地球と人と
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Essay■ 6_170 宇宙の元素 2:宇宙背景放射
Letter■ 独立した方法・筋肉痛が・のんびりと
Words ■ 無理はせず、しかし倦(う)まず弛(たゆ)まず


(2020.01.09)
 宇宙の年齢の求め方には、いくつかの方法があります。もしそれぞれの方法がまったく関係しない方法で求められ、それが一致すれば、その値の信頼性が上がります。もうひとつの年齢を求める方法を見ていきましょう。


Essay■ 6_170 宇宙の元素 2:宇宙背景放射

 前回はハッブル定数から宇宙の年齢を求める方法を紹介しました。小松英一郎さんたちは、2008年に、当時、最も精度のいい観測データに基づいて計算したハッブル定数は 70.5±1.3 km/s/Mpcで、ハッブル時間は138.7 ± 2.6億年となると算出しました。これが、ハッブル定数から求めた宇宙の年齢でした。
 次は、宇宙の背景放射で求める方法についてみていきます。
 宇宙背景放射とは、アメリカのペンジャスとウィルソンが1965年に発見したものです。電波を観測するつもりでつくったアンテナが、宇宙のあらゆる方向から、背景のようにやってくるノイズ(マイクロ波の雑音)を捉えました。そのときのノイズのスペクトルのパターンが、絶対温度3℃(-270℃)のときの放射(黒体放射)に一致していました。
 この放射は、もともと宇宙が高密度高温の時、つまりビックバンの時の状態の時、もっていた熱が放射して、宇宙を満たしていました。宇宙が膨張すると、宇宙はその外はないので、外とのエネルギーのやり取りはありません。ですから、宇宙の膨張とともに、温度が下がっていきます。その結果、観測された温度まで下がったと考えられます。
 高温のときのスペクトルが、現在も宇宙を飛び交っていることになります。この状態の時を、「宇宙の晴れ上がり」と呼んでいます。
 その後、この宇宙背景放射を正確に観測するために、1989年、宇宙背景放射観測衛星COBEを打ち上げました。その結果、宇宙背景放射に10万分1のゆらぎ、ムラがあることわかりました。
 2001年、さらに精度を上げるためにウィルキンソン・マイクロ波異方性探査機WMAPが打ち上げられました。その結果、背景放射のムラを高精度で測定して、宇宙には100万分1のゆらぎはあるが、非常に平坦であること、宇宙のエネルギー構成が定まり、宇宙の年齢が137±2億年であることもわかりました。
 もうひとつ、宇宙の年齢を推定する方法があります。これは、宇宙の晴れ上がりの時のゆらぎとも関係しています。それは宇宙誕生のモデルから推定するものです。それは、次回としましょう。


Letter■ 独立した方法・筋肉痛が・のんびりと 

・独立した方法・
ここで述べた宇宙の年齢の求め方でみてきたように、
まったく別の方法で求めることを
「独立した方法」といいます。
それらが一致すれば、それは有力な根拠となります。
ただし、それぞれの方法で求め方や観測方法、
根拠データが異なるため、精度も異なります。
それぞれの精度の比較はできませんが、
値の信頼については、高いものとなっていきます。
独立した方法で、38億年になるのは、
宇宙の年齢として、信頼性が高いものです。

・筋肉痛が・
北海道の正月は、穏やかにはじまりました。
私は、31日まで研究室にいき、
3日から通常通りに仕事をはじめました。
学生には「大学に住んでいるのですか」、
と聞かれませんした。
住んでいるわけではないのですが、
「まあ半分住んでいるようなものだ」と答えました。
大学は6日まで全館休館で、暖房も最小になっているので
研究室が寒くて仕方がありません。
そのためでしょうか、4日には腰痛に似た筋肉痛がでてきました。
まあ、無理はしないようにして、
寒さは避けて、6日は自宅で少し仕事をして療養しました。

・のんびりと・
今年は、子どもたちがいないので、
のんびりとした正月になりました。
お雑煮も2日間だけのあっさりしたものでした。
夫婦だけなので、最小限にしました。
元旦は、私が福袋で買い物を、家内はスイートを。
2日は温泉にいきました。
3日はもう通常通りになりました。
これからもこんな正月になるでしょうね。


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