地球と人と
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Essay■ 6_162 月の探査 3:嫦娥4号
Letter■ 汚染・道東調査
Words ■ 小学校では運動会のシーズンとなっています


(2019.06.06)
 中国の嫦娥4号は、多くの科学者がぜひ調べたい思えるような地に、着陸しました。探査車も動き出して調査をはじめました。期待通りの成果を挙げつつ、また思わぬ成果も挙げています。


Essay■ 6_162 月の探査 3:嫦娥4号

 中国の月探査機、嫦娥4号は、月の裏側、つまり地球から見えない側へ2019年1月3日に着陸しました。また、玉兎(ぎょくと)2号と呼ばれる月面探査車も搭載されており、活動をはじめているようです。
 嫦娥4号は、月の裏側の南半球の南極にあるエイトケン盆地に着陸しました。この盆地は、横幅500km、あるいはそれ以上あるともされる月で最も大きく、そして最も古いもの盆地と考えられているところです。この盆地は、巨大な隕石の衝突によってできたものだと考えられています。その盆地の中にある直径180kmのクレータ(フォン・カルマン・クレーター)に着陸しました。
 嫦娥4号には、植物や種、ハエの卵、イースト菌などをもっていきました。植物の種は、綿花ものですが、発芽に成功したようです。月面での生物の栽培ははじめてのことでした。今後、生物や生態系を維持するためには、環境を整えていく必要があるでしょうが、大きな成果といえます。
 エイトケン盆地は、実は多くの研究者が目を付けていた地点だったのです。激しい隕石の衝突があり、地殻を突き破りマントルまでむき出しになっている可能性がありました。産業技術総合研究所の中村良介さんと石原吉明さんは、日本の月探査衛星「かぐや」の観測したデータを用いて、低カルシウム輝石を多く含む(約20%以上)物質に着目して、月表面上での分布を調べまた結果を、2012年に報告しています。エイトケン盆地に多く分布していることがわかっていました。中国も周回軌道からの事前の観測データでも、この盆地の岩石が、月の高地の岩石とは異なっていることを確認していました。
 月面探査車の玉兎2号は、クレーター内を動き回り、衝突によるエジェクター(放出物)や構成岩石の鉱物を調べることになっていました。カメラで調査にふさわしい地点を探りながら、月中レーダー(深さ100mほど)で地下の構造も調べてました。玉兎2号はクレーター内を走り回りながら、岩石の分析をしました。その結果、低カルシウム輝石とカンラン石が多くあることを確認しました。
 カンラン石は地球でもマントルの主要構成鉱物です。また輝石のマントル構成鉱物ですが、カルシウムの少ない輝石は、鉱物ではピジョナイト、エンスタタイト、フェロシライトなどになります。これらの輝石は、衝突で地殻とマントルが部分溶融して、それが再度固まったときにできた鉱物だと考えれています。アポロ計画で採取された試料の中に、衝突溶融物の放出物もあり、それと一致していました。
 今回の玉兎2号は、低カルシウム輝石とカンラン石の存在を実際に確認したことになります。中国はマントル物質ではなかいと考えていますが、まだ確実ではありません。科学はすべて手順を追っていきます。はじめてのことも重要ですが、検証作業も非常に重要です。


Letter■ 汚染・道東調査 

・汚染・
スペースシャトルや国際宇宙ステーションなどの地球軌道上では、
生物を栽培や飼育はおこなってきました。
しかし、月面でははじめてのことになります。
アポロ計画で、人類はさまざまな足跡、痕跡を
月に残してきました。
他天体への検疫や地球生物による汚染などは
当初は考えませんでした。
宇宙飛行士からの地球の汚染は考えていましたが。
今では、天体の環境を考えるようになってきましたが、
月面着陸での探査は、しばらくなされていませんでした。
今後、中国が月面での探査を繰り返していくのであれば
また考えていくことも必要でしょうね。

・道東調査・
6月になりました。
北海道では、おだやかな初夏がスタートしています。
天気続きで降雨量が少ないので少々心配ですが。
今週末にまた道東へ調査にいきます。
そこには知床も含まれています。
北海道は、離島以外はかなりのところは訪れているのですが、
知床だけは私にとって未踏の地でした。
天気がよければいいのですが。
もしだめだったら、再度チャレンジなければなりません。


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