地球と人と
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Essay■ 6_49 宇宙人6:科学としてのETI探し
Letter■ 思考実験・夏が来ない
Words ■ 寒い夏も嫌だが、暑い夏も嫌


(2006.06.29)
 ETIのことを真剣に考えるのは、20世紀中ごろまでありませんでした。しかし、何人かの先駆者によって、ETIについて科学的に考えることができるようになりました。


■Essay 6_49 宇宙人6:科学としてのETI探し 

 1959年9月19日にココニとモリソン(Cocconi & Morrsion)がネイチャーという権威ある科学雑誌に「星間通信への模索」という論文を報告しました。これが、ETIに関する初めての科学論文でした。
 それまでは、ETIのことを真剣に調べようとするのは、変な科学者とみなされ、表立って研究することはなかなか困難な状態でした。もし、科学者がETIのことに興味をもっていても、研究費も出ませんし、公共を施設(天文台や高速の大型コンピュータなど)を利用することはできませんでした。しかし、この論文によって、科学のテーマとして取り上げられるものになってきました。
 まるでその論文を待っていたかのように、1960年春には、ウエストバージニア州グリーンバンク(Greenbank)にあるアメリカ国立電波天文台のドレイク(Drake)らによって、オズマ(Ozuma)計画という名のCETIが開始されました。この計画は、電波望遠鏡によってETIと通信をしようとするものでした。
 オズマ計画では、地球に近い太陽に2つの星(エリダヌス座ε星とクジラ座τ星)からの電波を、30日間にわたって調べるものでした。それと同時にETIに対してもメッセージを送りました。
 その後も、SETIの試みはいろいろと続けられました。しかし、残念ながら、オズマ計画では、ETIの証拠は見つかりませんでした。
 このオズマ計画を指導したドレイクは、CETIやSETIの創始者ともいうべき研究者です。
 論文発表の翌年の1960年11月1日には、「地球外知的生命体に関するグリーンバンク会議」が開催されました。それは、わずか12人の科学者が集められた会議でした。しかしこの会議は、研究者がETIに対して、真剣な取り組みを始めた象徴的なものでした。これ以降、ETIの探査が科学的研究として認知されるようになりました。
 今まで、多くの周波数で、多くの天文台を使って、多くの星を目標にして、ETIの探査されています。しかし、探査するには、効率を考えなければなりません。効率探査するには、無駄を省くことです。どれが必要でどれが不要かを考える場合、ETIが私たちと同じ程度に賢いとします。
 私たちが考えているようなことは、ETIも同じように考えるはずだとするのです。すると私たちにとってベストな方法といえるものは、ETIにとってもベストであるはずです。
 EIT同士が星間通信をする場合、通信には電波を使うはずです。これが一番早い伝達速度もっているからです。その通信は、遠くなれば信号は弱くなるはずです。どこまで届くかは、信号の強さと、雑音の強さの関係となります。可能な限り強い信号を送るにしても、雑音は少ないに越したことはありません。遠距離の通信には、できるだけ雑音の少ない周波数を使った方が効率がよくなります。
 宇宙空間で一番雑音の少ないのは、水に関する成分(水素や水酸基)が出す固有の電波(輝線とよばれます)のあるあたりです。ですからその周辺の周波数帯はウォーターホールと呼ばれています。1〜3GHz付近の周波数にあたります。そのあたりは、電波でもマイクロ波と呼ばれる領域です。マイクロ波のウォーターホール周辺でETIの探索されることが多くなっています。オズマ計画も21cmの波長(中性水素原子が出すもの)でCETIがされました。

Letter 思考実験・夏が来ない 

・思考実験・
科学的に調査するとは、いろいろなことを考えてなされます。
探索すべき周波数は広く、そして星は星の数ほどあります。
何も考えずにやっていては、
どれほど時間をかけても、探査は終わりそうもありません。
時間がかかれば、費用もかかります。
ですから、効率的にSETIをしなければなりません。
そのためには、観測を実施する前、あるいは実施しながらも、
効率を考えなければなりません。
そんなSETIの歴史や考え方をみていくと、
実はSETIとは、自分たちのことについて考え、
自分たちの智恵を鍛えるための壮大なる思考実験と
私には思えてなりません。

・夏が来ない・
いよいよ6月も終わり、7月になります。
本州はまだ梅雨でしょうか。
北海道も夏もはずですが、天気の悪い日が続き、
なかなか夏らしい日が来ません。
先日やっと2日ほど快晴がありましたが、
毎日どんよりとした曇ったり雨が降ったりの嫌な天気です。
北海道には梅雨がなく、一番いい季節のはずなのですが、
こんな天気ばかりではたまりません。
なにか損をしたような気すらします。
でも、天候ばかりはどうしようもないのですが。


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