地球と人と
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Essay■ 6_130 新たな地平 5:衛星たち
Letter■ 遅い通信速度・暑い夏
Words ■ 暑さもお盆まで


(2015.08.20)
 ニューホライズンズは、7月14日夜に冥王星を通り過ぎました。今後も、観測やデータの解析が進められていくことになるはずです。ニューホライズンズの成果に加えて、明らかになりつつある冥王星の姿をまとめておきましょう。


Essay■ 6_130 新たな地平 5:衛星たち

 ニューホライズンズは、日本時間の7月14日夜、冥王星に最接近しました。本来であれば、冥王星が目的地なので、その軌道に入りべきでしょうが、そのためには燃料が必要です。そんな燃料を積みこむ余裕がありませんでした。そのため、冥王星でフライバイをして飛び去るコースをとりました。フライバイの最接近の時を中心に観測がおこなわれました。シリーズの最後に、これまで、わかったことをまとめておきましょう。
 冥王星は、小さい惑星ですが、薄いながらも大気があります。ただし、冥王星が太陽に近づいたときにだけ、大気が形成されるようです。冥王星が太陽から離れていくと、大気の成分は凝固して、薄くなっていきます。窒素、メタン、一酸化炭素などがその成分です。地表にある窒素や一酸化炭素の固体が、太陽に温められて気化したものが大気になると考えられています。
 冥王星には、特徴的な衛星があります。それは、一番大きな衛星のカロン(Charon、シャロンとも)です。1978年に発見されました。カロン(直径1208km)は、冥王星(2370km)の半分以上のサイズがあり、衛星と呼ぶには大きすぎます。また、両天体の共通の重心点を回転する動きをしているようなので、二重天体(連星)とも考えられれています。
 ニューホライズンズは、カロンの画像も鮮明に撮影しました。その画像には、南半球には、横に1000kmにも伸びた谷がありました。谷は、7kmから9kmほの非常に深いものだと考えられています。カロンも冥王星と同様にクレーターが少ないことがわかってきました。カロンには大気がなく、H2Oやアンモニアの氷の地表があるようです。画像には、北極付近に暗いところがみえますが、実態解明はこれからです。冥王星は岩石の核があると考えられていますが、カロンにはH2Oの氷と岩石が混じったものになっているようです。冥王星とは違った素材でのテクトニクスが起こってるのかもしれません。
 冥王星には、カロン以外にも衛星が、いくつか発見されています。2005年にはニクス(Nix)とヒドラ(Hydra)が、2011年にはケルベロス(Kerberos)が、2012年にはステュクス(Styx)が発見されました。
 ニューホライズンズが冥王星に最接近する少し前に、これらの4つの衛星が不思議な動きをするという報告が出されました。この報告は、ハッブル宇宙望遠鏡のデータを調べたものです。比較的に大きなニクスとヒドラは、細長い形をしているのですが、それの動きを観察していると、不規則な運動をしていることがわかってきました。カオス的な運動だと予想されています。
 衛星ヒドラは、43×33kmのいびつな形で、表面の明るさが一様ではないこともわかってきました。しかし、ニクス(10km?)、ケルベロス(13〜34kmか14〜40km)、ステュクス(10〜25km)のサイズも実態も、まだまだ不明です。
 ニューホライズンズが得たデータは、今後、解析が進められていくことでしょう。また、2015年8月までは冥王星とその衛星を観測することが予定されいます。今後の成果に期待したものです。
 今回の探査の成功で、太陽系最外部にある準惑星「冥王星」の姿が、鮮明になってきました。これで私たちの知識が、太陽系のより外側まで広がりました。


Letter■ 遅い通信速度・暑い夏 

・遅い通信速度・
ニューホライズンズが冥王星への最接近をした後
8月後半まで、観測を継続します。
観測データは8Gのメモリに記録されいます。
データの通信速度が800bps弱なので
数ヶ月かけて地球へ送ることになります。
すべてのデータの送信を完了するのは、
2016年4月後半になるそうです。
気の長い話ですが、
省エネルギーでの飛行や装置の作動をしているので
気長に待ちましょう。

・暑い夏・
お盆が過ぎると北海道も少しは涼しくなってきました。
今年の夏は長く、暑かったです。
私は、8月上旬の一番暑い時に京都へ里帰りしたので
少々へばってしまいました。
北海道以外の人には、まだ暑い日々が
続いていることだと思います。
小・中・高校の夏休みも、今週までです。
大学も今週から集中講義がはじまりました。
市民向けの連続講座もはじまります。
私は、今年は夏休みは、ほとんどとれませんでした。
しかし、講義がないときは気持ちが楽なので
こんな時にこそ研究が進められればいいとおもっています。
まあ、校務がいろいろ入ってきますので
なかなか進みませんね。


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