地球と人と
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Essay■ 6_163 月の探査 4:活断層
Letter■ YOSAKOIソーラン・調査
Words ■ 予約送信をしています


(2019.06.13)
 中国が月に、次々と探査機を送っていることは、これまで紹介してきました。今回は、月について、古くて新しい話題を紹介します。50年も前のデータを解析し直したら、最近の活動が見えてきたというものです。


Essay■ 6_163 月の探査 4:活断層

 月の探査は、なんといってもアポロ計画の成果が大きなものでした。アポロ計画で人類が最初に月に降り立ったのは、今年の7月でちょうど50年になります。4回の有人の月面着陸で、多くの成果をあげたのは紹介するまでもないでしょう。その時に、着陸船の近くに地震計(月震計とよばれます)も置かれていました。それぞれの着陸船でひとつずつ4個の月震計が観測をしていました。これらの月震計は、8年間稼働して、月震を多数記録しました。また、アポロの不要な部品を月に衝突させ、人工月震を起こして、観測もなされました。
 当時に月震は数千回も記録され、データの解析もされてきました。その多くは、母星となる地球の引力による、月への潮汐力によるものだと考えられていました。大気のない月では、昼夜の温度差が260度以上になるため、その変化によって岩石が割れることでも、月震が起こることもあると考えられていました。それらの多くは地殻の浅いところでの地震が大半でした。
 ところが、当時も数kmの地殻内で起こる地震が、28回ほど起こっていたことが知られていました。これらは、非常にエネルギーの大きな地震でした。地球ではマグニチュード5.5に匹敵するエネルギーとなります。これらの地震がなぜ起こっているのか、その原因は不明でした。ただし、月震計は4台しかなく、その観測範囲も160km程度なので、精度があまり良くありませんでした。
 スミソニアン研究所のWatters氏らの研究グループは、昔のデータを再度分析し直し、2019年5月13日の「Nature Geoscience」にその結果を報告しました。最新のシミュレーションで検証もおこなっていました。その結果、月の28回の月震のうち、8回は月の断層崖の30km以内の近所で起こっていること、そのうち6回は、月が地球から一番離れた時に起きていることがわかってきました。2009年から観測していたNASAの月探査機ルナー・リコネサンス・オービターの画像で、多くの断層が見つかっていました。そこには、断層によってできた崖も見つかっていました。それらの断層が、周囲の地質状況から、最近できていると推定していました。最近とは5000万年以内の現象と考えました。
 月の断層が最近の活動の可能性があること、その周辺で月震が起こっていることから、月では、最近でも断層を形成する活動が起こっていると推定しました。手法は問題ないのですが、データがあまり精度が良くないで、今後は検証作業が必要となるでしょう。


Letter■ YOSAKOIソーラン・調査 

・YOSAKOIソーラン・
先週の5日から9日まで、
北海道はYOSAKOIソーラン祭りでした。
私は、週末から月曜日まで調査にでていました。
ですから、YOSAKOIの様子は知りません。
自宅にいても、YOSAKOIは、
いつもテレビで見るだけですが。
でも学科やゼミや学生が大学のチームに参加しているので、
気にはしているます。
今は、野外調査で頭が一杯です。

・調査・
このエッセイも、毎回のことですが、
週末に調査に出るので、事前に予約配信をしています。
本来であれば、調査を終え帰ってきて
送信してもいいのですが、
やるべきことがあると、落ち着かないので、
できることは早めに済ませてしまいます。
そういう性質なので仕方がありません。
YOSAKOIも調査も終わっているのですが
その様子は、まだ知りません。
調査様子は別の機会に紹介します。


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