時間で一生を終え重い元素をばらまき、その元素が銀河全体に行き渡らさせなければなりません。このような条件をクリアなければなりません。
 さらに、多くの銀河で同じような時期に、同様の炭素の拡散が見つかっていることから、同じメカニズムが、宇宙誕生時、さらに銀河誕生時に起こったことになります。
 このような条件は、宇宙のはじまりや、銀河の誕生について、今まで考えられていないことでした。今後、重い元素の急速な形成、拡散のために新たなモデルを考えなければならなくなりました。
 共同研究者のメンバーで欧州南天天文台のアイビソン(Ivison)さんは、インタビューで、次のようなアイディアを出されています。
 その巨大ブラックホールが、重い元素の拡散に重要な役割を果たしたのではないかというアイディアを述べています。銀河の中心部に超巨大なブラックホールがあることは知られています。銀河中心の巨大なブラックホールのできたての頃、高速のガスや強力な光が吹き出し、その影響が銀河全体に及んだためではないかと考えました。ブラックホールの強力なガスや光が、各地で起こった超新星爆発でできた元素を、銀河全体に広く吹き飛ばしたのはないかということです。
 しかし、ここで示したのでは、まだアイディアの段階です。正式なモデルにする必要があります。モデルを提示するためには、証拠や検証が必要となります。新しいモデルでは、当たり前のことですが、今回の現象を説明するだけでなく、これまであったデータや証拠も説明できるものでなければなりません。それは、今後の課題ですので、期待していきましょう。


Letter■ 定期試験・排雪作業 

・定期試験・
大学はいよいよ後期の定期試験に突入しました。
私の担当の科目と補助監督もあたっています。
試験になると、授業が終わり一段落ですが、
これから、成績評価と大学入試関係の業務がはじまります。
細切れですが、いろいろな忙しさもでてきます。
しかし、授業が終わったので、一息つけます。

・排雪作業・
今年の北海道は非常に積雪が少ないです。
雪が多いときは、各家庭の除雪が
家の周りにいっぱいに積み上がります。
それは市の予算と自治会費で
1年に一回、排雪費用が計上されています。
雪が多いときは、多くの家庭が助かっています。
しかし、雪が少ないときも、
市の予算計上されているものは執行されています。
今年も、雪が少ないのです排雪作業がはじまりました。
次年度に回すことができれば、
積雪が大きときは、2度排雪することにできればいいのですが。
お役所の予算はそうもいかないのでしょうね。


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