地球の調べ方
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Essay■ 5_188 系外惑星の多様性 3:特異なマントル
Letter■ 系外惑星への興味・寒波
Words ■ 今年こそ良い年になるよう願っています


(20212.01.06)
 白色矮星の化学的特徴から、もとの恒星の周りに存在していた、惑星の特徴を読み取ろう、という試みを紹介しています。その結果、どのような惑星であったのでしょうか。

Essay■ 5_188 系外惑星の多様性 3:特異なマントル

 これまで、白色矮星は、大陸地殻(花崗岩)を構成する元素を取り込んでいるのはないかという考えがありました。しかし、今回の研究で、花崗岩の痕跡を示す成分はみつかりませんでした。考えれば、地球全体で大陸地殻が占める割合は、核とマントルと比べると微々たるものです。ですから、地殻の痕跡が見つからないのはあたりめに思えます。岩石型惑星は、質量の比率からみると、マントルと核の成分が主となっているはずです。
 核は鉄を主成分としているので、その核とマントルの比率さえ推定できれば、核の影響は補正可能です。したがって白色矮星の化学組成の特徴から惑星のマントルの特徴を読み取ることが可能になります。
 その結果、白色矮星では、マグネシウムが多く、ケイ素が少くなっていることがわかりました。これは取り込んだ惑星の特徴を反映していると考えられます。
 地球のマントルはカンラン岩からできています。カンラン岩は、カンラン石(olivine)と輝石(斜方輝石 orthopyroxene)が造岩鉱物となります。カンラン石はマグネシウムとケイ素から、輝石はマグネシウムとケイ素、カルシウムからできています。両鉱物ではマグネシウムは鉄と置き換わることにがあります。両者の鉱物の化学組成は、珪酸と鉄+マグネシウムの比率が異なっています。
 このような鉱物の特徴から、マグネシウムとカルシウム、ケイ素の比率を考えていくと、地球のマントル(カンラン岩)の特徴をもっているものは、23個のうち1つしか見つかりませんでした。多くは太陽系の惑星とは異なったマントルの特徴をもっていることがわかってきました。
 その特徴は、石英(quartz)と斜方輝石の組み合わせの岩石か、酸化マグネシウム(ペリクレース periclase)とカンラン石の組み合わせの岩石からなると考えられました。
 このような岩石をもった惑星は、太陽系には見つかっていません。非常に特異な惑星となります。では、そのようなカンラン岩からできたマントルともった惑星とは、どのようなものだったのでしょうか。次回としましょう。


Letter to Reader■ 系外惑星への興味・寒波 

・系外惑星への興味・
明けまして、おめでとうございます。
前回は、2021年最後のエッセイになるので、
コロナ禍の2年間を振り返るものにしました。
今回は、それまでシリーズで進めてきた
系外惑星の多様性の続きをお送りました。
天文学者も系外惑星への興味が高まっているようです。

・寒波・
北海道は、年末年始は、冬型の気圧配置が続き
寒波が繰り返し遅い、
大雪と交通の乱れが続きました。
次男も12月29日に帰省して1月3日に戻りました。
いずれも便に遅延がありましたが
ぎりぎり飛ぶことができてよかったです。
元旦は、千歳で多くの便で発着できず欠航となりました。
翌日以降の空席も埋まり全便満席となっていました。
寒波の厳しい年末年始となっています。


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