地球の調べ方
戻る

Essay■ 5_206 タンデムモデル 6:境界領域
Letter■ 予約送信・新しいアイディア
Words ■ サバティカルは残り少なくなりました


(2023.09.21)
 このシリーズの5回目にして、やっとタンデムモデルの紹介になります。比較的新しく提唱されたモデルですので、まだまだシミュレーションで検討の余地がありそうです。条件を変更すると、いろいろな変化が現れます。

Essay■ 5_206 タンデムモデル 6:境界領域

 いよいよタンデムモデルを紹介していきましょう。タンデムとは、席が2つ並んでいるものをいいます。自転車や車などでツーシートの場合にタンデムと呼ばれています。太陽系形成で、惑星の形成場が二箇所できるというモデルになることから、タンデムと名付けられました。
 タンデムモデルは、標準モデルで課題となっていた、原始星の磁気回転の不安定性の影響を考慮しています。それらを重視してシミュレーションをしていくと、円盤内に乱流ができるところと静穏になるところができました。乱流が二箇所でき、乱流域と静穏域の境界があります。この境界が重要で、そこに形成時に物質が移動して集中してくる特別な場になることがわかりました。
 外側(5〜30AU)の境界では、空隙の多い多孔質の氷粒子が多く集まる場ができます。内側(0.3〜1AU)の境界では、岩石粒子だけが集まり岩石惑星ができていきます。惑星の形成の場は、二箇所での2種類の惑星(岩石惑星と氷惑星)が形成されることになります。
 そこでは、暴走的な成長が起こり、100万年以内に地球サイズになります。できた惑星は、ある程度の大きさに成長すると、内側に移動します。そして、次の惑星ができていきます。
 太陽系に見られる岩石惑星と氷とガス惑星の2種類の形成過程の違いを、このモデルでは説明できました。
 タンデムモデルで、標準モデルの課題を解決しようと、10年ほどの前に提唱された比較的新しいモデルです。シミュレーションにおいて磁気の強度の程度を変えていくと、系外惑星で見られた多様やタイプの惑星が、このモデルでかなり説明できそうなことがわかってきました。
 今後も、改善されていくでしょうが、今のところ有力なモデルとなっていきそうです。


Letter to Reader■ 予約送信・新しいアイディア 

・予約送信・
このエッセイが発行日は
サバティカルで最後の帰省の最中です。
そのためエッセイは予約送信しています。
家族が一同に会することが
今回が最後になりそうです。
長男が今年で就職します。
遠くに住むことになります。
次男の就職はもう一年先ですが、
東京での就職先を探しています。
そうなると、あとは来年の正月くらいが
家族全員が集まれる機会となりそうです。
さてさてどんな宴席になるか楽しみです。

・新しいアイディア・
現在書いている論文で必要なため、
タンデムモデルを調べていきました。
ここ10年ほどに、地球初期、生命起源などの研究に
大きな進展がありました。
当然新しいモデルでは、
これからも課題や修正も必要でしょう。
新しいモデルは、いくつか重要な事実がわかり
それらを説明する必要に迫られています。
そこには新しいアイディアが盛り込まれています。
今回のタンデムモデルでも
重要な事実をいくつか説明して、
そこから新しいアイディアが生まれています。
次回で少し紹介できます。


戻る