地球と人と
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Essay■ 6_52 宇宙人8:私たちは孤独なのか
Letter■ 宇宙人シリーズ・8月の日程
Words ■ 忙しいは、逃げ口上にすぎない


(2006.07.20)
 さて、宇宙人をめぐるシリーズも、今回がいよいよ最終回となります。最後は、宇宙において、私たち人類が、孤独な存在なのかどうかを考えていきます。


■Essay 6_52 宇宙人8:私たちは孤独なのか 

 ETIの存在の確率を求めるドレイクの式にいろいろ数値を入れていくことを、前回紹介しました。そして、その値には、なかなか決められないものがあることも示しました。
 正確な存在確率は求めることができませんが、今回は、その値が得られたら、どのような意味を持つかを考えていきます。そして、ETIの存在確率は、どの程度なのかを推定していきましょう。
 もし、ETIの存在の確率Nが求められたら、ETI文明間の平均距離が求められます。銀河系を円盤とみなせば、円盤の面積をN個に分けます。するとETI文明一個が、どれくらい面積にあるかが推定できます。その平方根をもとめれば、平均的なETIの距離が見当つきます。文明間の平均距離をd、銀河の半径(10万光年:4.7×10^22m)をDとすると、
d=2・(πD^2/N)^1/2
となります。
 ETIとコンタクトが可能であるためには、dは、
L>d/c
でなければなりません。cは、電磁波の速度、つまり光速で、Lは文明の継続年です。Lの単位が年ですから、9.46×10^15m/年となります。
 ドレイクの式では、地球文明を区別していませんでした。したがって、Nの値の中には、地球がありますから、N≧1でなければなりません。もし、N≦1なら、SETIをする意味はありません。また、N≫1ならフェルミのパラドックスが問題となります。
 さて、どれくらいの値が期待できそうでしょうか。現状では、ETIが探査にかからないほど平均距離dが大きく、ETIの文明の継続期間Lはそれほど長くないと推定しざるえません。
 Lを80年という値を入れて計算してみると、N>7.9となります。N=8としたとき、d=6200光年という数値になります。Nが増えれば、この値は減ります。この6200光年という値は非常に微妙なものです。6000年ほど待たないと彼らの電波が届かないということです。ETIはいるのですが、私たちとコンタクトがとれるほど近くにはいないということです。つまり、私たちの隣人は遠くてまばらなために、実質的には、銀河では私たちは孤独な存在だといえます。それは他のETIについても同じことがいえます。
 いろいろな時代にETIが存在した可能性があります。また隣のETIが離れているとしても、もちろん確率的な議論ですから、明日、ETIからのメッセージを乗せた電波が届くかもしれません。でも確率が示すところは、銀河系で、私たちがは孤独な存在であるということです。
 人類の文明は、惑星上で利用できるエネルギーを使用するタイプのI型です。II型やIII型文明への発展は、長い時間がかかるので、宇宙文明論の一般論から考えると難しいということになるのかもしれません。
 これは、人類の未来にとって、非常に悲観的な未来となります。なぜなら、文明が長続きし、宇宙への進出をするような知的生命はいないという一般則になるからです。
 しかし、もしそのような不幸な未来を予測できたのであれば、それを回避する努力はできるはずです。少なくとも、米ソの冷戦時代の全面核戦争は回避できたという実績が人類はあります。そのような未来にならないために、人類は、もっと智恵をつけ、文明が長期にわたって継続できるようにしてかなければなりません。
 ETIの思考は、どこまでいっても、人類自身へともどってくるようです。

Letter 宇宙人シリーズ・8月の日程 

・宇宙人シリーズ・
宇宙人シリーズは、8回という長いものになりました。
私もここまで長くなるとは、書き始めるまでは予想できませんでした。
しかし、書き始めるとついつい書きたいことが出てきました。
エッセイの最後に書きましたが、
その思考は、どうしても人類自身に思いが巡っていきます。
不思議なことです。
人類以外の知的生命であるETIについて考えていたのに、
最後には人類にもどることになります。
もしかするとETIという想定自体が、
もうひとつの人類を考えているのかもしれません。
ETIをめぐる思索の旅は、今回で終わりですが、
また新しい考えが生まれたら紹介します。

・8月の日程・
次男の水疱瘡も連休でやっと治り、
火曜日から幼稚園に通うようになりました。
これで一安心です。
でも、私のアポイ岳の野外調査は流れました。
天候も不順でしたから、よしとしましょう。
8月2日から4日に日程を変更して再挑戦することにしました。
急遽ですが、春に調査できなかった登別の調査が、その翌週に入りました。
いちばん忙しい時期ですが、家庭サービスを兼ねています。
私も気分転換になります。
地質屋としては、夏となる外に出たくてうずうずします。
野外調査をしたいのですが、
どうしても8月中は日程が一杯はいっていて、非常に忙しくなります。
北海道では小中高校の夏休みは短く、8月20日までです。
すると、8月には大学へのリクルートして高校めぐりをします。
北海道は広いので、宿泊していかなければなりません。
私の担当は、浦河、根室、岩見沢です。
岩見沢は近いのですが、浦河と根室は1泊2日の日程となります。
ですから、少なくとも5日は予定が入ります。
その日程調整は、8月20日以降となります。
ですから、8月下旬の10日間は、予定が入れられないのです。
まあ、愚痴を今から言っても、しかたがありません。
やるしかないのですから。


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