地球の調べ方
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Essay■ 5_204 タンデムモデル 4:標準モデル
Letter■ 久しぶりの調査・残りひと月
Words ■ 限られた日々を精一杯過ごす


(2023.08.31)
 太陽系の惑星形成モデルが長年かかって、標準モデルが作り上げられました。太陽系の惑星については、かなり説明可能でした。いくつかの課題もありましたが、なんといっても、系外惑星の発見は、モデルの再構築をせまりました。

Essay■ 5_204 タンデムモデル 4:標準モデル

 タンデムモデルを説明する前に、太陽系の惑星形成の標準モデルを紹介しておきましょう。
 形成場は、水素とヘリウムを主成分とするガスの多いところ(原始太陽系ガスと呼ばれます、以下同様)でした。そこには、少量の固体(塵、ダスト)を含まれていました。ガスの密度の濃い部分(分子雲コア)が、恒星や惑星の材料となります。
 原始太陽系ガスの中心に、物質が集まり原始星ができます。中心星の温度が上がり、原始太陽となります。原始太陽が安定するまでは、不安定な時期(林フェイズ)があります。やがて、内部温度が 1500 万度になると核融合がはじまります。熱による膨張と重力による収縮が釣り合って安定した時、通常の恒星(主系列星)となります。
 原始太陽系ガスの周辺では、赤道面に固体が集まっていき、ダスト粒子が成長して円盤(降着円盤)ができます。円盤のダストは、太陽に近いところでは岩石ダストが、遠くでは岩石ダストに加えて氷ダストもできます。ダストの衝突合体が繰り返され、微惑星に成長していきます。
 微惑星の衝突合体で、原始惑星へと成長していきます。短期間に、微惑星から原始惑星へと一気に成長し(暴走成長)、軌道上で一つの大型惑星が成長(寡占成長)していきます。
 天体の特徴は、さまざまな条件によって決まってくるのですが、素材のH2Oの役割は大きく、氷になる内と外では惑星材料の量に大きな違いができます。惑星の太陽から近い側から、地球型惑星(岩石惑星)、ガスを捕獲した木星型惑星(巨大ガス惑星)、そして氷を主とする天王星型惑星(氷惑星)が形成されていきます。
 標準モデルには、課題がありました。降着円盤中での磁気回転の不安定、微惑星成長前の沈降停止で固体粒子は大きく成長しにくい、原始惑星が地球質量よりも大きくなると太陽へ落下、ガス惑星と氷惑星の成長が遅かったりなど、いくつもの課題も指摘されていました。
 しかしなんといっても、多数見つかってきた太陽系外の惑星(系外惑星)で、太陽系の標準モデルが適用できない惑星も多数見つかっていることが課題でした。これらの課題に対して、解決を考えるモデルもでてきました。


Letter to Reader■ 久しぶりの調査・残りひと月 

・久しぶりの調査・
先日、1月半ぶりに野外調査へでかけました。
熱帯低気圧の影響で、天候が不安定で、
何度も雨にふられました。
写真に雨の筋が映るほどの
激しい降りとなる時もありました。
予定通りのコースを辿ったのですが、
写真の記録があまりよくできませんでした。
残念ですが、仕方がありませんね。

・残りひと月・
サバティカルの日々も残すところ
あとひとつ月となりました。
1年間と比べると、やはり短いです。
特に野外調査は慌ただしくなります。
1年分の調査を、半分の期間に詰め込んでいるので、
2週ごとに、でかけているような慌ただしさです。
その間に、近隣も周っているので
しょっちゅう出歩いています。
土日も関係なく執務室にいて、
出かける日も早朝から4、5時間は仕事をしてます。
ですから、研究はそれなりに進んでいますが、
はやり成果は限られてきます。
悔いのないように、
あとひと月過ごしたいと考えています。


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