地球の調べ方
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Essay■ 5_203 タンデムモデル 3:多体問題
Letter■ 野外調査再開・お盆が終わる
Words ■ お盆が開けたので調査再開です


(2023.08.24)
 太陽系形成を方程式から考えていく方法は、答えが出ない問題でした。しかし、計算方法を工夫して、コンピュータを駆使して、なんとかシミュレーションをすることができます。そして太陽系の形成過程がわかってきました。

Essay■ 5_203 タンデムモデル 3:多体問題

 古典的な太陽系形成の標準モデルは「京都モデル」と呼ばれ、今日では「微惑星集積説」へと発展してきました。当初は、物理学的な方程式から、どのような状態、変化していくを考えていました。しかし、コンピュータの発達によって、方程式をシミュレーションしていく方法が導入されてきました。
 なぜ、コンピュータの導入が必要になったかというと、この方程式には解がないことがわかっているからです。宇宙空間にある粒子の挙動に関する方程式で、そこには重力の方程式が用いられてます。
 この問題は、質点が2個の場合は、ニュートンの方程式で解くことができます。しかし、質点の数が3個以上になると、多体問題と呼ばれ、一般解がないことがわかっています。これは、ポアンカレによって証明されました。
 物理的には厳密に解けない問題であることが明らかになっています。多体問題を解くには、現象を単純化して近似として解いたり、特別な条件や制約のもとで解いたりしていくしかありません。それぞれの方法を改善して、精度をいかに上げていくかということになります。
 ところが、コンピュータの発達によって、数値計算によるシミュレーションができるようになってきました。短い時間に区分した二体問題にして、それを解いた結果を反映した質点と別の質点で計算していきます。これをつぎつぎ繰り返しながら、質点全体を計算して、別の時間区分へと進んでいきます。
 精度を上げるためには、質点の数を増やしたり、時間の刻みを小さくしていくことになっていきます。精度を上げていこうとすると、計算ステップが爆発的に増えていきます。コンピュータの性能がシミュレーションの精度を決めていくことになります。コンピュータが高速になれば、質点を増やしたり、規模を拡大したり、2次元を3次元(平面を球体)にしたり、時間を長くしたりして、精度を上げることができます。
 太陽系形成の微惑星集積説ですが、シミュレーションを用いた方法は重要なアプローチになりますが、すべての過程をシミュレーションすることはまだ不可能です。いろいろな条件や状態や場面を設定してシミュレーションが進められています。その条件や状態を考えることで、まだまだ新しい仮説がでてくる余地があります。
 そんな条件の中から、タンデムモデルが出てきました。


Letter to Reader■ 野外調査・お盆が終わる 

・野外調査・
このエッセイは、現在野外調査中なので、
予約配信しています。
今回の調査は、高知と愛媛の県境付近と
愛媛の県立科学博物館と鉱山跡の見学も考えていきます。
移動距離は比較的短いのですが、
山道が多いので、疲れそうです。
このエッセイが跛行される日に
戻ってきます。
1月半ぶりの野外調査となります。

・お盆が終わる・
お盆も過ぎたので、
交通量や人でも少し減ったようです。
天気のほうが今ひとつです。
台風7号が通過して以降、
晴れても、毎日にように夕立があり
湿度も高い状態です。
まるで梅雨が戻ってきたようです。
しかし、お盆も過ぎたので、
暑さもピークが過ぎたようです。
夜も涼しくなり、寝やすくなりました。


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