地球と人と
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Essay■ 6_42 自然と人工について
Letter■ 母の訪問・九州調査
Words ■ 謹賀新年


(2006年01月05日)
 明けましておめでとうございます。年頭に私達人類の進む道について考えました。


■Essay 6_42 自然と人工について 

 皆さんは、自然というと、どのようなものを想像しますか。
 昨年自然遺産に指定された知床のような、人手のあまり入っていないものでしょうか。人里はなれた森や林の緑でしょうか。人が長年暮らしてきた里山や、人が手を入れ続けてきた雑木林でしょうか。田畑の広がる田園風景でしょうか。緑の木々や芝生のある公園でしょうか。植物や野生の昆虫などが来るビル街の屋上に作られたビオトープでしょうか。室内の観葉植物や熱帯魚でしょうか。
 上であげた例は、意図的に書いています。人間の関与が少ない順です。皆さんは、どこまでを自然と呼びますか。それともすべて自然と呼びますか。
 このような自然の人間が関与して自然らしくないものの境界は、それぞれの人が自然をどのようなものと考えるかということになりそうです。つまり、自然と人間が関与の境界をどのように定義するかという問題になると思います。
 その定義において重要となるのは、人間の関与の程度です。人間の関与とは、人間と自然とが対峙する構図から生まれる考え方です。人間の関与したもの、人間の作ったもの「人工」は不自然なものだという考えです。人工は自然と反対語とされているのです。
 では、人間は、自然の一部ではないのでしょうか。もしそうなら、いつ、なぜ、そうなったのでしょうか。
 考えると、少々不思議な気がします。人間は、生物です。生物ですから、霊長類、哺乳類、脊椎動物、動物、多細胞生物、真核生物などのグループに属し、他の類似の仲間がいます。人間は、生物学的分類上は、あくまでも生物であります。実際に人間は、生物として生きています。
 生物を分類するとき、各生物の特長によって種というものに分けられますが、人間もある特徴を持って、そのひとつを占めています。人間は生物の一種なののに、どうも自然を人間とは相容れない対峙する構図へと、いつの間にか作り上げられていったようです。
 日本では、自然を敬う気持ちが強かった明治以前は、自然と何とか共存しようと考えていたような気がします。いや、共存というより、自然の脅威をなんとか凌ごう、耐えようと日々苦闘していたはずです。そして、自然の災害にあわなかったときは、儲けものと思っていたはずです。そんな脅威の自然は、恐れ、敬い、祈ることでしか、対処できなかったのでしょう。このような時代においては、人間は弱いもので、自然は支配的だったのではないでしょうか。
 しかし、技術の進歩によって自然を人手で大きく改変できる力を人類が身につけたころから、自然は敵対し、対峙するもの、あるいは自然を支配下に置くようになったのではないでしょうか。そして、他の生物は、人間のためにあり、人間が生殺与奪の権利を持つようになりました。生物を、時にはほとんど殺しつくし、しかしそれではいけないと保護したりました。一つの生物の種にすぎない人間が、他の種を殺したり、守ったりしています。どこかに矛盾を感じます。
 発達した文明は、コンクリートのジャングルでストレスを感じながらも、人工の自然の中でしか生きていけない、多くの人間を生み出しました。ナチュラリストという人たちの多くも、快適な人工環境の中で暮らしながら、休日にコンクリートから離れて、緑の多いところに出かけ、つかの間の自然を味わい戻ってきます。これが自然への本当の接し方でしょうか。私のその一人です。
 自然について深く考え、現状をなんとしなければという気持ちを、もっと多くの人が持つ必要がないでしょうか。私達人類が進んでいる道は間違っていないでしょうか。快適さ、便利さ、経済性だけを求め続けて、もっとも大切なものを、どこかに忘れてはいないでしょうか。取り返しのつかないことを、私達はしていないのでしょうか。立ち止まって考えるときがきているのではないでしょうか。考える時期を逸していなければいいのですが。
 年頭に、そんなことを考えました。


Letter 母の訪問・九州調査 

・母の訪問・
明けまして、おめでとうございます。
昨年はメールマガジンを購読いただきましてありがとうございます。
本年もよろしくお願いします。
よい正月をお迎えになったでしょうか。
我が家には、離れて暮らしている母が、
昨年の暮れから正月にかけて来て、一緒に過ごしました。
母には、大阪から飛行機で千歳まで来てもらっていますが、
自宅から空港までは安い送迎タクシーのサービスがあり
千歳までは私達が送り迎えするので、
なんとか一人でも来てくれます。
母は足を痛めているので、
温泉に日替わりで、3回連れて行きました。
そのうち1回はいつも泊まっている
温泉リゾート施設に宿泊しました。
考えると、母が来るたびにそこには宿泊しています。
今年も、私は母の元気な顔を見ることができ、
母に孫達の顔を見せることができてよかったです。
しかし、温泉の宿泊から帰った日が寒かったので、
母も子供も風邪を引いてしまいました。
でも、母は早めに風邪薬を飲んだので大丈夫であったようです。
一安心です。

・九州調査・
私は、このエッセイが配信されるころは、九州にいます。
1月5日から12日まで九州の中部から南部を調査で回っています。
今回も家族も一緒です。
前にもお話しましたが、北海道の小・中学校は
夏休みが30日ほどで短い分、
冬休みが1月15日までと、一週間ほど長くなっています。
ですから、冬休みに家族旅行がしやすくなります。
でも出かけるのは、暖かい南の方になります。
今回は、まだ調査していなかった九州地方です。
普賢岳、阿蘇山、桜島などの火山と
九州の代表的な河川として
球磨川と五ヶ瀬川、大淀川などの川と海岸の砂や石を、
いつものように調査してきます。
ですから、返事は少し遅れるかもしれませんが、ご了承ください。


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