地球と人と
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Essay■ 6_134 重力波の観測 3:ノイズ対策
Letter■ 質問に答えて・それぞれの希望を
Words ■ そういえは今日はひな祭り。ところが我が家の子どもは男


(2016.03.03)
 重力波は繊細な観測です。精度を上げるためには、いかにノイズを抑えるかが問題となります。観測において、ノイズを抑え、シグナルの強くとらえるかは、重要な課題です。今回は質問に答えて、この内容について考えていきます。


Essay■ 6_134 重力波の観測 3:ノイズ対策

 ある人から、重力波の観測で、「地面の歪みなどのノイズをどうするのですか」という質問を受けました。その質問に答えながら、ノイズについて考えていきましょう。
 重力波は、弱い信号(シグナル)だと予測されているので、観測は非常に難しくなります。重力波を観測するためには、感度を上げなけれなりません。そのためには干渉計を長くしていくことにます。また、空間のゆがみを精度よく観測するためには、周辺から受けるノイズを抑える必要があります。観測装置が長くなればなるほど、ノイズの要因は大きくなります。両者は相反する要求となります。
 重力波による空間の変化は、直交した方向で、一方が伸びれば他方が縮む、という変動を繰り返していきます。その変動をとらえるには、レーザー干渉計を用いれば、長さの変化として検出できることが、1972年に提案されました。その論文によりますと、数kmの距離による干渉計を用いれば、検出できる精度になりそうだという見積りになりました。
 ただし、そのような重力波をとらえるためのレーザー光の波長(周波数)付近には、
・長い波長(低周波数)では地球の地面振動、
・中程度の波長(中周波数)では鏡の熱による振動
・短い波長(高周波数)ではレーザー光線の光の量子性の振動
などがノイズとしてあるとされています。これらのノイズを、いかに抑え、信号の方をいかに強くしていくかが、成功の鍵となります。
 似たような計算をして、実現可能であると考えた研究者によって、レーザー干渉計による観測装置が組み立てられました。観測装置も、最初は小型のものから、だんだん大型化していき、いろいろな工夫の末、最終的に今回の装置になりました。
 今回観測された装置は、4kmのトンネルをL字型に直交させて、その中をレーザー光が往復していきます。2005年から2010年にかけて観測がおこなわれたのですが、検出できませんでした。そのため、検出能力をさらに上げるために、装置に改良が加えられ、新しい装置にて2015年9月から観測が再開されました。
 アメリカのワシントン州のハンフォードとルイジアナ州のリヴィングストンという離れた二ヶ所に、同じ装置が2つ設置されています。同じ装置を2つも設置しているというのは、観測の機会を増やすこと、そしてなりより信頼を上げるとともに、ノイズ対策でもあったはずです。
 一方、日本でも重力波の観測装置が作成されています。日本では、地表付近のノイズを避けるために、神岡鉱山で干渉計を設置するという工夫がなされています。最初の観測は、先を越されましたが、他にもこの干渉計の使用目的はあります。


Letter■ 質問に答えて・それぞれの希望を 

・質問に答えて・
今回の重力波に関するエッセイは、
Sosさんから受けた質問メールに対する
返事メールをもとにして書いたものです。
今回の観測の精度については、
もともと述べるつもりでしたが、
予定していた内容とは少し違っていました。
次回どのような内容で書くのかは
前回のエッセイで概要は考えているのですが、
そんなの回もあってもいかと思います。
本来は、とらえた波の微細さついて
詳しく紹介するつもりでした。
今回は変更して、ノイズについて書きました。

・それぞれの希望を・
いよいよ3月です。
我が家の長男と次男共々、それぞれの卒業を迎えます。
次なる進路については、いろいろ心配もありますが、
相談しながら、本人が望む方向で
ベストの選択をするしかないでしょう。
いろいろ悩ましいことはあるのですが。
置かれた状況でベストの選択を考えるしかありません。
親としては、我が家の経済的対応が
可能な範囲であるかどうかは大きな制約条件ですが。
人生の先人としてのアドバイスをするのですが、
聞いてもらえるかどうかは、わかりません。
最終的には本人の希望優先ですから。


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