地球と人と
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Essay■ 6_88 異形の惑星系:ケプラー3
Letter■ 城川通信・原子力発電所
Words ■ がんばってください。世界中が無事を祈っています。


(2011.03.17)
(注)
  被災された方、お見舞い申し上げます。多くの方が今も、辛い思いや、寒い思いや、不便な思いをされていると想像します。日本中の人が、皆さんを見守り、無事を祈り、なにか自分にできることはないかと考えています。ですから、諦めることなく、頑張ってください。
  今回のエッセイで地震のことを書こうかと思いましたが、今だと、まだ不確か情報しかないのでやめました。専門家の報告をまってから、判断していくつもりです。私にできること、その中で私にだけしかできないことに専念していこうと考えました。その結果、淡々とメールマガジンを配信をすることにしました。今回も予定通り、連続中のエッセイを配信することにしました。


(以下メールマガジン本体)
  宇宙望遠鏡ケプラーのシリーズは2月17日を最後に、しばらく間があきました。その間にも新しい成果がありましたが、当初の予定通り、ケプラーの成果をみていきましょう。


Essay■ 6_88 異形の惑星系:ケプラー3

 宇宙望遠鏡ケプラーは、光を発する恒星の明るさの変化を捉えるトランジット法によって、惑星を検知します。この方法は、惑星の質量を正確に決めることができるメリットがあります。
  そのような観測の結果、2月2日の発表では、太陽と似た恒星(ケプラー11と呼ばれています)が発見され、その周囲には6つの惑星が巡っていることがわかりました。惑星の5つは、恒星の非常に近く(太陽系の水星より内側)を回っています。もうひとつは、やや遠く(太陽系の金星軌道付近)を巡っています。非常に混み合ったところで回っている惑星系だといえます。
  さらにそれらの惑星は、サイズが小さい(地球の2.0〜4.5倍)にもかかわらず、質量が小さい、つまり軽い惑星だとわかりました。つまり、ガス惑星だと考えられています。
  密度から考えると、内側の2個は厚い水蒸気の大気を持っている惑星(その外に水素とヘリウムの薄い大気がある)で、外側の4つは水素とヘリウムの厚い大気に覆われていると推定されます。
  ケプラー11のような惑星系は、私たちの太陽系から考えると、非常に不思議です。なぜなら、私たちの太陽系では、太陽風などによって惑星のガスは吹き飛ばされ、岩石惑星(薄い大気を持つこともある)が太陽の近いところを回っています。そして太陽から遠いろは、厚いガスをまとった巨大なガズ惑星となります。これが私たちの太陽系からの常識でした。今回の惑星系は、私たちの太陽系の常識が通じないことを示しています。
  いろいろな観察手段によって太陽系外惑星は、現在、500個以上が確認されています。その多くは、太陽系から想定できる一般的な惑星系とはかなり違ったものです。観測的条件により、母天体に近い大きい惑星が見つかりやすくなります。つまり、小さい惑星、太陽から遠い惑星は見つかりにくくなります。たとえ多数のデータがあったとしても、そこには偏りを含んでいる可能性があるので、そこから得られる惑星系像が、私たちの銀河の平均値とはいえないということを心得ておくべきでしょう。
  もちろん、得られたデータは重要です。そのデータが示していることは、私たちの太陽系が、決して一般的な当たり前の惑星系ではないということです。想像以上に惑星系の多様性はあるようです。


Letter■ 城川通信・原子力発電所 

・城川通信・
基本的に支所にいるときは、
毎日家族あてに、メールを送っています。
個人的なものなので全く公開していなかったのですが、
今回だけ、一部を掲載させていだきます。

城川通信 No.263 2011年3月15日号
(前略)
まだ地震の全貌がわからないので
落ち着かないところがあります。
教え子の家族、友人でまだ消息がつかめない人もいます。
もし被災されていたら、
4月から大学や仕事を続けられないかもしれません。
原発のトラブルもまだ続いています。
まだ災害は続いています。
ですから、個人も組織も、公の機関も人も
被災された人たち、地域のことを
最優先にすべきです。
ですから、そんなやり方に不満を感じても、
グチを口にしないほうがいいでしょう。
こんな大規模な災害を経験することは、
つらいことではありますが、
人間として国家として強くなるチャンスだと思います。
きっといい経験になります。
(後略)

・原子力発電所・
原子力発電所のトラブルが心配です。
本来なら、もう冷却していてもいいころなのに、
5日目(16日午後現在)になるのに、
まだ熱をもっているようです。
制御棒が完全におりていれば、
あとは冷めるだけですから、
こんなに長く高温であるのは、非常に心配です。
関係者が必死の努力をされています。
海外からも専門家の援助がありそうです。
なんとか沈静化することを祈っています。


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