地球の調べ方
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Essay■ 5_189 系外惑星の多様性 4:形成と履歴の多様性
Letter■ 大きな普遍性へ・排雪
Words ■ 雪の多い新年となっています


(2022.01.13)
 系外惑星を構成していたマントルの岩石は、地球とは異なったものであることがわかってきました。そして、多数派であることも明らかになってきました。そこから見えてきたことは、地質学がより普遍性を求めていく必要性でした。

Essay■ 5_189 系外惑星の多様性 4:形成と履歴の多様

 前回、白色矮星の化学的特徴の違いから、系外惑星のマントルの岩石としては、石英+斜方輝石の組わせか、ペリクレース+カンラン石の組み合わせになると想定されました。著者らは、このような岩石を、石英輝石岩(quartz pyroxenites)とペリクレイスダナイト(periclase dunites)という名称を提唱しています。
 いずれも、すでに知られている鉱物です。そして、稀ではありますが、地球にも存在している岩石です。しかし、マントルなどを構成する主要な岩石ではありません。地球では、カンラン石+斜方輝石の組み合わせでした。似た鉱物からできていますが、系外惑星の方が、マグネシウムが多く、ケイ素が少いことを反映した鉱物組み合わせとなっています。
 このような組成の異なった惑星が形成されるのは、その恒星系の誕生時の履歴を反映している可能性があります。白色矮星に飲み込まれる惑星は、恒星の近くにあったものです。恒星近傍に、材料物質が集まる時、そこで起こる化学的分化に、太陽系とは、違っていたことを匂わせています。
 調べた23個の白色矮星の中で、地球に似たものが1つで、それ以外がすべて石英輝石岩かペリクレイスダナイトとなるようなマントルを持ったものになっていました。つまり、私の太陽系の惑星形成とは異なった形成プロセスが多数派、普遍的であり、地球が例外のようです。
 地球と異なったマントルの岩石があるということは、形成された惑星でも、地球とは異なった特徴や履歴を持つ可能性があります。
 著者の一人のPutirkaは、地球のマントルよりは多くの水を取り込めた可能性があり、その惑星の海洋の起源に影響を与えた可能性があると考えています。また、地球のマントルより低温で溶けやすくなるため、マグマが大量に形成され、厚い地殻をもっていた可能性もあると考えています。そうなると、プレートテクトニクスも異なった様相を呈することになりそうです。
 地質学、あるいは岩石学、火成論などは、地球をモデルにして、その仕組みを調べ、一般化してきました。その一般論を、他の惑星へと適用してきました。しかし、今回の系外惑星の多様性がわかってきたことで、どうもこれまでの地球でのモデルは、多様性の一つに過ぎないことになりそうです。


Letter to Reader■ 大きな普遍性へ・排雪 

・大きな普遍性へ・
このエッセイの最後でも述べましたが、
今回の論文が示した可能性が、
もし多くの惑星系における典型だとすると、
地質学の立ち位置を考えなおさければなりません。
今回の石英輝石岩かペリクレイスダナイトは
地球も存在する岩石です。
根拠をもって、地球とは異なったマントルが推定されたのなら
その惑星は、どのような形成過程があるのか、
またできた惑星でどのような地殻形成やテクトニクスが働くのか、
などを考えていく必要がありそうです。
これは地質学において、より大きな普遍性を探っていく
チャンスかも知れませんね。

・排雪・
北海道は年末から年始にかけて、
繰り返された寒波の到来で
個々数年の冬よりは、積雪は多くなっています。
歩道と車道の間にうず高く積み上がった雪は
道路を横切る時、見通しが悪く危険です。
また、車道の幅も狭くなっており、
車の通行も細心の注意が必要です。
こんな時は、自治体による早目の排雪作業が必要です。
しかし、年ごとに雪の量は異なりますので、
経費のかかる作業で、
自治体としても悩ましい問題でしょうね。


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